第一巻 足立の夏 完

    
 あの放浪俳人山頭火に遠く及ばない円丈六等火の句。7月の終りから少しずつ作りだした。だがこの句を作るとどんどん気分は落ち込み。
 最後はほんもののように全てを捨てて放浪の旅に出そうな気分になってきたので句は作ることを中止した。ここに少しだけ作ったものを「足立の夏」としてここに公開!次作はあるのか?でも本当に放浪しそうだからねえ。
   二千年秋  円 丈

 


  人生 教訓

 鳴く時もセミ 死ぬ時もセミ 
  
 セミは人間のように「なぜ6年も地面にいて地上ではわずか7日の命なんだ?」と決して不平も言わない。セミはいつもひたすらセミ。どんな悲劇的状況に置かれても死ぬ瞬間までセミ。それなのに私は、なぜ人間なのかとかと悩み、不平を言い疲れる。どうしてもひたすら円丈で生きることができない。00/8/04


 
犬は犬なり  猫は猫なり
 
 私は、性格的にはひとりでいる猫的なのだが、しかしいつも犬のようにみんなと仲良く暮らしたいと心から願っている。でも猫的に生まれてしまった私にはどうしても犬的になれない。
 それでもやはり犬になりたい。私は「犬になりたがる猫」なのだ。しかし猫は犬になれない。今までかなり努力したが、やはりなれない。絶対、猫は犬になれない。ここに円丈悲しみの源流のひとつがある。やっぱり、こんなことばかり考えていたら放浪詩人になっちゃうよねえ。
00/8/06


  日 々

 
  
 気分が落ち込んで他の乗客から少し離れてぼんやりしていると。心には鬱の雨が降ってきた。悲しい...。00/8/12
 

 
円丈も弘にも なれぬ私が 走っている 

 これぞ。山頭火ばりの句。と言うか。もう形式のパクリみたいな句だね。内容はセミのように悟りきれない私は、芸人円丈にも、一個人の弘にもなリきれない。そんな中途半端な私が走っている。 00/8/10



 
落ち込んで落語 笑いの花 

 結構落ち込んでいる時に高座に上がるコトもある。でも商売だねえ。それでも笑わせてしまう。終わって外に出る。再び鬱。あああ〜っ! 00/8/06



泣きたいのに なみだ出ぬ 夏 

いっそ、思い切り泣けばスッキリしそうだが、だが涙がでない。00/8/13



 
一生懸命 生きてきたのに 冬 

 いつも結構一生懸命生きてきた。それなりの努力もしてきた。だが季節は夏だと言うのに。なぜ、心はこんなに悲しい冬なのか。なぜだっ!!そんな思いがある。  00/8/11



 
悲しみで走ると 体 苦しむ 

 気分が落ち込んでいる時、走るとダメ。すぐ息があがり、苦しくなる。心と体はつながっている。だからスポ−ツ選手は単純なのだ。いや、複雑に考えないように努力をしてああ言う単純回路を作ったともいえる。もちろん、生まれつき単純な選手もいるだろうが..。 00/8/09



 
なにもせぬのに もう つくつくぼうし 

あれこれ,ウジウジと悩み、無為に日々を過ごす。ふと気がつくとつくつくぼうしが鳴いていた。もう秋なのだ。 00/8/13


   ロ ッ キ −

 ここ通ったね ロッキ−と行く 夏の道 

 夜ジョギングをしててふとその道は、ロッキ−と通ったことを思い出し、思わず死んだロッキ−に話し掛けていた。  00/7/30

 
ロッキ−と 天にて 駈けたい 

気分が落ち込んで夜、ジョギングしている時、ロッキ−のコトを思い出す。今、私は苦しい。ならばいっそ。夜空でロッキ−楽しく駈けたい。  00/8/12

尋ねれば 公園盆踊り われ涙

 愛犬ロッキ−Uが死んで3日目。公園の散歩コ-スをたどってみた。事故10分前になぜか3回も滑り台に登るときかなかったその公園では、楽しそうに盆踊り。すると急に涙だ出てきた。いやあ,名作だなあ。00/7/17



   生 き 物


 
我も飲む 芝生ものむ しみじみ茶 

 夜、ジョギングを終わって、自販機でしみじみ茶を飲む。しかし1本は多すぎる。そこで公園の芝生に「お前も飲めよ!」としみじみ茶をかけてやる。この場合、ほのぼの茶ではだめ。しみじみ茶が良い。ほんとは「つくづく茶」があればそれを買うんだけどね。 00/8/06



 
やあ しばらくと 窓のやもり 

 ここ一週間ほど顔を見せなかったやもりが、パソコンのおいてある窓ガラスにひょうこり顔を出した。そうで「おう元気だった!」と声をかける。  00/8/03



鈍足の我を 抜くセミ 

 ひいひい言いながら走っていると。セミがすう〜っと抜いて行った。  00/8/08


   そ の 他

メガネの愛を説く メガネ屋 

メガネ屋さんに修理に行ったら。その扱いの乱暴なメガネを見て「これじゃあ、いくらなんでもメガネが可愛そうです」とメガネに対する愛を持つようにと意見された。  00/8/10


  これまでの句

ロッキ−のハム 夏アリ 喜びて運ぶ 

庭にあるロッキ−の墓にお弟子さんのくれたハムを夏アリがうれしそうに巣に運んでいた。 00/7/21

 


  お友達の句

カルメン心の句「17歳」
サンダルで  バイクまたがり  参考書

遊びたいでも試験中のおにいさんがんばって! 
            カルメン サオリ

 

【注】ええとカルメンさんは、心ト顔が同時に美しい女性です。ホントかよ。まだメ−ルだけなので確認はとれてません。゙

 

【編集後記】
しかしどうにも暗い句が多すぎる。噺家ってそう言う暗い気持の人を明るくするための職業なんだからね。もし暗い気持にさせたならごめんなさい。とにかくこの句は、しばらくやらないと思う。
               
          円 丈 六 等 火

    

 

 


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