講師 三遊亭 円 丈

 落語協会主宰で04年前期の落語台本募集をした。なんと前期だけで120本もの台本があつまった。いやあ、嬉しいねえ。しかも思った以上に出来のいい台本が集まった。今後もなかなか期待が出来そうだね。
  そして6月28日、上野鈴本で前期の「台本大賞」が行われ、ドカンドカンと受けてめでたい大成功!いやいや、私は出なかったけど、いやあ、よかった、よかった。それがこの下に詳しく書いてある。円丈
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◎大成功で終わった前期発表会
◎こうすれば応募台本入賞確立がグーンとアップ



  第2回 ドッカンドッカン受けたぞ・・・こないアンタはお馬鹿さん!
 大成功で終わった発表会

 上野鈴本でやった「台本大賞前期編」は宣伝準備がやや足りなかったので当日来たお客さんは、200人に届かず。もう少し入って欲しかったが、その代わり盛り上がった。発表した5本の中で受けなかったネタは1本もなかった。みんなそれぞれ受けた。

 特に中入り後の小ゑんさんと志ん五さんは、ドカンドカンと完全に入れ食い状態になった。多分、今までもいろんなところで新作台本募集発表会がったけど、その中でも一番受けた筈と自負している。今回、円丈は黒子に徹したが、そのかいがあった。
  しかし今まで違うのは、チャンとリハをして本番を迎えた。それにまずオープニングで笑いを取ってから、その勢いで落語に入る。後半の対談もズラ〜ッと並んで大喜利形式でやった。

 完全にこれで客は掴んだ。中入り後が入れ食いのようによく笑ってた。リハの時のアドバイスも効果があり、欠点が改良され、当った。終わってからみんなで打ち上げで飲んだビールが旨かった。黒子で大満足の一日だった。 (円丈)

【一言大喜利・・高座の袖には表彰式を待つ作者たちがいる】

 


【これが中身だよ〜〜ん】

新作台本大賞 平成16年6月28日(月)18:30開演   鈴本演芸場  
オープニング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三遊亭白鳥、小田原丈、円丈
「テレビショッピング」木下芳孝 作・・・ 三遊亭天どん
「噂の尾ひれ」井口守 作・・・・・・・・・金原亭世之介
「屁の河童」瀬川正道 作・・・・・・・・三遊亭白鳥
お仲入り
台本うんぬん大喜利と表彰・・・楽屋総出演  表彰は協会会長円歌師匠
「吉田課長」 黒土盛男 作     柳家小ゑん
「儂の葬式」 本田久作 作    古今亭志ん五

 

 当日の前にまずリハーサル
 高校2年から新作を作り続けている円丈は、数え切れない失敗をしてそこから学んでいる。まず、絶対リハーサルは必要なのだ。
そこで噺の調整が必要。とにかくこのリハで失敗になる可能性に繋がる芽を消す必要がある。直すことが必要。今回は、これが見事に
成功してる。無駄に40年も新作をしてないね。まずこのリハをやったのが、最初の成功の第一歩だった。弟子の白鳥は、仕事で
来られなかったけど、正直、後半部分が長すぎた。もし来てたら、この辺もチャンと矯正できて1ランクUPしてたね。
 それが少し残念だ。それから世之介さんは来たけど、こう言う風にやりますとしか言わなかった。もしやってたらさらにシャキッとしてたろうね。
もちろん、受けてたけど、更にシェイプ・アップした。キリリとした落語になってたと思う。
  リハの場であらすじ話されても正直、アドバイスのしようがない。実際噺をしないとなんとも言いようがなにからね。




 書き盛り!作者5人の年齢は24〜43才
 当日、この5人の作者に一人ぐらい50代がいるかと思ったら、全員24〜43才。「噂の尾ひれ」作者井口守氏が24才であとは30才以上。
考えたら当然そうだよね。漫画でも小説でも3〜40代が書き盛り。50代になると物書きは苦しい。私も最盛期は30代だもん。30代の円丈は、 構成、
登場人物が決まってペンを紙に置くと頭が高速回転して、殆ど自動書記で手が勝手に動いて一気に書き上げた。59才の今は、
低速回転でのた打ち回ってやっと書き上げる状態。この5人の人にもぜひ59才までは書いて欲しいなあ。つらいよ!きついよ。



 (1)とにかく外せない会だから・・オープニングでまず笑いを取る

 当日、前座なし!いきなりオープニング。とにかく台本募集の会は、お客さんも緊張してて、時々、笑いがあって、それで終わり。
そんな会をいっぱい見てきた。とにかく頭でガツンと笑いを取って、その勢いで落語に移る。小田原丈、白鳥、円丈の3人。
正直、円丈師弟だけになったのは、少し抵抗があったけど、あと楽屋で器用にオープニングをしてくれそうな人がいなかったので
このメンバーになった。白鳥はわざわざ協会事務所まで行って、ネタになりそうな台本を探して来てくれた。それなりに受けた。
まずまずの笑いを取れたオープニングだった。


 (2)芸があればドカ〜〜ンと受けたけど三遊亭天どん
             「テレビショッピング」木下芳孝 作
【こんな噺】
テレビ・ショショピングの司会とアシスタントだけ、商品が、6万語を 収録したダジャレ辞典、高枝タラババサミ、携帯オマルの3つ。最後の携帯オマルはバツだけど、やや コントっぽい作りだが、ギャグが効いてるし、軽くて良い。
【アレンジの仕方は抜群だった】
この噺、私も好きだし、おもしろいけど、ひとつの危惧は台本通りにやった時、ギャグが流れてしまってそのまま終わってしまう可能性があることだった。・・で弟子の天どんは、ネタの直しをさせたら私より、上手いかもしれない。実際、自分で作った時は必ず天どんに読ませてアドバイスを仰ぐ。その彼が、原作になかった。第3のキャラを作り、司会とアシスタントに絡む。これで随分、落語的になり、終始笑いがあった。
 リハの時の円丈アドバイスは、三つ目の商品紹介のところで「もう良い!そこで切れ」 これだけ。でも充分なアドバイスだった。本番でもカニのところで切った。これで作品も締まった。
 噺の間中に笑いがあったが、客席全体の大笑いにならず、一部の笑いに終始した。最初と言うこともあったけど、後の半分は、天どんの芸のないだね。且舌が悪く、アクセントがハッキリしない。アレを別な芸人がやったら、3倍は受けてた。天どんよ。もう少し芸を上げなさい。


 (3)なかなか受けてた金原亭世之介
            「噂の尾ひれ」井口 守 作
【こんな噺】
噂のテーマで、本人が留守にして、帰って来たら大変なコトになってたと言う・・。
【マクラから噺の入り方が絶妙だね】
 彼の噂のマクラは受けてたね。なかなかおもしろかった。後半も受けてた。さすがだね。
  もし円丈がこの噂をテーマで作ったら、噂が、ドンドン変って行って、最初の噂が、陰も形もなくなって、全然違うとんでもない噂になってたなんて噺にするね。一方、世之介さんが考えたのは、ひとつの噂が、2ルートに分かれて、それぞれ全然別な噂に発展する。これもおもしろいね。つまり噂がテーマだったら、まだまだいろんな噺が出来る可能性を秘めてると言うことだね。

(4)手堅くまとめていた三遊亭白鳥
             「屁の河童」瀬川正道 作
【こんな噺】
 河童が、畑のサツマイモを盗んで食べて盗みに入ってボワッと屁をして、みんなが苦しがってる隙に盗んで逃げるのが、大好きになった河童の噺。
【白鳥くんにしては、おとなしく上品な仕上がり】
  屁がテーマだけに逆に処理の仕方がとても難しいので白鳥くんを指名した。マクラなしでいきなり噺に入った。屁の噺だけどこの屁を白鳥は、上手く処理した。ただ正直、後半を少しホロリ路線に変更して、展開が長くなった。後半長すぎて少しダレた。いつものハチャメチャのパワーで押して欲しかった気がする。それとドロボーに入って河童が、屁をするシーンがなかったのも残念だった。でもまあ手堅くまとめた感じの1本だね。

 (5)対談の筈が「一言大喜利」に!
   そして円歌会長による・・賞金授与
 楽屋にいる噺家が殆ど全員並んで一言大喜利。別にどうと言うコトはないけど、なんだか盛り上がったね。そのあとは落語協会円歌会長による。賞金授与。妙に盛り上がって、この勢いで後半に突入して、仲後の2本は、ドカンドカンと馬鹿ウケになる、伏線がここにある訳だね。

 (6)いやあ、受けたね・・柳家小ゑん
             「吉田課長」 黒土盛男 作
【こんな噺】
 2年間アメリカの支社にいたハゲのサラリーマンが、日本の本社に帰るのを機に「みんな忘れているだろうから」と金髪カツラを被って、出社するが、全員、彼のハゲを覚えていた・・。
【小ゑんさんがやや禿げていたので更に受けたね】
 小ゑんさんのこの日の出来は良かった。リハの時は少しゴチャゴチャしてたけど、スッキリとまとめ、ドカンドカンとうけてた。もう完全に彼の持ちネタになる噺だね。

  それにこのハゲのネタをやる小ゑんさんの頭が、かなり禿げ上がってる。実はここに私は目を付けた。彼がカツラの噺をしたら絶対ウケルと思った。そこでこのネタを勧めたらOK!その狙いがズバッと当った。これは当人が、少し禿げていたからあれほど受けたと思うね。

  このネタは若いOLの笑い声が目立った。きっと会社で「あの××さん、カツラよ」なんて話をしてるんだろうね。

【小ゑんさん熱演:この微妙に退却した頭が、更に噺にパワーを与えた】

 (7)新作も芸だ、お見事!・・古今亭志ん五
             「儂の葬式」 本田久作 作
【こんな噺】
 やや「粗忽長屋」っぽいが、ぼけっぽいジイサンが、本人の葬式で「わしはどうしたんだ?」「死んだんですよ」なんて風に噺が始まる。ストーリーの運びもよし、素晴らしいネタ。
【やる前は上がっていたけど、さすが志ん五さん】
 リハの時に聞いて、どうもなんの説明もせずに噺にいきなり入るとお客さんが「これはどう言う状況なんだろう?」と考えて、どうもそのままスコーンと外す危険性を感じたので、こう言う状況で葬式になったと言う最初に説明してから入ったらとアドバイス。それで本番では説明してから噺に入る。
  それからドカンドカンと受けたにね。いやあ、志ん五さんの芸が良い。元々、ギャグがきちっと決まっていたから、それに芸が付いたんだから、当然受けるよね。彼が入れたギャグで「ファイナル・アンサー」があったけど、どうも蹴られそうな感じがしたんで「それはどうかねえ?」と一応言ったけど、本番でやってやっぱソレ気味だった。でも他は完全に受けてた。これも志ん五さんの持ちネタになる1本だったね。新作だってやっぱ芸!素晴らしい。
  この日、リハで3人にアドバイスしたけど、その全てがズバズバ的中した。落語家を辞めても落語ネタ・アドバイザーで食えそうな気がした。でもそれに金を払う芸人はいないね。芸人ってケチだからね。

 終演後、打ち上げでも大盛り上り
 このあと、円歌会長の音頭で打ち上げ。ここでもなんだか盛り上がった。良かった、良かった!
【ちなみにもし3本を選ぶとすると・・】
 打ち上げで仲間に仮に5本の中から3本を選ぶするとどれと?聞いてみた。すると
◎「吉田課長」「わしの葬式」のこの2本は、無条件で全員一致した。
◎残りの1本は、一番多かったのは「テレビ・ショピング」で次に「噂のおひれ」だったね。まあ、この3本が本選に残るかどうかは別問題だけど、一応今回の作品評価は、こんな感じだった。ただ演じ手によって作品評価は、全く違ってくるだろうから、この辺が落語の難しいところだね。
  後期は 「エステ湯屋番」で落ちた円丈は、かなり怒ってて、次は、4本ほど応募するって噂もあるし、落ちた作者もマジになるし、後期は激戦になりそうだ。私も・・でも書くの面倒だな・・・。

 おまけ情報・・作者が一人ショックで帰った!!!】
【どの作者が帰ったとは書かないけどね】
 実はこの日、一人の作者が途中で帰ってしまった。理由は、なんでも作品の9割書き換えられ、あまりのショックに帰ったとのことだ。う〜〜〜ん、これに関してコメントは難しいね。
 でも落語ってそうやってドンドン変って行って、生き残ったのが古典になったりするからね。私も元の台本をかなり直す方だけど、ただ直す時は元の原稿を必ず10回は読むね。そうして原作の良さはどこにあるのか?それを充分理解した上で、無駄な部分をカットして、そのストーリーや、ギャグを更に膨らませるようにしてる。
  今まで2〜30本は他人の作をやったけど、あまり作者とこう言うトラブルは起きなかった。大抵は変えても喜ばれた。ただ一度だけ、やはり懸賞台本の時、高座で「最優秀作がこの程度とは驚いた。だから直すのに手間取りました・・」とやったら、作者が、起こって帰っちゃった。すんません!これは、私が言い過ぎたね。・・でもあの作品は、本当に酷かった。この帰った作者の人には、今後も頑張って落語台本を書いて欲しいな。少し残念な気がする。



  第1回
 前期だけで120本応募!・・もう読むの大変

 最初の落語協会の新作台本募集(04年4月1日〜5月31日まで)の受付で
  ◎最初の45日間・・・20本
  ◎最後の15日間・・・100本
 しかもラスト5日で60本の駆け込み応募があった。
大体、最後の方に集まるだろうと思っていたけど、それにしても5日で60本。もう読むの大変!
その中には私の「エステ湯屋番」も入っていて見事落選。ふざけんなよ!!でもそれほど厳正に審査が行われたと言うコト。

 審査こんな風に厳正に行われたよ

 協会事務所3階に台本が置いてあり、いつでも閲覧が出来るようにしてあった。しかも家に持って帰って読みたい人もいるので1本の台本は、5部ずつ事務局長の小川さんがコピーしてくれたので至れり、尽くせりの読める環境は整っていた。そして以上のように審査しました。
(1)まずこの台本募集の審査員20人ほどの噺家が、それぞれ読んで台本に○◎×△の4段階評価をする。
(2)それを元に円丈と志ん五師で10本ほどに台本を絞り込む。
(3)審査当日、他の審査員から、この台本をぜひと言うのがあれば、それもプラスして審査する。
(4)最終的にはその中から、時代物、現代物のバランス、それと作品傾向が偏らないようモノを5本に絞る。



 落ちた作品と残った作品の差はホンノわずか!

 正直、落ちた作品と最後まで残った作品の差は、それほどない。最後にモノを言ったのは、ことよると運かも知れない。

【具体例1・・通販モノが2本あったけど・・】
  通販ネタが2本あったが、通販ネタが2本入ったのでは、全体のバランスが悪くなるから、1本だけなってしまう、実は評判の
いい方が落ちた。なんだ、そりゃ?落ちた方の通販のネタは、人間の臓器販売なんだ。マラソンランナーだった心臓とか、
黒人の目玉とか、出てくる。おもしろい! しかし黒人の目玉とかって、なんか差別っぽい、これは個人がやってるなら、ともかく
落語協会主催の台本募集なんだ。
「これは差別じゃないか?」とクレームが付いたら、だれが責任を取るのか?
  ・・と私が強硬に反対し、ボツになった。こう言う差別のことはもっと噺家は敏感にならないとダメだと思う。噺家の反応は、
「冗談で済むだろ?」みたいな反応が多かったけど、こっちは冗談でもクレームの相手がマジなら謝るしかないのだから。
噺家だから許される時代じゃない。

【具体例2・・落ちたもう1本・・これもやや差別っぽい】
 もう1本、評判になって落ちたのが、「置きおんな」富山の置き薬みたいにある会社に「置きおんな」を置いていく噺。
いやいや、なかなかおもしろいと思う。これも一部から「これじゃ人身売買じゃないか?」と言う意見が出た。私の意見は
安全の為にボツだね!読んではおもしろいけど、これをホントやったらそんなに受けないと思う。置き女が会社の中で立ってるのが、
それほど笑えない。多分、笑いに繋がらないのではと思った。それに読み終わった後味が良くない。とにかくこれもバツになった。
でもこれを書いた人は、なかなか才能がある人だと思うので、どうか後期別な作品で優勝を狙って欲しい。

台本欲は読み方によって評価が全然違ってくる?
  今回、台本を読んで分かったコト。それはキチンとジックリと台本を読まないとおもしろくないと言うことだね。協会の事務所で
 「1時間で15本読もう」なんて思うとあせるばかりで何読んでもおもしろくない。
  実は前半の60本を自宅に持ち帰ってジックリ読んで見た。すると結構おもしろいのがある。勿論そのままやったのでは、
出来ないけどアレンジをすれば充分使えるのは、何本かあった。やはりジックリ読まないとダメだね!

 60本までなら大体のキチンと読んだと思うけど、そのあと台本、80本ぐらいまでをザーッと読み、残りの40本は評判がいいものを
選んで10本ほど読んだ。正直、後半に見落とした台本が、あったのではと少し反省点が残る。それに今回、翌月の28日に発表会で
あまりにも時間がなさ過ぎる。早く選ばないといけなかった。それからアレンジしたり、覚える訳だから間に発表に合わない。
後期は今回、反省を 踏まえ、もう少し時間を掛けられる。
 


今回の応募台本の総評はこうだ
   正直、この応募台本にあまり期待してなかった。来るのはみんなダメだろうと思っていた。ゴメンね!!!!今まで応募台本で
あまりおもしろいと言う評判を耳にしなかった。まあ、正直7割はダメ。でも残りの3割は、なにかしら使えるものや、評価できるものがあった。
今回、落選した人は、それほど失望することはない。審査委員の私の台本さえ、落ちたんだから、ほんと差は毛ほどの差だよ。
それから審査員は「審査員と言う目」で作品を読んで欲しいなあ。私は、一度、審査員を審査したいぐらい。
 



 通りたければ、こうしなさい!

 【差別ネタさけるべし】
最初に書いたけど差別はダメ。仮に差別っぽくなっても台本でそれを意識して差別を薄めるか、あまり感じさせないようようにすること。
まあ、コント、漫才の場合は、多少の差別が入っても相棒が「アホなこというな」と中和してくれる。しかし、落語は一人芸だから、
差別が差別としてドーンと残ってしまう。この辺の形式の違いは充分頭の中に入れておこう。

【憎悪、裏切り、憎しみのテーマもダメ】
 台本の中にはこう言うテーマのものが、たまにあるけど落語って演芸だからね。こう言う笑えないテーマはダメ。これもコントだと多少入っても
中和できるけど落語は中和することが難しい。だからテーマにこう言うものを選ばない方がいいねえ。

応募台本の中に「素麺」って噺があり、カミサンが風呂が長いのでなにをしてると聞くと「そうめんの練習してるの」と言う・・結構おもしろい。
ところが後半になって実は亭主を殺す為の作戦・・・・そしてラストではそれがヒックリ返って亭主のギターの練習は、カミサンを殺す為の作戦だった。
実際、殺すところまで行かないで落語は終わるけど・・。前半がおもしろいだけにホント勿体無い!
なんとか後半変えてとも思ったけど、どうにも繋がらない。そこで最後の10本にも入らなかった。しかしレベル的に充分行ってた作品だけに
残念だね。とにかく落語は、基本的に娯楽だからね。夫婦で密かに殺す作戦を実行する噺は笑えない。 なかなか才能のある書き手だけに惜しいなあ。

【ウンコ。オシッコ・ネタやめて!読みたくない】
 これも前回かいたけど、このネタはやめて、個人的に読みたくない。他の連中もそうみたい。しかも安易にウンコ、シッコだもん。もしやるんなら
円丈のウンコ噺の決定版「肥辰一代記」を越えてチョウダイ!でも越えても協会主催だからこの手のものはダメだと思う。




 これが選ばれた5本・・こんな寸評!


「テレビショッピング」
   木下芳孝 作
 円丈一押しの作品。登場人物は、テレビ・ショショピングの司会とアシスタントだけ、商品が、6万語を
収録したダジャレ辞典、高枝タラババサミ、携帯オマルの3つ。最後の携帯オマルはバツだけど、やや
コントっぽい作りだが、ギャグが効いてるし、軽くて良い。プロの技を感じた作品だった。落語でやる時、逆に少しやりにくいかも知れない。
「噂の尾ひれ」
   井口 守 作
 これは、古典をやってる噺家の支持が一番高かった。大坂の人らしく全て大阪弁の原稿で仕上がっている。噺の完成度は高い。ただ個人的には「噂は魚だ」と言う部分をもっと広げて欲しかった気がする。
「屁の河童」
  瀬川正道 作
 これは文字通り「屁のかっぱ」の噺。民話的な感じ。後半はやや苦しいかなと言う感じだけど、5本並べた時のバリエーションで入った感もある。作品的には、この人の書いたもう1本の金庫の噺があったけど、もう少し整理するとこっちの方が良くなったかもしれない。
「吉田課長」
  黒土盛男 作
 2年間アメリカの支社にいたハゲのサラリーマンが、日本の本社に帰るのを機に「みんな忘れているだろうから」と金髪カツラを被って、出社するが、全員、彼のハゲを覚えていた・・。なかなか軽い噺でおもしろい。タダ後半強盗が会社に現れるくだりがやや唐突な感じがしてしまう。
「儂の葬式」
   本田久作 作
 作品としては、これが一番完成度が高く。内容的にもいい作品。噺のプロットの組み立てがプロ。多分、円丈がこの噺を書いても同じ組み立てになったと思う。この本田さん!タダモンじゃない。やや導入部でなんとなく古典の「粗忽長屋」を感じさせてしまうとこがあるけど、この噺の設定上、仕方がないね。5本の中で一番好きなのは「テレビ・ショピング」だけど、構成とか、総合点となるとこの作品になるね。いや、タダモンじゃない。君はナニモンだ?





【これが発表会だよ〜〜〜〜〜〜ん】

  6月28日(月)鈴本演芸場寄席デー パート28
 〜落語協会の噺家が選ぶ〜

       新 作 台 本 大 賞(前期)



日時 平成16年6月28日(月)18:30開演
会場 鈴本演芸場  料金 2,500円  前売 2,000円

木下芳孝 作
「テレビショッピング」三遊亭天どん
井口守 作
「噂の尾ひれ」    金原亭世之介
瀬川正道 作
「屁の河童」     三遊亭白鳥
お仲入り
対談と表彰     「応募作品の傾向と新作作りの秘策」
             三遊亭円丈、古今亭志ん五ほか
黒土盛男 作
「吉田課長」     柳家小ゑん
本田久作 作
「儂の葬式」     古今亭志ん五








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