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落語コラム12: その1 : 「円丈人生2度目の怪談に挑戦」

更新日12/05/11


円丈十番勝負、円丈30年ぶりに「現代怪談噺」に

 

6月29日人形町社会教育会館で「円丈十番勝負」で雲助師と怪談噺対決をする。実は彼こそ、怪談噺の鉄人!怪談で彼の右に出るものはない。

3~4年前だったか、『怪談』と言う映画は封切られたことがある。

、実はその映画監督は、雲助師の怪談噺を聴き、それに感動してその映画を製作したと言うぐらい雲助師の怪談噺は、スゴイのだ。

 一方、円丈は、あまり怪談噺をしない。円丈作の怪談噺と言えば、もう30年以上前作った『怪談ドクロ岬』がある位だ。


 後は怪奇物で「スリーゾクゾク」ぞくぞくする恐い話を3本集めた怪奇落語ぐらいがある位だ。

【画像:円丈十番勝負」のチラシ】




現代怪談噺『返事』ってなんだ。

 今回の現代怪談噺『返事』は、円丈人生2度目の本格的怪談噺で三十数年ぶりだ。では今まであまり怪談噺を作らなかったか?
多分、円丈があまり怖がりではないからだと思う。大体、怪談噺の好きな人は、こわがりが多いと思う。でも円丈は恐がりではない、だから全く恐がらない訳じゃない。わあ、恐いと思っても「あ~あ、怖いなあ、どうしよう?・・・でも出たら出た時でまあ、いいか!」とそこで開き直っちゃう。

以前寝ていて足の先がムズムズして来た。しかもそのムズムズが、足の中を伝って足のフクラハギからさらに太股を使って来た・・。なにか得体の知れないもモノが、足の中を使ってどんどん体の中心に遡ってくる。このムズムズと体に侵入してきたのは、単なる空耳のようなただの気のせいなのか?あるいはミクロの極小の虫が実際体に入ってきたのか?それとも霊的なモノなのか?
「わあ、怖い、怖いなあ・・どうしよう・・・」
これは結構恐かった。その時、全然、 別な考え方が、ポコッと出て来た。
「そうか、俺の体になにか変な奴が侵入してきたけど、ま、いいか・・私の体で良かったら、ハイ、どうぞ!!」
となんと体を奴に開放した。するとその瞬間、体の中から奴の気配が消えた。多分、そんな風に感じたこと自体が気のせいだったろう。

 怖いだけじゃない+αの怪談噺を!!


でもこんな風に考えると恐い怪談にならない。だからあまり作らなかった・・と言うより、作れなかったと思う。またそれほど怪談噺を作りたいと言う気がしない。
それで殆ど今まで怪談噺を作らなかった。でもこんなにいろんな傾向の落語を作ったんだからとか、現代怪談噺と古典的怪談噺をもう少し作ってもいい筈だ。
それで今回は、現代怪談噺『返事』をやることにした。この噺のあらすじ、テーマなどは書かない。まだ『返事』がどうなるか分からないからだ。
ただ恐いだけの怪談は作らない。やはり、恐いけど笑えるとか、恐くて悲しいとか、恐いだけじゃなくて、恐い+αの怪談噺にしたい。それでないとつまらない。実は最初に作った『怪談ドクロ岬』は、怖かったけど、今となっては怖いだけで食い足りない。やはり怪談にはコワサと何かが欲しい。とにかく『返事』は、チョッと恐くて笑えて少し悲しい。みたいな噺になるか、それともず~と恐くて最後に笑える噺なるかどうか、分からないが、とにかく、へえ、なかなかイイ怪談噺だったねえと言われるような怪談噺にしたい。(円丈)

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