野良犬ドキュメント第5回(2001年9月〜 )
 飼い犬への道 (イソちゃん改めミッキー)
   野良犬を飼うとは、こう言うことなの? 
 

 

  (ミッキー、円丈邸の犬になる)

 居候犬ミッキー(旧名イソちゃん)は、 5月に偶然見つけた居候犬は、色々あったが9月13日に都の動物保護相談センターに収容され、21日に都から譲渡され、晴れて円丈邸の飼い犬となった。現在5日目、少しずつ慣れてきた....。こう書くととても順調のようだが、そうでもない。

【現在の
イソちゃんの問題点は】
(1)咳が出て現在、風邪気味
(2)命令が全く理解出来ない
(3)まだに病院に連れていける状態ではない
(4)目下生理中で妊娠の可能性あり
(5)ろっきぃと仲が悪くて不穏な状況
  わああ、てえへんだあ、てえへんだあ!もう問題、てんこもりなのだ。飼い犬への道は厳しいのだ。
   
 三遊亭 円 丈

 



 飼い犬ミッキー(旧名イソちゃん)誕生!!

 【もうひとつの名前ノンちゃん】
このミッキー、結構、犬を散歩させているおばちゃんたちに可愛がられていて。そこで呼ばれてた名前がノンちゃんだった!しかし野良犬でノラちゃんでは可愛そうと「ン」をつけてノンちゃん!カミサンも娘もこの名前で呼んでいる。この旧名イソちゃんは、地元では通用しない!しかしイソちゃんにしろ。ノンちゃんにしろ。「居候」や「野良犬」に由来する!これから飼い犬になるのにそれじゃ可愛そう。そこでかみさんと娘が、野村サッチーから取って「サッチー」が良いと言う!却下。あんなおばちゃんみたいな犬になって欲しくない。そこで円丈邸は代々ロッキーなので新たに「ッキー」をとってミッキーと名前を変えることにした!将来は「ろっきぃ、ミッキー」で犬の漫才でもさせたい。よろしく。


ミッキーはこうして捕獲された!

【イソちゃんには頼れるオスが必要!
 このイソちゃんは元々うちで捕まえられないので都に捕獲をお願いして10日に来てくれて捜索したが見つからず!この日は捜査打ち切りになった。

  そして13日の捕獲は実はイソちゃんが、あるオスに惹かれてもうそのオス犬のストーカー状態になり、その家に勝手に入り込むわ、散歩すればず〜っと着いて来るわで飼い主は困り果てていた。でも動物保護相談センターに通報するのはあまりにも可愛そうとためらっていた。

 そこでその友人が見かねて通報し、捕獲されたもの。やはりいつまでもノラ犬生活を続けることは出来なかった訳でいずれ捕獲される運命にあった。そしてセンターから連絡が入り、申請して21日に我家に譲渡され、正式に円丈邸の犬となった。

(座敷の様子を見るミッキー)

 


譲渡はこうして行われる・・ミッキーは本来、安楽死だった!

 【東京都、保護犬の譲渡の条件
 ここの相談センターで保護されてる犬を譲渡してもらうためには
(1)3時間の講習を受ける。--2時間の講習と譲渡日に1時間の講習
(2)室で飼うことを推奨--現在は番犬目的に飼育では譲渡して貰えない。
(3)飼育する環境にあるか?
(4)家族全員が犬を飼うことに賛成してるか?
(5)不妊手術や、狂犬病の注射を射つ。
などなどといろいろの条件がある。

  【野良犬は、譲渡される可能性は低い】
 しか今回は野良犬を飼いたいと言う条件で保護をお願いしたが、一般的にはこう言う野良犬は、とても飼い難いのでセンター側はその犬を飼いたいと言っても他の犬を勧められる。結果として捕獲された野良犬の殆どが死ぬ運命になる。ミッキーも基本的には捕まった瞬間、死が待っていた。

【子犬は現在殆ど出ない】
  今はペットブームのせいか、都の動物保護相談センターに集まってくる犬の中に
子犬はいない。成犬が殆ど。

【番犬目的では譲渡されない--時代は室内犬】
 現在都の動物保護センターでは、番犬目的では譲ってもらえない。なるべく室内で愛玩用に飼うように推奨される。日本では犬を番犬として鎖で繋いで外で買うのが、以前は一般的だったが、だんだん西洋並に室内で飼うのが一般的になりつつある。もう庭で鎖に繋いで飼うのは時代遅れになりつつある。犬って室内で一緒に暮らした時、本当の良さが分かると思う。



ミッキー冷や汗日記

とりあえずかみさんが講習を受けに・・。

 【えっ、講習受けろ?聞いてないよ】
 イソちゃんを譲渡してもらうのには。都の講習を受ける必要がある。聞いてないよ。そんなこと。その講習の日は仕事があって。私は行かれない。そこでかみさんに行って貰うことにした。もうブツクサ言いながら。足立から一番遠い世田谷まで講習をうけに行くことになった。

【額の星はなんの星】
ミッキーの額には、星がある。一体どんな星を持ってこの犬は生まれてきたのか?果たしてミッキーに幸せは来るんだろうか?

(6月頃のミッキー)

 


21日に引き取りに・・・。

(動くまいと抵抗するミッキー!)
 センターに行くと女性の獣医さんが、一時間ほど説明のあと。いよいよ引き取り、収容されてる檻に行った!おびえきったミッキーに職員、3.4人掛りで胴輪を付けて貰う。職員は再三、胴輪ではなく首輪を着けるように指導された。しかし2代目が首輪が抜けて事故で死なせているし、しかもミッキーも首輪が1秒しか持たなかったのでどうしても首輪を付ける気にはならない。
  【まるでガマガエルの散歩】
 犬舎から車までのわずか2,30mの距離だが、まるでガマガエルのように全力を挙げて踏ん張って抵抗する。もう車に載せる時は鎖で体ごと持ち上げて乗せる。もう胴輪がちぎれるかと思ったほど。しかもミッキーの目は血走ってきて。表情は恐怖そのもの。ブルブルと震えている。大丈夫だよと声を掛けるが、震えは全然止まらない・・。



 帰りの車中はゲロ地獄
  【ゲロ地獄、吐いて食べてまた吐いて!】
 帰りは大変。車に慣れてないのでげえ〜と吐いてしまった。あらかじめ予想してたので下にビニール.シーツを敷き、新聞紙も用意してたので助かった。ところがその吐いたゲロを今度は自分で食べる。「おい、こら!やめんか!」と後ろのミッキーに声を掛けるが、なんの効果もない。食べ終わるとまた殺されそうな怯えきった目でこっちを見る。それから20分もするとまたげえ〜っと吐く!
  それをまた食べて。20分後また吐いて。3回、吐いたのを食べた。しかも怯えながら!しかも新聞紙を敷きなそうとすると更に怯える。シートはミッキーが動いてずれ、下の座席にかかり、しかも生理中の血まで着くわ。その上、車内はゲロの臭いが充満!しかし真剣に救おうと思ってる私はミッキーに完全に嫌われっぱなし!まあ、世の中ってこんなもんだよね。

(怯えながら吐きながら...)

 

10k鉄アレイ、絶対逃がさんでミッキー!

(10kアレイを地中に埋めて)

 自宅につくとミッキーを車にしばらく乗せておいて、大急ぎで犬小屋を組み立てて。それから車から怯えて嫌がるミッキーを無理やりズルズル〜ッと引きずって10k鉄アレイを地中に埋めた極太の針金の2重にしたワッカから1mのビニールロープ。そこに鉄の鎖を繋いだ。ヒモにしなかったのは食いちぎられるのを防止するため。
  計2.3mほど長さで犬小屋と座敷の中の1mほど入れるように計算してある。とにかく慣れる前に逃げられるのは最悪なので1ヵ月は絶対逃がさないようにする。雨が降ってる中を作業中に
ろっきぃが、首を突っ込んで来たので「コラッ、邪魔だ!」と怒鳴った瞬間、ろっきぃは平然としてミッキーがブルブルッと震えた。シャイな犬だねえ。



 ウチに来ても怯えっぱなしで・・。
【寒さと恐怖で震えっぱなし】
 それからミッキーは雨と恐怖で震えっぱなし。一応、エサは、ミッキー用食器に入れてやると震えながらもエサは食う。このヘンはしっか
りしてる。庭に誰もいなくなると出てきて甘えるような声で吠える。ズ〜〜ッと見てどこか逃げるとこを探しているようだ。窓を開けると慌てて小屋に逃げて行く。そこで窓を閉めると庭の入り口の方に突進しながら吠える。窓を開けるとまたサッと犬小屋の駆け込む。
  下に敷いた新聞紙は、雨で濡れてビショビショ!そこで新しい新聞紙を敷いてやり、新聞を小さく丸めて小屋の中に少し大目に入れる。これで大分暖かくなって少し落ち着いたものと見えて。その日はなんとか眠りについたようだ。もっとも午前3時過ぎまでイソちゃんに付き合ったいたから、朝までは大して時間はなかったけど。しかし寝ていて気が付かなかったが、朝方、ズ〜ッと吠えていたようだ。参った、参った!
【男嫌いのイソちゃん】
 このミッキーは男嫌い!恐い思い出はみんな男だからだろう。秋田犬の男の飼い主に棒で追っかけられた、円丈が無理やり捕まえようとした。13日に男の職員に捕まった。恐い思いをさせられたのは全て男!一方、おばちゃんは、餌をくれたりする良い思い出があり、女はそれほど恐がらない。


(5日目、大分慣れて来て小屋からはみ出して寝るミッキー)


そして2日目

 【朝、初めて散歩】
 朝、かみさんとろっきぃと翌日、前日と同じくガマガエルの散歩!柵があると中に逃げ込もうとするし、車の下にはもぐろうとするわ。もうむりやり300mほどズルズルと引きずって歩いていただけ。しかも戻ってきて中に入れようとすると全力を挙げて抵抗しよとする。あんまり引っ張ると胴輪の鎖が抜けそうで恐い。これが続いたら。どうする?う〜〜〜ん、分からん。

【命令されてると言う思考回路がない!】
 このミッキーは全く命令が通じない!どうも生後3.4ヶ月、母犬と一緒に暮らしてして、その後、逃げたか、捨てられたかで人間と暮らした経験がゼロ!だから命令が通じないんだと思う。
  食事の時、「待て」と何度言っても食べようとするそこで少し大きな声で「待て〜〜っ!」と言った瞬間、サッと逃げていく!命令されてると言う意識がない。本当はシッポを抑えて胸を上げて「オスワリ!」をさせれば良いんだろうが、そんな事をしたらどれだけ怯えるか。まだ体を障らせないので無理。でも命令より、まずスキンシップだ。これもソッと触らないと怯える。いやあ、触れ合うのも一苦労!




2日目ゲボゲボッ、これって咳?

【2日目の夜から咳】
 ゲボゲボッ、オエ〜〜ッ!としきりに吐くが、ツバしか出ない。どうやらこれが犬の咳のようだ。来た日から急に冷え込んで雨。風邪をひいたようだ。フィラリアかも知れないし、それにまだ他にもひとつぐらい病気がありそうだ。しかしこんなに怯えがひどくては医者にも見せられない。せめて体中障らせるぐらいにならないとなあ。とりあえずスキンシップ!
【そこで犬小屋にユタンポ!】
 
そこでマットの上に毛布、それから新聞紙を丸めて、20個ほど犬小屋にいれて、暖かくした。更にその毛布の下にユタンポを入れて完成!これで大分、気分も落ち着いたのか、目も大分穏やかになり、静かに寝るようになった。


3日目ろっきぃが、ボケ〜〜ッとしてて、変だ!
【侵入者ミッキーを警戒するろっきぃ】
 とにかくミッキーに気を取られていたが、どうもろっきぃの様子が変だ。突然、庭で寝たり、ボウ〜〜ッとしてる。それにミッキーに近づこうとすると「ダメだよ!」と家族に注意されるし、ふれくされているようでもある。それにガムを取り合って喧嘩する。
  まあ、一応ミッキーが、腹を見せて一件落着になるが、しかもミッキーの齧ってるガムを欲しがる。かみさんが言うには
「ろっきぃも犬小屋が欲しいので?」
と言う。ろっきぃとミッキー。外で会ってる時は仲良しで遊んだ。しかしそのミッキーもウチに来れば侵入者になる!この突然やってきた侵入者にろっきぃはノイローゼ気味なんだ。そこでろっきぃになんでも優先的するように切り替えた。でもろっきぃはやはり元気がない。今まで全ての愛と場所を独占してたが、ミッキーが来たら、場所も愛も半分になってしまった。これはろっきぃに取っては深刻だ。いやあ、ろっきぃゴメンよ。このろっきぃとミッキーの関係が今後、最大の障害になりそうだ。計画では1ケ月ほどでろっきぃと同じようにフリーにしようと思っていたがそんなことをしたらどうなることやら。2頭犬を飼うことは難しい。

(ミッキー出現に悩んで考え込むろっきぃ!)

 

ぎゃ〜あ、ミッキーのお乳が大きい!
【妊娠か?うちは犬だらけなるぞ】
  ミッキーは、体を少しずつ触らせるになった。毎日、少しずつ触れる部分を増やしてる。まず顎の下OK!次が足、これを直ぐに警戒して引っ込める。それを少しずつ。なだめながら触り、3日目で足の裏までOK!それから背中、シッポもOK!4日目に腹を見せた。しかしこれはあくまでもおどかさないようにそ〜ッと近づいた時の場合のみ。
  これで少しでも立って乱暴に近づくと犬小屋にサッと逃げてしまう。ダッコでもしようものなら怯えて大変だ。しかし腹見せの時みたら、ミッキーのお乳が大きい。それは丁度、子犬が、吸いやすい大きさ。大丈夫かよ?これで妊娠してたら。うちは犬屋敷になっちゃう。しかし医者に見せるのはもう少し慣れないと診察もできない。いやいや、大変だなあ。

 


5日目、遂に始まったろっきぃVSミッキー
【ろっきぃVSミッキー本格化】
 とにかく日に日に争いが、激しくなってくる。大体、ガムの取り合いから喧嘩が始まる。ただろっきぃもミッキーも攻撃性はあまりないし、最後はミッキーが腹を見せて勝負あり。ろっきぃの勝ちとなる。しかしミッキーは全然負けたとは思っていないようだ。虎視眈々と逆転のチャンスを狙っている。ミッキーは臆病だけど芯が強く、また犬同士の付き合いは豊富!一方、ろっきぃはお嬢さん犬。一体、どうなるんだ?

【従えようとするろっきぃ】
 誰か訪問客が来るとろっきぃが、サッと玄関に行き、シッポを振って歓迎して、その足でサッとミッキーのところへきて「お前はくるな!静かにしろ」と制止して再び客のところへ。これを繰り返す。仕切ろうとするんだね。
(ガムを齧るミッキーに後ろから「コラ、よこせ!」と襲うろっきぃ)


 果たして上手く飼えるのか?思わず暗くなる!
【見通しがあまかったろっきぃとミッキーの仲】
 外で仲良くしてるから一緒に飼っても大丈夫だろうと思ったのが、甘かった。大体聞くと
(1)メスとメスは喧嘩する
(2)オスとオスも喧嘩する
(3)オスとメスか、親子の時だけ上手く行くのみうまく
 と言うことらしい。
【風呂場に連れって行っただけでろっきぃ半狂乱!】
 ミッキーを風呂場で洗おうと座敷を通っただけで、もうろっきぃは、半狂乱になってしまった。これでもしミッキーを座敷でフリーに飼育したら。もう完全に2頭の戦争になったしまう。ミッキーのためにはフリーにしてやりたいが、ろっきぃのためにはそれが出来ない。結局、うちではミッキーの鎖のない生活はさせられない。いやあ、まいるなあ

(座敷に1mは入ってくる!)

 

怯えだけは一生取れない?
【立って近づくだけで逃げ出すミッキー】
  ミッキーもだんだん、うちに慣れてきた。ソッと触る分には、足でも腹でも触れる。しかし
(1)立って近づくと怯えてサッと逃げる
(2)胴輪を掴むだけで怯える
(3)手でも足でも掴むと怯えて少し引っ張ると逃げだす。
(4)鎖を掴み引くと怯える
 多分、ダッコは一生できないのではないかと思う。人を信じきってるろっきぃと人間不信のミッキーの差だね。でもそれは別にミッキーのせいではない。環境のせいなのだ。私はそう言う犬を飼った。

【これが良い点】
しかしミッキーは、それを補ってあまりある素晴らしい長所がある
(1)こと犬同士の付き合いは天下一品
(2)3日目から散歩を理解して「連れてけ!」と催促する。
(3)人からの愛情が薄くそだったので我慢強く耐えることができる。それを充分判った上で今後も買い続けようと思う。

 

 ◎このあと、医者に連れて行くけど、果たして妊娠してるのか。病気はないのか?今後のろっきぃとの関係は?そして一体、何時になったら命令を理解してくれるのか?もう問題はテンコモリ!果たしてミッキーはどうなるのか?続く・・・・。


   


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