先代ロッキ−一回忌スペシャル
初代ロッキ−ってどんな犬

         三 遊 亭 円 丈 
 早いもので99年9月28日で初代ロッキ−が死んで一年。
 初代ロッキ−は、人から見ればお馬鹿犬だったかもしれない。でもロッキ−は私に犬のすばらしさを教えてくれた先生。
 そして私の永遠の友!
 そして大切な家族!
 そして我が家の守護神!

 その初代とはどんな犬だったのか?ここに紹介をしたい。読もうね!!

(円丈画伯による迫真のロッキ-像)  
        

               
        [[[ メニュ− ]]]
ホントは鶏を飼いたかった
ロッキ−がやってきた
実は犬嫌いだった!
初代ロッキ−はこんな性格
 「プチプチか?」って言うと起こった。
 噛み癖が死ぬまでなおらなかった。
 叱ると怒る!!
 自分を人間だと思っていた。
 天真爛漫な貴公子ロッキ− 
            どれを?



 
ホントは鶏を飼いたかった

 以前都営住宅に住んでいたが、都が「金を貸すから出てってくれ」と言われ、同じ足立区の六町に一戸建てを建てることになった。
少しだが庭もあり、その庭で鶏を放し飼いにしたかった。
「庭に鶏を5.6羽を放し飼い!しかも毎日新鮮な卵も生むし、適当に食えるし、ペットで同時に家計の節約にもなる。イヤ、こりゃあ、イイ!」
ところがこれに家族が猛反対。
「ニワトリなんか飼ったら朝うるさくて寝られない。猫に食われる。フンだらけになる」
「じゃあ何が良い?」
「犬〜〜〜っ!!」
「えっ、犬?犬はなあ.」
「犬がいい〜〜っ!」
「じゃあしょうがない。犬を飼おう。ああ〜〜あ!」
犬はそんなに好きな動物じゃないけど。仕方がない。
そこで早速、ペットショップへ安い雑種を買いに!すると
「なにいってんですか?雑種なんか売ってる訳ないでしょう。みんな血統書付きですよ」
「エッ、そうなの?」
知らなかった。雑種も5千円ぐらいで売ってると思った。その店に子犬の写真が何枚か、貼ってある。その中に一枚に柴犬がいた。それがロッキ−だった。来月生後3ヶ月には引き渡せる。値段は6万円。それでこのロッキ-を買うことにした。

 


 
ロッキ−がやってきた

 生後3ヶ月のロッキーは、家に連れてくるとブルブルと震えていた。性格は基本的にはシャイな犬で当時、中学生だった子供たちに名前を付けさせたら
「ロッキー!」
「カエデ!」
ってわけが分からない。
「柴犬のオスだよ!じゃまあ良い。ロッキーにしよう!」
と名前がついた。
基本的には庭で飼っていたが、子供たちが、
「かあああいい」
なんてドンドン家の中に上げるわ。お菓子でもなんでもやる。しかしこれは良くない。最初は落ち着いた環境がないとガチャガチャした犬になる。
 でも寝るときは外の犬小屋と言う生活だった。しかし季節が秋も深まり、寒くなった頃、ロッキ−は雨戸をガリガリと引っかき
「中にいれろ。このやろう!都合のいい時だけ中に入れて、寝るときだけ外なんてふざけるな。ガリガリガリガリ!」
うん、
ロッキ−の意見は正しい!そして一緒に中で暮らすことになった。

 
実は犬は嫌いだった!!

なぜ、犬が嫌いか?理由は単純!“尻尾を振る奴がきらい!”だから!私が尻尾を振らないと人間と言うより。振れない人間。だから犬が嫌い。
ところがロッキ−は、仕事から帰って来ると猛烈に尻尾をふって大歓迎する。それを見ると逆に
「なんだ、こいつは?まだ子犬の癖にヨイショで尻尾なんか振って。いやだねえ!!だから犬はイヤ!」
と思って殆んど無視し続けた。これが人間だったらこんな状態が続くと
「何だよ!おれがこんなに尻尾を振ってやってるのに無視しやがってふざんじゃあねえよ!」
となる。
ところが
動物は純粋。どんなに無視され続けても雨の日も風の日も必死に尻尾を振り続けるその姿に負けたね。正直、ほんとに感動した。
「えらい!なんてエライ奴なんだろう」
そして私はロッキ−に少しだけ心を開いたら、サッと入り込み。私の心に棲みついた。犬は人の心に棲む動物なんだ。しかも毎日心の中で成長し続け、一年もするとロッキ−のいない生活なんて想像もできなくなってしまった。それがロッキ−だった。

(先代のお供えを掠め取る今のロッキ−)



初代ロッキ−はこんな性格

ほんじゃ初代ロッキ−はどんな性格だったのか?
     実はこんな性格....。
1.「プチプチか?」で怒ったロッキ−

 このプチプチとは「爪切り」のこと。先代ロッキ−は、この爪きりが死ぬほど嫌い。それで「プチプチか?」って言うと歯を剥き出して怒った訳だ。そもそも最初に爪きりの時、切り過ぎて血が出た。その時切ったのが私!じゃあ私が原因を作ったのか?

2.噛み癖がだけは直らなかった

 元々少し気の弱いシャイな犬で。弱い犬は自己防衛で噛んだり、吠えたりする。ロッキ−もいつも恐怖心があってその恐怖心から本能的にパクッと噛む。でも瞬間的に噛むだけだからすぐに離した。
 それにいつも噛む訳ではなく年に2.3回パクッとやられる程度だった。でもこれは致命的な欠陥。この噛み癖があるから病気しても獣医さんに連れていけなかった。

(画像:精悍でどこか野性味の残るロッキ−)

 

 
3.叱ると怒る!!

ロッキ−は叱られるのが大嫌いで。
「コラッ!ロッキ−!」って叱ると
「なんでお前は叱るんだ!叱られるのがイヤなんだ。う〜〜〜う!」
って唸り返す。
叱ると怒る!イヤな犬だね。
 これは自分がイヤな時は、どんなに叱っても怒る!でもこれはまずいよね。やはり服従してもらわないと。ロッキ−のためにも良くない。
そこでなんとか直そうと一度は
ロッキ−の口の中から血を出るほど思い切りぶん殴った。それでもロッキ−は服従しなかった。
 そこでハッと気づいた。こんなことをしてたら最後はロッキ−を殺してしまう。別に殺すために犬を飼った訳ではない。
それから私はロッキ−を友達として扱い一切の仕付けを放棄した。

 でもこれともうひとつ噛み癖。もし欧米で飼われていたらロッキ−は処分されていたろうね。でもこれはロッキ−の責任ではない。日本犬に問題行動の犬が多いのは、日本の飼い主が
「いやあ、なかなか野趣があって良いねえ!」
 なんて選別もしないで野生の血を残してきたせいだと思う。鎖で繋いで買う分には良いが、座敷で一緒に暮らす時、結構問題になる。


4.自分を人間だと思っていた

 ロッキ−は、人間と同じ物を食べ、同じ所で寝てたので完全に自分を人間だと思っていた。だから逆に散歩に行った時、他の犬に冷淡、よその犬が近寄って来ると
「なんだ。犬か?あっち行けよ!」
なんて顔をした。でもサカリがつくと必死にメス犬に近づいた。それじゃあ、なんか矛盾してるじゃないか?
 でもロッキ−にはその矛盾を理解する能力がなかったので全然、矛盾ではなかった。めでたし、めでたし!

5.貴公子ロッキ−。誇り高い天真爛漫な犬

 このロッキ−。噛み癖だ、唸るだと書くと粗野な犬のように思えるが、それ以外は全く貴公子ロッキ−。先ず今のロッキ−のように拾い食いしないし。仮に外で人が何かくれても決して食べなかった。また吠えることもなかった。
 来客には主人に代わって全力で大歓迎し、私が帰宅すると尻尾が千切れんばかりにふってくれた。
 他の犬から比較すると能力的、知能的にやや落ちたかもしれない。またうちの弟子たちもバカ犬だと思ってたようだが、私にとってロッキ−は友であり、犬の素晴らしさを教えてくれた先生であり、今も尚私を守る守護神。ロッキ−には、感謝と友情と尊敬の念を持っている。ロッキ−お前はホントに素晴らしい犬だった。思い出をありがとう!

(画像:若かった私と初代ロッキ−)




 
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