犬本のベストセラ−

 初代ロッキ−のころ。犬の本は、どの本屋で数冊ぐらいしかなかったが、今大体2〜30冊は置いてある。去年の秋頃、随分この犬本をよんだ。正直もう飽きた。今回はその中で目に付いた犬本だけ取り上げた。
                      
三遊亭 円丈

     【メニュ−】
  ◎名作『犬たちの隠された生活』
  ◎米でベストセラ−『ゾウがすすり泣くとき』
  ◎元祖ペットロス本『ペットロス.ケア』
  ◎おまけ.......ペットの碑文
  ◎更におまけ!飼育本ならこのタイプ
          どれを?

 


名作だが買う事を勧めない
     『犬たちの隠された生活』

(The Hidden Life of Dogs)エリザベス.M.ト−マス 深町真理子訳 草思社 定価1600円税別 1995年9月20日 第11刷発行 

 【 説 明 】
動物学者であり、人類学者のエリザベス.M.ト−マスが、自宅で30年間放任主義の飼い方で犬を20頭以上を飼いつづけた。その観察日記とでも言えばいいのだろうか?本来は「動物に意識があるか」をテ−マにした本だが、読みつづけるうちにこれは犬と犬の愛の物語のように思えた。アメリカで1993年発行され、その年だけで26万部を売ったベストセラ−!!    


【名作!犬と犬の愛の物語】
 学者だけに淡々と書かれたいる。それが、また良い。なかなかの名作だ。....しかし翻訳がしっくりこない。背中がむずむずしてくる。読みにくい。そのうえ章立てが一切なく、最初から最後まで途切れなく続く。章立てがないと妙にプレッシャ−を感じる。だから買うことを勧めない。読み終わったあと不思議な感動を覚える。それは犬たちの愛の物語だからだろうか。その犬たちの愛を少し紹介しよう。

  
【犬たちの愛】

  【犬達の愛・1】マリアとミ−シャ
  犬のマリアとミ−シャの愛!元の飼い主に引き取られるミ−シャをドアのガラス越しにそれを見つづけるマリア。そのあと二週間、毎日ガラス越しに外を見続けるが、やがてミ−シャが帰って来ないと覚ってから、それ以後マリアは、性格まで変わってしまう。
  【犬達の愛・2】ビンゴとバイオレット
  それからパグと言う小型犬のビンゴ(オス)に対するバイオレット(メス)の愛。愛するビンゴの手術予定日、バイオレットは、何かを感じとり、ビンゴの連れて行かれる車に乗ろうとするのを無理矢理連れ戻され、ホ−ルのテ−ブルの下ジッとビンゴを待ちつづけ、その夜、生まれて初めて遠吠えをする。
  ビンゴが帰ってきたとき、狂ったように大喜びをする。だが二度目の手術でビンゴは死亡し帰らぬ犬となったが、バイオレットは、なぜ戻ってこないのか、理解できず不安と恐れでおびえるようになり、一年後に死亡。
  【犬達の愛・3】スエッシとその兄弟
  長年暮らしてきたハスキ−犬の兄弟3頭の内スエッシが、病院で死亡し。そのスエッシの首輪を見せると兄弟のファテイマとイヌックシックは、首輪に附いたスエッシの匂いを充分嗅ぐとなにが起こったか察した。
   2頭は、立ち尽くし、ただ互いに見つめ合い、突然麝香めいた匂いを発し始めた。冷たい湯気のようにじわじわと立ち昇り、しだいに強くなってやがて室内に充満した。
 2.3週間後にイヌックシックも死に最後に残された1頭ファテイマは、やがて自分の死期の近いことをさとり、森の中に姿をけして行った。その後あらゆる捜索にもかかわらずファテイマの消息はつかめなかった。

【読んだ感想】
 我々人間は、犬が人に尽くしてくれる動物だと思い込んでるが、結局、人間にとって大切なのが人間であるように犬に取っても一番大切なのはやはりその群れの犬なのだ!
 年を取り飼い主さえ忘れてしまっても自分の帰属する群れの犬たちは決して忘れない。人と犬の愛はやはり第二次的なものなのだ。最後まで読み終わった時の印象は鮮烈だ。ただそこまで読むのに少しギクシャクした感じがする。実に惜しい本だ。

 


全米50万部!動物の意識本
     『ゾウがすすり泣くとき』 

(When Elehpants Weep)ジェフリ−.M.マッソン ス−ザン.マッカシ−共著 小梨直訳  河出書房新社 定価1942円税別 1996年11月25日発行 (1994年イギリス ジョナサン.ケ−プ社発行)

【内容】
 「動物に意識があるか?」と言うテ−マで世界中の文献を集めた動物学の分厚い本。実に読み出がある。全部が文献の本。
 正直こんな硬派な本が、アメリカでベストセラ−になるのはびっくりだ!アメリカ人の知的好奇心が旺盛な証拠だ。これだけでもアメリカはまだまだ健全で底力がある。
 一方日本では4年前に翻訳され発売されたが、今だに初版!日本人の好奇心や知識欲求は今、極端に低下してる。悲しい。
    

【説明】
 なんで犬の本に象がでるんだ?「動物意識本」ハシリだ。動物学では、ごく最近まで動物に意識があると発言すればそれは動物の擬人化と思われ、まともな動物学者として相手にされなくなるような状況が続いていた。その最初に出た動物意識本がコレ!この本の影響を受けて最初に紹介した『犬たちの隠された生活』が出版されたと言う分けだ。
 でも野生のアフリカ象が、死んだ母親の頭蓋骨に遭遇し、鼻でゆっくりと味わうように何時間もその骨に触りつづけた話(野生動物は、匂いで個体を識別してるので分かるらしい)とか、じっくりよんでところどころ面白いとこもある。しかしこれがなんと全米で50万部の大ベストセラ−になったのだ。信じられん。


1982年発売の元祖ペットロス本
      『ペットロス.ケア』

(Pet Loss)ハ−バ−ト.A.ニ−バ−グ ア−リン.フィッシャ− 共著 吉田千史/武田とし恵訳  読売新聞社  定価1700円+税1998年年4月5日発行 Harper&Row社1982年に初版が出てる。(1997年アメリカ Harper&Row社初版発行)

 

【解説】
日本で「ペットロス症候群」と言われだしたのは、つい2年ほど前だが、この「ペットロスケア」は、1982年にアメリカで出版されている。
いやあ、さすがペット先進国だ。しかも内容が、実に細かく書いてあり、もう至れり、尽せりだ。これがあればペットロス本はなにも要らない。
   

【説明】
とにかく内容が非常にこと細かく書かれてる。例えば
第2章 別離------悲嘆の理解では、
 喪失の対処、定型的な悲嘆反応、第一段階:無感覚 第二段階:苦痛の感情-怒り、罪悪感、抑うつ、悲嘆の激痛などなど実にきちんとプロセスをえて説明している。

第1段階:無感覚
死んだ瞬間、その事実をどうしても受け入れることができない。うちのロッキ−が死んだとき、かみさんが「ロッキ−朝だよ。起きなさい!」と言ってあの行動だね。
第2段階:別離------悲嘆の理解
本格的なペットロスの症状として罪悪感、抑うつ、悲嘆が襲ってくる。そしてその対応などが書いてある。
その他の内容
ペットをなくした子どもの援助とか、ペットが急死したとき、安楽死。ペットを葬る。新しいペットを迎えるべきか?死別以外の喪失、獣医師の役割とか、至れり尽くせりだね。

【決定】もうこの一冊あればアトはいらない。しかもペットのお墓の碑文まである。なかなか良いのでおまけに碑文を付けた。


おまけ!!『ペットロス.ケア』にあった
       ぺットの碑文


碑文その1

 犬に捧げる賛辞

この世界の中で人間がもつことの出来る友達の中で、まったく利己心のない友だち、人間をけっして見捨てることのない友だち、.....(途中省略).......それは犬だ。.
   
....(途中省略).......
 ほかの友だちがすべて去っても、犬は残る。富が逃げ去り、名声が崩れ落ちても、太陽が東の空に上がり西の空に沈むように、犬の主人への愛は変わらない。

(感想)チョッとみみっちい感じもするけど。うん、気持はわかる。

 


碑文その2

  寂しい家

.床の上に猫の足跡がつくことはもうない
ドアに泥だらけの引っかき傷がつくこともない

階段についたフワフワした毛
椅子についたレ−スのような模様

私のベットについたくぼみは
そこに彼女が頭をのせたしるし

窓ガラスの汚れは
彼女が当てもなく外を見ていた証拠

彼女がよく陣取っていた所は
もう彼女がいなくなったことを私たちに思い出させる

家は前よりこぎれいになった、それは本当のこと
けれども、シ−ンと静まり返り、がらんどうのようになった、
それも本当のこと

 (感想)ネコの碑文だけど。なんか..こう言うのいいなあ。

碑文その3

 1頭のニュ−ファンドランド犬に捧げる記念碑文
  
(1808年 バイロンが忠実な友に捧げた碑文)
 
 ここに眠るのは、美しかったが虚栄を持たず、強かったが傲慢ではなく、勇敢だったが残忍ではなく、人間にそなわるすべての美点を持ちながら、その悪徳とは無縁だったものの亡骸である。
 人間の亡骸の上に刻まれるならば、無意味なへつらいになるであろうこの賞賛は、ほかならぬ1頭の犬、ポ−ツウエインの霊にささげられる賛辞である。 

(感想)あの詩人バイロンにしちゃあ。少し硬いね。


更におまけ!飼育本ならこのタイプ
『愛犬のトラブル100必ず直せるしつけ方』   

新星出版社 小林豊和/藤原良己/渡辺格共著 定価1200円+税
1998年6月20日初版発行 1999年8月15日第9刷発行

【説明】
 これは完全な犬の実用書で飼育上のトラブルの殆んどのことが書いてある。私の場合、柴犬の本を4冊持っているけどその本より、この本の方がずっと役に立った。
 ただ今のロッキ−が、おバカなので効果は上がってないが、普通の犬ならかなり役立つ。うちのロッキ−は例外だね。それぞれの得意分野で4人の著者が、分担してるので信頼できる。最近この手の本も何冊かでてるのでざっと目を通して一番会った本を持ってると良い。
  

 

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