ノラ犬ドキュメント第4回(2001年8月〜9月 )
 帰ってきたイソちゃん

 

  (イソちゃん。どこまでも走れ!)
 イソちゃんを取り巻く状況はますますエキサティングになった。イ ソちゃんは、外で合う分には楽しいが、しかしイソちゃんを飼おうと思った時、あまりにも困難が多すぎる。しかし既に保健所に3回連絡されてる。時間はそれほどない。 三遊亭 円 丈

 

 再会したイソちゃんは痩せて警戒心が強くなっていた!
 雨上がり後、場所を聞いてその空き地に来ると草むらの中で近づくと吠える警戒するイソちゃんが いた。近づくろっきぃと私に吠えながら、後ずさりして行く。この 一ヶ月ほどでスッカリ警戒心の強い犬になっていた。 声を掛けながら近づいてエサを見せた。やがておずおずと近づいてエサをむさぼり食った。
  かなり痩せ、体には方々。ドロが付いていた。それに顔の表情に生 活に苦労が滲み出て貧相な顔になった。それがこの1ヶ月のイソち ゃんの苦労を物語っている。
 ポケットには一応犬の鎖を入れていたが、ヘタに捕獲に失敗すると更に捕まえるのが困難になるので止めた。公園までイソチャンは付いてきて。ろっきぃとじゃれて遊んだ。 その内にイソちゃんはきれいになった。くんずほぐれつ遊んでいる うちにイソちゃんの汚れがろっきぃの体に移ってきれいになった。 つまりろっきぃはタオルとブラシ代わりに使われた。 それでも毎日、家族の誰かが餌をやりはじめたら警戒心は少しなくなった。

(目に輝きが失せ、警戒心が出てきた)


イソちゃんの新しい恋人!
 【イソちゃんには頼れるオスが必要!
 メスのノラ犬イソちゃんには、頼れる強いオスが必要なんだ。今回はこの秋田犬がそうなんだ。いつもはこの写真の4〜50m手前の空き地にいる。あまりこの犬に近づいて飼い主から追い払われるので遠まきにしてることが多い。

 それでも ここがイソちゃんの居場所なのだ。いつもこの犬のそばにいる。2〜3000坪ありそうなこの空き地が、イソちゃんの我家なんだ。これ以外の生き方は、イソちゃんには出来ない。そして警戒心のつよい、エサを貰う時と他の犬と遊ぶ時だけよって来て遊ぶ完全野良犬化が進んでる。果たして本当にイソちゃんを捕獲しても飼い犬にさせられるのか?正直、自信はない。



 


これがイソちゃんの食生活!
 【実はちゃっかり飼い犬のエサを食べていた
 そうなんだ。実はどうも居候してる犬のエサをちゃっかり食べていたらしい。 前のシベリアンハスキーの時はハスキーちゃんの餌を食べ!今度は秋田犬の犬のエサをチャッカリ食べ。それで秋田犬の飼い主に追っかけ回されたりして、やや人間不信になったようだ。
  【ノラの仁義、半分しか食べない】
 しかしイソちゃんはあくまで居候犬。だからエサの半分しか食べない。残りの半分は相手の犬に残す。これが居候犬の仁義。うちのろっきぃと一緒に食べさせると4ツブのドッグフードを2粒しか食わない。なかなか礼儀正しい犬だ。

【一緒に食うと急に食い出す】
  イソちゃんにだけ、エサをやるとあまり食べない。お腹が一杯だと思うが、これがろっきぃと一緒だと急にガツガツ食い出す!これはいつも一緒にエサを失敬して食べてる時の習性だね。早く食べないと食い損なうので急いで食べ出す訳だ。
【意外に困ってる水】
エサは最近、愛犬家が、大分くれるようになったのでなんとかなるが、ノラ犬をしてると意外に困るのが水。人間みたいに公園に行って蛇口を捻ることが出来ない。
【いつものドッグフード以外はあまり食べない】
このイソちゃん。犬用に売ってる魚は食べないし、ステック状のエサももぐもぐ食べるだけであまりすきじゃないみたい。とにかくいつも主食に食べてるドッグフードが一番のようだ。



すげえぞ!イソちゃんの運動能力
 このイソちゃんの運動能力はスゴイ!持久力、スピード共にうちのろっきぃはとても叶わない。しかも柵を超える。ブロック塀すら超えてしまう。大変なジャンプ力だ。
  しかしこの高い運動能力が、飼育する時、大きなネックになる。しかも首が先の方がやや細くタテガミがないので首輪は直ぐ抜けそう。自由の掛けまわるノラ犬には最適だが、飼うとなると大変そうだ。

(見よ。この絞り込まれた体。やや足は短いものの、素晴らしい!)

 


イソちゃんとろっきぃの微妙な関係
途中でイソちゃんがついてきて来て見えなくなるとろっきぃは、振り返って動こ うとしない。どうもイソちゃんには、姉妹に近い強い感情をもってる。しかしイソちゃんの方はどうもそうでもないようだ。
  【その理由は】
 ろっきぃの中では一番たくさん遊んだ犬。しかしイソちゃんは、どんな犬とも遊ぶからそれは、たくさんいる友達の1頭でしかない。
【順位は一応ろっきぃが上】
 2頭の遊びの中でイソちゃんはろっきぃに腹を見せる!だから一応、ろっきぃの順位が上!しかしそれでもイソちゃんは、持ち前の持久力とスピードで挑戦してくる。この2頭の順位、将来はヒックリ返るかもしれない。

  (写真:以前より、顔も体も痩せた)





 悪戦苦闘の捕獲第1回第2回...何時も逃げられる!
【おいでおいで第1作戦・・柵をジャンプして逃げ、失敗!】
  散歩でついてきた来たイソちゃんは距離を保ちながら、路地や、民家の廻りを探りながら着いてきた。しかしだましだまし自宅の前に来た。そこで家の前でエサをやる。隙を見て尻尾を掴もうと手を少し動かした瞬間、サッと下がる!また警戒しながらエサを食べ始めた。こりゃあ、捕まえるのは骨だぞ!

 そこで庭の柵を開け。ろっきぃをオトリにして庭の中け入れるとイソちゃんも続いて入り!そこで柵を締める。じゃ〜〜ん、大成功!ハハハ、犬なんてチョロイもんだ。まあ、しばらくはこのままにしておこう!
 ところが
ろっきぃとイソちゃんが、庭で追いかけっこ。しばらくして様子をみるとろっきぃは柵の中!イソちゃんは柵の外でお互い顔を見合ってる!なんとジャンプして出てしまった。もう完全な失敗だった!

【おいでおいで第2作戦・・ブロック塀をジャンプして逃げ失敗!】
 翌日、かみさんが、イソちゃんをだましだまし。連れてきたらまた柵の中に入り。ろっきぃとふざけてるうちになんとブロック塀をジャンプして外へ!しかしイソちゃんはまた戻ってきたが、またブロック塀をジャンプ!そして消えて行った。
  今まで3頭のロッキーは、柵もブロック塀もどれも超えたことがなかった!しかしイソちゃんは楽に軽くジャンプ!この並外れた運動能力が、飼育する時に大変なネックになる。本当にイソちゃんの飼育は可能のなのか?




 悪戦苦闘の捕獲第3回...またまたまた失敗!
【首輪作戦失敗3・・首輪がスポン】
  散歩の帰り、例によってイソちゃんがついて来た。そしてまた柵から庭に入った。この日は長男が来ていたので。共同作戦でこの柵の方に追い込んできたところを私が柵の外でジャンプしようとしたイソちゃんをガシッと掴む。そこで息子があらかじめヒモをつけた首輪を着けると言う作戦!
  そこで手筈通りに追い込むと柵に来てジャンプ!そこをダッコする形で捕まえた。イソちゃんはもう大暴れして足の爪で私の腕をガリガリ!擦り傷なんかでひるんでいられない。息子が、夢中で首輪を!そして「アア、付けたよ」そして犬を離して一秒後!首輪がスポン!
息子が「あっ、首輪が抜けた!」なんと苦労してつけた首輪が、1秒後に外れた。あ〜〜あ、もうガックリ!!


悪戦苦闘の捕獲第4回...殆ど捕獲不可能!
【胴輪作戦失敗4・・イソちゃんにガブッと噛まれて負傷!】
 そのあと。もうすでにイソちゃん用の胴輪は買ってあった。そこで今度は抜けないように胴輪を付けよう。これさえつければイソちゃんは、もう逃げれない。皮じゃんと軍手で武装して私は捕まえ役。庭を追いまわすとイソちゃんは、ブロック塀の角のところへ。良かった。ジャンプ出来ないように25cm深くしたんだ。
  ところが、その25cmをハンデにも関わらず、ジャンプ!なんとブロック塀の上まで前足が届く。「おい!逃げるぞ!」そこで尻尾を掴んで引きずり降ろした。するとイソちゃんは私の手にガブと噛み付いた。それでも尚を「胴輪だ!」と叫んだが、しかし息子はひるんでしまい、手を出そうとしない。その間に手から尻尾がスルッと抜けた。あああ、ダメだ。こりゃあ!疲れた。とにかくこの日は捕まえるのをあきらめた。

(写真:1日たったイソちゃん引っ掻きキズ!噛まれたのは手!でも凶暴性はないよ)


30分後、柵を軽々と越え出て行った!


 イソちゃんはまだ庭にいたが柵は閉めたまま。イソちゃんは、庭の隅に植え込みの下に逃げ込んだ。蚊に刺されては可愛そうとカミさんは、イソちゃんの近くに香取線香をおいた。そして30分後庭の方でカリカリッと短い音がした。イソちゃんは軽々と柵を越え逃げて行った。ろっきぃは、家の中から網戸越しにイソちゃんを見送った。その夜、ろっきぃはなんだか元気がなかった。そしてカミさんは言った。「あの犬と縁がなかったのよ」

【助けようとすると逆にイソちゃんを追い詰めてしまう】
 しかし悲しい。イソちゃんをなんとかしようとする思いの捕獲の行動が、ますます人間不信の犬にしてしまう。イソちゃんと私の関係も悪くなる。9月になるとメスのイソちゃんはサカリが来そうだ。もしメスのノラ犬が、妊娠でもしたら、果たしてイソちゃんは、生きていけるのか?またその仔犬はどうするんだ?そう考える今のうちに保護しないと思う。噛まれた手だけが妙にズキンズキンと痛んだ。


(写真:空き地で首輪を付けようとするかみさん。こんなんじゃ絶対捕まらない!)


本当にイソちゃんを飼育出来るか?
 今回の出来事は本当にイソちゃんの飼育が可能なのか?それを思い知らされた。イソちゃんも最終的にはろっきぃと同じようにうちの中で飼育したいと思ってる。しかしそんなことが可能なのか?
【問題点1】.24時間繋ぎっぱなし以外の飼育ができるのか?
 庭で飼育するとブロックは簡単に乗り越えて逃げてしまうだろう。しかも自由に生きていた犬は、2.3ヶ月飼育して少し氏慣れてもあらゆるチャンスに逃亡しそうだ。これを阻止するのは殆ど不可能に近い。多分、直ぐにまたノラに戻るだろう?また捕まえる!その繰り返しにならないか?でもそれはイソちゃんにとって私はただ犬を虐待するおじさんにしかならない。そんなつもりはないのに!難しい。
【問題点2】繋ぐと夜は吠えそう!
 イソちゃんは、夜、秋田犬のそばで吠えてうるさいと言うので保健所に通報されたそうだ。鎖で繋いだら吠えそうだ。ああ、頭がいたい!
【問題点3】命令は全く聞かないイソちゃん!
空き地でもエサをやる時、おすわり!なんていうが全然だめ。庭に入った時も「おすわり」「おて」をさせるが、やはりだめ。
【問題点4】飼育方法のステップ
(1)逃走防止ネットを作り、庭で飼い。夜は繋いで置こうかと思 う。
(2)少し落ち着き、命令に少し服従するまでは庭で飼う。
(3)そのあと家の中で飼う。これは2〜3ヶ月はかかりそう。
【問題点5】結局ノラ犬の心は捨てられるのか?
  これだけ自由に生きてきた犬が、本当に飼い犬の心になれるのか?これが全ての問題だ。あれほど自由に生きてきたイソちゃんがそう簡単にノラ犬の心をなくすのか?しかしこれが取れないと。私にもイソちゃんにも不幸な結果に終わる気もする。捕まえるだけなら保健所に頼んで引き取りに行けばいいんだが、しかし本当に飼い切れるのか?



イソちゃんのノラ犬生活とは?
 今度の空き地に来た時のイソちゃんは、この頃、秋田犬の餌は食べてないらしく痩せていてエサをガツガツ食べる。でも一週間ほど経ち、いろんな人がイソちゃんを知るようになると結構チョクチョクとエサを貰えるようになった。この空き地がを中心に、その直ぐ近くの公園で犬の散歩を見ると追っかけて行き、公園で犬と遊ぶ。決して人を威嚇しないし、どんな犬とでも遊べる凄い特技だ。

  心配をよそに元気に走り回っている。この生活がず〜っと続けられれば幸せなんだが。しかしそろそろサカリがつくのでは?毛が短いので暑さには強いが逆に冬は弱いのでは?9月中にはなんとかしないとなあ。
   
(なにを考えるのかイソちゃん)


そう、イソちゃんを野生の暴れ馬だと思っちゃおう!
 翌日、ろっきぃを連れてイソちゃんに会いに行った。私の顔を見て逃げるでもなく、なんと以前と同じ!それどころか前よりはるかに親しげな態度。ヘンな犬。イソちゃんにとってあれは単なるレクリエーションだったのか?まだ飼いもしないのに!余計な心配して。
  そう野生の暴れ馬だと思えばいい。飼ってみたら名馬だったと言うこともある。イソちゃんは利口な犬だ。きっと素晴らしい飼い犬になってくれるさ。それにイソのヒモも胴輪も5m伸びるヒモも買った。

【今後イソちゃん計画!】
(1)9月中にイソちゃんに胴輪とヒモを付ける。
(2)一週間以内に「マテ」と「オスワリ」を教え。それから体を洗う!
(3)獣医さんに連れて行き、フェラリアの検査、予防注射、悪いが不妊手術をする。
(4)そして少し様子を見て。
(4)室で飼う!
(5)逃げられても直ぐ捕まえられるように胴輪に20cmほどのヒモと名札を付ける
(6)逃げたらまた捕まえに行く。
 以上5と6を繰り返す!まあ、1年もすりゃあ飼い犬になるだろう。

  (写真:これがイソちゃん用のヒモ、胴輪など購入。イソちゃん覚悟)

 

 ◎イソちゃんにややひるんだ円丈だが、今再び闘志が湧いてきた!さて、どうなるのか?続く・・・・。


   


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