落語21 2002年8月お盆特集!

最近、髪を染めた。失恋のせいか?
稲田和浩先生

   2002年も5月になった。早く芽を出せ、柿の種!ホント若手の新作噺家に一日も早く育って欲しい。そしてこのコーナーで絶賛を浴びなさい。ねえ。稲田先生!うんうん!   円 丈

  
 【メニュ−】
8月お盆特別興行3日間
◎13日初日満員だぞ
◎14日中日だぞ
◎15日楽日だよ

        どれを?


煙に巻く円丈 


夏休み特別企画回予告!!
 

 8月お盆恒例納涼落語会(13日〜15日)

 8月13日〜15日18:30開演(開場18:00)】 【写真提供 東孝彦氏】

【初日だよ】

「初日、超満員の熱気ムンムン!出来も良かった!」

【出演者が熱演し過ぎてハネが10時!】

  いやあ、お客さんが入ったね。今年一番の入り。客が多いと直ぐ熱演するのが、芸人の悪い癖で。6時半に始まって終わってなんと夜の10時10分前!ホントみんな芸が好きだねえ。それに誰に聞いても3日間の中で内容的にも笑いも一番の日だった。よかった!よかった。(円丈)
【楽屋の時計はもう10時】

 

10月だよ 出演者
三遊亭かぬう 「腕の冒険」
三遊亭白鳥 「給水塔の幽霊」
春風亭昇輔

「荒川親子」

立川談之助 「鈴木宗男物語」
 中入り  
 
柳家喬太郎 「コードネーム」
柳家小ゑん 「理科系の男」
三遊亭円丈 「東京足立区伝説」



【初日】

早く良くなれ・・
     三遊亭かぬう「腕の冒険」

【あらすじ】
  交通事故で死んだ少女の腕が自立の旅に出る。もぎとられた腕だけが自我に目覚め、腕として生きることに。仕事を転々とし、十年が過ぎた。
【稲田評】

  入門時に作ったネタだそうですが、なかなかよく出来ている。職業を転々とする腕の苦悩がしっかりギャグ化されていてユニーク。初心を忘れず、頑張って欲しいですね。横浜にぎわい座の出演や、談志直門前座の破門騒動の顛末などを、虚実おりまぜながら綴る。

馬鹿ウケ! 三遊亭白鳥「給水塔の幽霊」

【あらすじ】
  田舎者の間抜けな青年二人、東京から来た転校生をやっつけてやろうと、山奥の給水塔に連れ出し、幽霊を見せて驚かそうとするが。
【稲田評】

 転校生にコンプレックスを抱く田舎者の馬鹿馬鹿しさをうまく語って、いつもながら笑いだくさんに仕立てていました。ようは「不動坊」なんですがね。

だんだんおもしろくなる 春風亭昇輔「荒川親子」

【あらすじ】
  ディズニーランドに行きたいと言う息子に、荒川遊園のほうが楽しいと説く父親。
【稲田評】
  ごく馬鹿馬鹿しい地域ネタで、瑣末なギャグが生きてました。

安心の立川談之助「鈴木宗男物語」

【あらすじ】
  鈴木宗男の評伝。二世議員ばかりの国会で、北海道の貧農の息子がいかにダーティな方法でのし上がってゆくか、そして、失脚した後の行く末を占う。
【稲田評】
 先代柳家やばめ風のおなじみの評伝ネタ。馬を売って大学の学費を作ったのが、実は隣の馬だったとか、ブラックなギャグがいつもながら冴え爆笑。

いつもお見事! 柳家喬太郎「コードネーム」

【あらすじ】
  そば屋の主人は実は元ブラジル移民。船が難破し助けられたカンボジアのポルポト派を失脚に追い込んだ男を敵としてつけねらっていた。男のコードネームは「泣いたかわうそ」。ある日、客の会話から、めざす敵が見付かるが…。
【稲田評】

 うーん、無理のあり過ぎる話。でも巧みな技量で今日も強引に聞かせました。恐るべし。マクラの円朝まつり裏話が愉快。

これをさせれば日本一 柳家小ゑん「理科系の男」

【あらすじ】
  バブルの後遺症を引きずっているコンパニオン二人、元の仲間が特許をとったエンジニアと結婚し優雅に暮らしているのを見て、自分たちも理科系の男をゲットしようと秋葉原へ。
【稲田評】
  小ゑんさんでなければ出来ないネタ。最後の言いたては見事でした。

足立と言えば三遊亭円丈「東京足立区伝説」

【あらすじ】
  世界創生は足立区からだったという壮大なストーリー。父なる荒川と母なる中川が愛し合い出来たのが、呪われた綾瀬川。神が最初に足立区につかわした人間は、禁断の綾瀬川の水を飲んでしまう。数百年が過ぎ、北千住の村長の息子は、足立区以外の世界を求め、南へと旅立つ。
【稲田評】
  数ケ月前のネタおろし作品、整理されて面白くなっていますね。RPGゲームのような感覚と、さまざまな駄洒落と強引な表現で、客の笑いをおおいに誘いました。


【客の薄い二日目!】

「客が少ない・・盛り上がりもイマイチ!」
【どうもこの日が3日間で一番ペケだった】

  前日客は100人を超したのにこの日は40人と寂しい。それより、彦いちくん、小田原丈と健闘はしたが、ややパワー不足だったようだ。それと最近、川柳師匠が少し元気がない。まあ、こんな日もあるさ!(円丈)
【楽屋には人がいたが、客席にはいなかった・・


総評。今月は良かったですよ。お客さんもまあまあ。そして内容の方は、みんな頑張って評判が良い会でした】

8月お盆興行中日(14日) 出演者
快楽亭ブラ汁 「ストリート・ミュージシャン」
三遊亭天どん 「合併家族」
古今亭錦之輔

「さばいばるんるん」

立川左談次 「読書日記」
 中入り  
 
三遊亭小田原丈 「レンタルヒデオ」
林家彦いち 「女銀行強盗」
川柳川柳 「パフィーでよろしくね」

 

進化を続ける・・快楽亭ブラ汁「ストリート・ミュージシャン」

【あらすじ】
  バンドがメジャーデビューしたのに一人仲間からはずされてしまった男、ストリートミュージシャンとして出発しようと、北千住の駅前に立つ。
【稲田評】

 そういうことはよくありそうな状況設定がおおいに笑いを誘う。ブラ汁さんはストーリー作りに深みが出てきましたね。

早く上天丼になれ! 三遊亭天どん「合併家族」

【あらすじ】
  不況の時代、家計が苦しい家族は、隣家と合併することに。お父さんは副お父さんになり、出来の悪い長男は末っ子に降格…。
【稲田評】
  発想は実に見事。前に聞いたときよりもふくらまそうとし過ぎてか、無駄が多くなっているのが残念。合併の意味と、出来の悪い長男を追い込んでゆくところに話を絞ったほうが面白くなると思うが。

早く良くなれ 古今亭錦之輔「さばいばるんるん」

【あらすじ】
  特殊部隊の隊員になった男、南海の無人島での訓練に参加する。男がうんこから戻ると、他の隊員はエイリアンの襲撃を受けて全滅、男はたった一人でエイリアンと戦うことに…。
【稲田評】
  春の「錦之輔独演会」の再演。馬鹿馬鹿しい訓練模様がギャグだくさんで綴られ、相変わらず独自のこだわりギャグも満載、楽しい一席。

ご存じ!本読む・ 立川左談次「読書日記」

【あらすじ】
  みにくいアヒルの子だった私(梅宮アンナ)、通らなりたい(林家こぶ平)、百円健康法を読む。
【稲田評】
いつもの通り、馬鹿馬鹿しい本をこきおろす批評眼の冴え。  

ブレーク寸前・・で止まるなよ・・ 三遊亭小田原丈「レンタルヒデオ」

【あらすじ】
  出生の秘密を明かされたヒデオ少年の苦悩。
【稲田評】
 「応用落語」の頃の、小田原丈さん初期の作品。駄洒落を強引に一席にしたネタではあるが、小田原丈さんのキャラクターにあっているネタで、小品の面白さは十分。

真打ちの貫禄を示せ・・林家彦いち「女銀行強盗」

【あらすじ】
  失恋した保母さんを悪党がけしかけて(自己開発セミナーだと騙し)銀行強盗をさせる。銀行でパニックになった保母さん、応対に出た支店長を巻き込んで騒動に。
【稲田評】

  「応用落語」の頃のネタで練り直してよく演じているネタ。にしては、流れが悪い。後半の保母さんと支店長のパニックぶりはおおいに笑える。ようは落語も気合次第か。

まだ30年はいけるぞ・・ 川柳川柳「パフィーでよろしくね」

【あらすじ】
  甲子園のテーマソングを批判する、おなじみのネタ。
【稲田評】
  ※ということです。

【こんなもんかの3日目!】

「まあ、なんとか合格点なのか?」
【レギュラーの少ない日】

  この日、世之介くんが、早く来てネタ下ろしの音合わせをしてた。しかもS.Eの専門家を2人連れてきて。しかも自費で!ネタはやや疑古典だが、この姿勢はエライ。
  全体的には2日目より、客も多くて、出来もやや良かったようだ。まあ、なんとか合格点かなと言うところ!(円丈)
【早く来て音合わせする世之介師匠。エライ!】


8月お盆興行楽日(15日) 出演者
春風亭小町 「シルバーパートナー」
川柳つくし 「イマイチの男」
三遊亭らん丈

「新明解国語辞典」

夢月亭清麿 「優しさだけが怖かった」
 中入り  
 
金原亭世之介 「平賀源内と白鳥の恩返し」
ガッポリ建設 「シュールコント色々」
三遊亭円丈 「藪椿の陰」

【3日目】

春風亭小町「シルバーパートナー」

【あらすじ】
  独り暮らしの若者に同居してくれる老人を斡旋するというセールスマン、うっかり話に乗ってしまった若者に老人は小言を言ったり飯を食わせろと言ったり、揚句に…。
【稲田評】
  ※発想は面白い。もう少し構成をしつかり作って無理なく聞かせられる工夫をすればネタとしては使えるでしょう。作る力があることはわかった。あとは、ちゃんと大きな声で演じられるかな?

川柳つくし「イマイチの男」

【あらすじ】
  三十歳の女が結婚をあせりまくり、イマイチの男でもいいと見合いでゲットするが…。
【稲田評】
  ※先日ネタおろしのネタを整理、笑えるけど、ああいうあせり方をする女は、むしろ女性からの共感は得られない。男の視点から落語として作ったというならわかるが。もっとつくしさんは女の視点でものごとを語っていい。マクラなど、受け筋のネタで随分奮闘。芸人としての成長はいちぢるしい。
     三遊亭らん丈「新明解国語辞典」

【あらすじ】
  国語辞典に掲載の馬鹿馬鹿しい意味や文例を紹介の得意ネタ
【稲田評】

  受けるネタをよく見つけました。でも、正月もこのネタだったのでは?

     夢月亭清麿「優しさだけが怖かった
【あらすじ】
  ホモの教師が生徒を口説く。いやがる生徒に、いかにも正論を説く教師だが…。
【稲田評】

  ※清麿さんの得意ネタ。独自の怪しい世界が展開。でも、これって20年前のネタですよね。感慨多し。
     金原亭世之介「平賀源内と白鳥の恩返し」
【あらすじ】
  平賀源内の下男が白鳥を助ける。白鳥は女になって恩返しに来るが、ある日、下男のもとを去って行く。病の床についた下男を源内は見舞うが。
【稲田評】
  ※テルミンを演奏したり、さりげなく土用のネタで鰻屋の宣伝をしたり、なかなかの熱演でした。ネタは頓知のきいた擬古典落語というのでしょうか。

     ガッポり建設 「コントあれこれ」

【あらすじ】
  いろんなコントをやりまくり、いつものコントの客と反応が違うのでややあせっていた。
【稲田評】
  コントに転向したぐん丈さんと、元ばか生さんのコンビ。好き嫌いはあるけど、この会にはいい味付けの色物。乞再度出演。
     三遊亭円丈「藪椿の陰」
【あらすじ】
  足立区のある家族、そこへある日、コモンドールとセントバーナードの雑種と思われる不思議な格好の大型犬がやって来る。家は大騒動。しかし、ふとしたことで、犬は出て行ってしまう。ばらばらだった家族が一つになり犬を探す日々。数ケ月後、大イチョウの木の下に衰弱した犬を見つけるが…。
【稲田評】
  ※うちも犬がいるので、ほとんど同じような状況です。そういう意味では、円丈師ならではのネタでしょう。初演の時と変えたラストシーンが効果的でした。


  ほんでもって結論・・稲田先生


稲田:総評というか、プログラムを考えたほうがいいでしょうね。 今回、客のばらつきがあり過ぎましたね。三日やる意味があるのかという問題も残ると思います。
円丈:そうですね。2日で充分なのかもしれませんね。

 



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