更新03/10/29


落語コラム その7


 噺家が年を取るってなんだ?

2003年10月27日、池袋演芸場で還暦マイナス独演会でマニフェスト宣言をした。その全文が下のコレ!今の時代、責任を取れない奴が多すぎる。俺は作れなくなったらスパッと噺家を引退するぞ。もうHPにも公開したんだからマジ、本気だよ。心の貴族円丈は二言はない。  三遊亭 円 丈

 円丈、大ショック!!!
   高座で集中力の欠如の結果は?
いよいよ今年(04年)で還暦を迎える円丈。実は去年の暮れあたりから、時々高座で突然、集中力を切らすことがある。
「いけねえ。あそこ、間違えたかな!」と他のコトを考えた次の瞬間、
「あれ!これから噺はどうなるんだっけ?」と分からなくなる。今までだと仮にあってもすぐ噺に噺に戻れた。ところがここんところ戻れないことがあった。別なキャラで話したり、あるいはしどろもどろになりながら、しばらく行って、やっと普通に戻る。とんでもないことになってしまう。それが去年の暮れから3回あった。参ったね。
  果たしてこのまま行ったら65才ぐらいになった時、ホントに毎回、キチンと落語が出来るのか?自信がない。作る方ならまだ70歳までなら作る自信がある。もちろん、こう言う集中力を欠く高座は、毎回ではない。今まで高座で噺が分からなくなってしまうなんて人事だと思っていたが、実は自分のしかし高座に上がって噺を忘れて立ち往生なんてことはホントにないのか?年齢が上がってから高座をそんなに簡単なことではないようだ。それなりの対応をしないとね。 三遊亭 円 丈

 

  小ショック!!!
   落語のマクラで「ほら、アレです!アレ・・」
これは以前からあったのでそれほど驚かないけど、マクラなんかで頭の中で考えていたことを話そうとして「ほら、アレ!アレです・・え^と」情けない。結局「まあ、この話はやめましょう」って飛ばしてしまう。いやホント情けないなあ。それにお客さんに失礼だよね。これも着実に回数が増えてきた。なんとかしないといけないなあ。

 

   年を取ってどんなことが問題なのか?
発声とロレツ ロレツが廻らなくなるのは、しょうがない。ある程度いやでも発声練習をするしかない。
記憶力の減退  
落語をやる基礎体力  
固有名詞の度忘れ  
集中力の欠如  
   
これは以前からあったのでそれほど驚かないけど、マクラなんかで頭の中で考えていたことを話そうとして「ほら、アレ!アレです・・え^と」情けない。結局「まあ、この話はやめましょう」って飛ばしてしまう。いやホント情けないなあ。それにお客さんに失礼だよね。これも着実に回数が増えてきた。な

 

  一般的な噺家が年を取った時の高座対処法
             ・・・・・・・・ もちネタを減らしていく
これは、もっとも良くある対処法だね。いつまでもそんなに多くネタが、出来るわけがないので、年と共に200あったネタを100に減らし、50にし、30に・・とだんだん減らしていくやり方。これは対処法と言うより、自然な成り行きだね。しかしもっと積極的な対処法。

 

  小ショック!!!
   落語のマクラで「ほら、アレです!アレ・・」
これは以前からあったのでそれほど驚かないけど、マクラなんかで頭の中で考えていたことを話そうとして「ほら、アレ!アレです・・え^と」情けない。結局「まあ、この話はやめましょう」

 





落語コラム その6


 ついに円丈は覚悟を決めた。作れなくなったら引退するぞ〜〜っ!

2003年10月27日、池袋演芸場で還暦マイナス独演会でマニフェスト宣言をした。その全文が下のコレ!今の時代、責任を取れない奴が多すぎる。俺は作れなくなったらスパッと噺家を引退するぞ。もうHPにも公開したんだからマジ、本気だよ。心の貴族円丈は二言はない。  三遊亭 円 丈

 
(似顔原画:バトロロイヤル風間氏)


  じゃあ、明日辞めるの?

 そ、そんな〜〜あ、もう少しやらして!でも最近、自分の体と頭が中年から老年に移行しつつあるのを痛感してる。ネタも結構、作るのがきつくなりつつある。活舌も悪くなってる。一体、どこまで元気で自分が落語が出来るのか、そんなことをまじめに考えるようになった。しかし、ネタも出来なくなって、受けなくなって、年だけ重ねて楽屋で「俺なんかさあ。昔凄かったんだよ」なんて昔のことだけを頼りに大威張りして老醜を晒したくない。ここは自分の退路を断って、ある覚悟を持って続けようと思ってる。日本人は、枯れた芸が好きだ。しかし、良く考えて欲しい。「木が枯れる」って木が死ぬことだよ。つまり枯れた芸とは「死んだ芸」のことだ。そんなお御免だね。


  予測!何時まで出来そう?
今のところ、なんとなく65ぐらいまでならなんとなく作り続ける自信がある。問題はそのあとだね。65をまずなんとか70まで伸ばしたいと考えてる。そう70がひとつの壁になりそうだ。「この頃老人力が付いた」なんて言ってるようじゃ、この70才の壁は超えられないね。とにかく年を取ったら
(1)頭を更に柔軟にするのように心掛ける
(2)若い世代の意見を聞く。
(3)逆に年を取らないと出来ないように逆差別化をする。
なんて言う姑息な手段を使って芸人と作家円丈の延命に勤める。
とにかく日本の作家は、年を取るとろくに書けなくなる最大の原因は、ダイセンセーにと崇められ、褒め殺しにあって、裸の王様になって、終わり。とにかく絶賛は、疑ってかかり、批判にはおいしいヒントが隠されていると思わないと褒め殺しで死んでしまう。

  70才過ぎたら“高座GM”やとうぞ
問題は70過ぎだね。段々現実と自分の間にズレが生じてくる。そこで高座ゼネラル・マネジャーを雇って、どんどんアドバイスしてもらう。「師匠、あのマクラは受けないから辞めて下さい、それから、この言葉は聞き取りにくかったので発音に注意して!あと、着物はこう言う色が良いですね」なんて言ってもらう。「ああ、そうじゃそうする」と受け入れることだね。何時までも自分の感覚が正しいなんて思っていたら大間違い。新作のネタ作りもアレンジャーみたいな人間を頼む。これは今すでに少し始めてる。試験的なもんだけど、弟子の天どんに台本の手直しをさせてる。それなりになるほどと言うところがある。


  80才まで粘って出来たらサクセス!

噺家はどうも80歳が最後の山だね。それ以上は無理っぽい。師円生はとにかく私の知る限り、一番ケイコをした人だ。しかしあれほどケイコをしたのは、今思うとネタを忘れないために300のネタを万偏なくケイコをし続けたと思う。だから79歳で亡くなるまで300のネタが全部出来た。あれほどのケイコをしたから79歳までそれが出来、また声量も迫力もそれほど落ちなかった。スゴイ師匠だ。年を取ってもちゃんとやるためには、かなりの努力が必用だと思う。だから80歳ぐらいで辞めたい、でも80歳ぐらいを最終目標して行きたいね。
(1)大きな声を出せる体力
(2)80になっても今度こそ、大ヒットの落語を作るぞと言う情熱
(3)自分の芸とネタがどんな状態なのかを冷静に判断する能力だね。
もし80歳で尚、まだ受けて作り続けられたら、その時は81歳と1才刻み挑戦したい。


  これは続けるためにマニフェスト宣言だよ
今回のマニフェスト宣言は一日も早く辞めたくて宣言したんじゃない。一日でも長く現役を伸ばすために宣言をし、多少なりとも努力して円丈のおもしろさと迫力を維持し続けたいと思っている。そして努力してもダメな時は辞めると言うことだね。しかし、一番恐いのがアルツハイマーのボケだね。なにしろボケると自分のボケを認識出来なくなるからね。それでボケて同じところを何度でも喋るエンドレス落語をやったり、しかねない。これは弟子に今の内に言って、そうなったら即引退させるように言っておかないと
「円丈お前が一番がみっともないじゃないか?」って言われるからコレだけは気をつけよう。でもその前に適当なとこでポックリ逝くだろう。それが一番いい。グッド!



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