円丈トリ.シリ−ズ
〜演者と客の間には見えない大きな壁がある〜

円丈トリ高座控え日記
 一体、芸人は何を考えて高座に上がるのか?その日にやるネタとその日の客の反応を初公開。2000年2月中旬(11〜20日)まで浅草演芸ホ−ルと2000年3月中旬(11〜20日)まで池袋演芸場でトリをとった。

 これはその10日間の記録。 芸人に取って客はまるでモンスタ−!その日により、時間により、その姿を変える。敵にもなれば味方にもなる。

     三遊亭 円 丈

     
 (高座は一人ぼっち)

  【メニュ−】
 ◎池袋演芸場昼席(2002/5/11〜20)
 ◎池袋演芸場リクエスト落語(2001/3/21〜30) New!
 ◎浅草演芸ホ−ル編(2000/2/11〜20)
 ◎池袋演芸場編(2000/3/11〜20)

 
         どれを?

 

 


 
浅草10日間の勝負(2000/2/10〜20)

14日、20日は休み。19日は1時15分上がり。

 

  【2月11日初日の勝負..円丈惨敗】
 【その日のお客さん】
 満席で少し立ち見あり、60代多し、笑いから見てそれほど落語を知ってる客ではない。三連休の初日なので東京のお客さんと言うより、関東近郊の人が多そう。
 【ネタの選択】.....『別林家こぶ平』
 ホントはこう言う日は外せないので得意ネタが良い。が敢然と『別林家こぶ平』と言うネタ下ろし同然のネタで勝負!かなりの冒険だ。何人かに見せて面白いと言うので。せっかく覚えたので勝負だああ!!
 【実際やって見て】
 高座でマウスを出してウケル!その勢いで『別林家こぶ平』に突入!思った3分の1もウケない。後半からはお客さんが離れ出す。のれない、だんだん落語が雑になり、声も大きくなる。そして終わる。
 本ネタ正味13分!悪夢のような出来事。もう完敗!ただ終わってからの反応は意外に暖かく「まあ、許してあげるよ」みたいな反応だった。
 【終わってからの感想】
 近くの喫茶店で弟子のらん丈、天どんの3人で反省会。なぜそれたのか?この日のお客さんには少し難しかったのでは?どうもそのようだ。新作の難しさは新作の会でやった時と寄席の場合にはかなりの反応ギャップがある。これに何時も苦しむ。
 しかし笑って欲しい。とにかく新作はやってみないと分からない。....もういい。明日、明日!1回の失敗で落ち込んでなんかいられない。もうおれは数百回失敗してきたんだ。失敗から成功を拾い集める、それが新作だ!

 

 【円丈 2月12日の勝負....痛み分け!】
 【その日のお客さん】
 昨日より少し若い中年、そこにチラチラ若い人も混じる。客ダネは基本的には昨日と同じか?少し昨日より、客の笑い少ない。
 【ネタの選択】....『グリコ少年』
 初日それたので今日は計算できるネタで失点を取り返す!プロとして当然だ。今日は『グリコ少年』をやろう!浅草だったら土地柄から見て『悲しみは埼玉に向けて』が一番受けやすいが、今このネタは休養中で使えない!そこで『グリコ少年』にした。いつもより大きい百円のグリコで勝負!
 【実際やって見て】
 とにかく掴みが必要でまたマウスを出してウケル!ここまで昨日と同じ。その後、今日考えたマクラ「今の自動改札はお利巧ですね!重ねて何枚入れてもチャンと出てくる。浅草駅改札で演芸ホ−ル招待券とそこまでの切符を重ねて入れると招待券がピュ!と出てくる」
 客がシ〜〜〜〜ン!さらに「当たり馬券と外れ馬券を入れると当たり馬券がピュ!大当り〜〜ッ!」客がシ〜〜〜〜ン!なんだ、こりゃあ?それほど面白くないかもしれないけどそんなに引きまくる話でもないんじゃ?

 それですぐグリコに!何時ものウケがない。しかも客の反応が鈍い。笑いに段差がある。笑い終わるまで2〜3秒掛かる場合もある。マイッタ!それから必死に大声を張り上げ、最後はお客さんにグリコを配って、最後は和気あいあいで終わり、何とか帳尻は合わせたが、負けに近い引き分け。悔しいなあ。
 【終わってからの感想】
 考えるとこの日グリコをしたのはまずかった。と言うのは「グリコ、森永事件」の時効の前日だった。客は事件の方が、頭のよぎったのかもしれない。この日の客から見て何も考えずに笑えるネタが良かった。
 しかし円丈のネタの殆んどは思考力を要求する。自動改札のマクラもそうかもしれない。しかし楽に笑えるネタが私にはない。悔しい。笑わせたい!覚えてろ。

 

 【円丈 2月13日の勝負..円丈圧勝!】
 【その日のお客さん】
 三連休の最後、客席に空席が少しある。3日間の中では一番少ない。50代が中心か、この日のお客さんは、全体に笑ってない。これこれ!これは私の客だ。
 実は長い経験で分かったこと。実はこう言う日は、常連のお客さんが多い。結構聞いてるのでそんなに笑わない。実はこう言う客にメチャ強いのだ!
 【ネタの選択】...『リクエストブック』
 今日はとにかくウケ狙い!今日勝ってタイに持ちも込もう。今日は『落語アンケ−ト』から『リクエストブック』(1〜20ペ−ジまであってペ−ジを注文して貰ってそのペ−ジをやる)に決めてた。そのために20ペ−ジ中5ペ−ジ新ネタに差し替えた。結構努力をしてる。やるぞ!!
 【実際やって見て】
 客ダネは予想通り。落語アンケ−トで聞いたらなんと百回以上寄席に来たと言う人が3人もいた。こう言う日は大体そう言う客筋なんだ。
 もうドッカン、ドッカン!受けた。ただ『リクエストブック』に入る時。お客さんの中には、もう少しストリ−のあるものを聞きたがってる感じがあった。そんなお客さんには少し申し訳なかった。
 【終わってからの感想】
 とにかく星取りを5分に戻した。4日は他の仕事で休み。平日『円生母ちゃん』と言うネタを降ろそうと思ってるけど。怖い!しかし演るしかないんだ。
 そのためにもウケル日はキチッと受ける、ことが必要だ。円丈は止らない!やるぞ。ホントにもう...。



   
【2月14日はお休み】

 


  【2月15日の勝負..ドロ−?】
 【その日のお客さん】
 前の方に埼玉県の中年女性の団体がいてその後に一般のお客さん。立ち見少しあり、笑いの主力は、団体のおばちゃんたち。少しやりにくいそうな感じ。
 【ネタの選択】...寄席ドキュメント『悲しみの大須』
 もうあれこれ考えるのははやめて『悲しみの大須』(名古屋にある大須演芸場のドキュメント落語)と決めた。この日お客さんには少しマニアックで難しいような気がする。でもやる!!決めた。これで玉砕!
 【実際やって見て】
 前半はややウケ程度。私の好きなラストになり、客が離れる感じ。すこしお客さんに戸惑いがあったようだ。幕が下がる時、一応、締まりきるまでお客さんは席を立たなかったので。それなりになんか感じてくれたんだろうか。でも後半の落ち込みが少しひどかった。
 【終わってからの感想】
 まあそれなりに。こんなもんかなと言う感じ。やることだけはやったと言う気があり、それほどの落ち込みはない。ただもう少し若い人に聞いて欲しいというのも実感だ。

 

 【円丈 2月16日の勝負....圧勝!】
 【その日のお客さん】
 昨日より更に年配の感じ、平均年齢60才は過ぎていそうだ。ただオシャレな中年と言う印象。そこそこ立ち見もある。良く入ってる。
 【ネタの選択】...心と感動の落語『横松和平』
 今日は『横松和平』で行く。やや年代が高い分だけ少し心配。
 【実際やって見て】
 ネタに入り、宗次郎のオカリナをバックに立松和平の語りのパタ−ンでなんと拍手が来る。そのあと寄席の楽屋のシ−ンでまた拍手!それから回転寿司のシ−ンを少し手直しした部分は全部受ける。ラストも良かった。もう完勝だ。
 ただ欲を言えばラストでグッと締めるところが、ゲラのおばちゃんが、いて更にもう一段締まらなかった。でも欲を言えば切りがない。
 【終わってからの感想】
 大体、この噺は、語りの落語。言葉の落語ともいえるのでこの世代にはとっつき易かったのかも知れない。

 

 【円丈 2月17日の勝負..円丈完敗!】
 【その日のお客さん】
 今日が今までで一番、お客さんの年代層が高い。ことによると70平均かもしれない。少し招待券のお客さんがいそう。いつもより少し暗そう。ホントは『金さん銀さん』のような話が、ツボにはまりそうだ。あのネタがしばらく出来ない。
 【ネタの選択】....『遥かなるたぬきうどん』
 もうこの日も決めた。『遥かなるたぬきうどん』!これで行く。けいこもした。とにかく一度は、この浅草でもやってみるしかない。まな板の鯉だ!
 【実際やって見て】
 この芝居一番反応が悪かった。それに上がる前から疲労感があった。最初ソッと話し始めた感じ。しかもいつもよりトチリが多い。良くある円丈自滅のパタ−ン?それにうどんをすするとき。あまり大きな声を出しすぎて、音が上手くでない。まいったなあ。ダメだ。こりゃあ。
 【終わってからの感想】
 正直、ショックは大きい。疲れがドットでた。虚しい!!新作は自作自演なので受けなければ100%、演者の責任。そうみんな私が悪いんです。もっと楽に笑えるネタをやるべきだった。
 しかしそんなお客さんの中にも円丈を本当に聞きに来たお客さんも混じってる。お客さんはひとりひとり受け止め方が違うけど、演る側は、最大公約数的にとらえるしかない。もう完敗だ。それにしてもなんとかもう少し若い人を寄席に来させないと落語の未来はメチャ暗い! 

 

【円丈 2月18日の勝負..楽勝!】
 【その日のお客さん】
 高校生の80人の団体がいたが3時に帰り、上がった時は、いなかった。残念!一階席が、ほぼ満席状態。若い人が少し混じる。平均50台後半か?行けそう!
 【ネタの選択】....『イタチの留吉』
 毎日、真剣にやり過ぎて疲れた。今日はある程度計算できる『イタチの留吉』!最近やや固まってしまったネタなので少し中のギャグも変更し、もう今日は気楽に!らく〜〜にやる。
 【実際やって見て】
 まず元気でしかも力を抜いてやるように心がけた。それでお客さんさんもリラックスしてまずまず笑ってくれた。前編通じて笑いがあり、もう今日は楽勝!ただ『イタチの留吉』はラスト部分を変更した方が良さそう。前からそう思っているけど、どう変えるのか?考え中!
 【終わってからの感想】
 今日が一番リラックスしてやれて、良かった。初めて寄席に下ろすネタはどうしても緊張してしまう。その点、なんどもやってるネタでしかも少し変えネタのリフレッシュもできて良かった。 


【円丈 2月19日の勝負..???】

この日1時15分の早上がりのため省略!15分高座


【円丈 2月20日の勝負..円丈休み!】


10日間感想

 
 トリで上がったのは7日間。今自分のネタを総点検中。自分のネタでなにが寄席で使えるのかどうか、最近作ではなにが有効なのか?そう言う意味で失敗もあった。それにやはり少し肩に力が入りすぎた。
 新しく新作を寄席でやる時のプレッシャ−は、想像以上に強い。その辺で緊張があったような気がした。一年以内にネタを30ぐらい寄席で回せるように。3年後には50ぐらい回せないかと計画中だが、なかなか大変!石の上にも3年!イヤ座布団の上に10年かもしれない。実際3年で30も難しいかもしれない。 円丈

浅草編終り
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池袋10日間の勝負(2000/3/10〜20)

 16、17日休み

ここんとこ狛犬建立に3月16日の新作落語2000のネタや打ち合わせ。いろいろ雑用が多くてトリに集中できないのが残念!でも1本はネタおろしがしたい、ネタは出来てるが果たして覚える時間があるのか?16日もネタおろししたい。55のおっさんじゃ無理か!んんんん、くやしい。

 

  【2月11日初日の勝負..円丈一応勝利】
 【その日のお客さん】
 客席6割ほど。3〜50代の男性の客多い。さん喬さんが、思ったほど受けていない。どうやら半分ほどは私を聞きにきてるような気がする。
 【ネタの選択】.....『イタチの留吉』
 今日はムチャクチャ疲れてる。午前中に原稿を1本放りこんでそのあと都内で1時間半の講演。チャンとギャラ貰ってるんだから全力で1時間半。きえええ、疲れた。そのあと末広をやってからこの池袋。一応その間に喫茶店で『イタチの留吉』の稽古はしたが、もう疲れて集中できない。8日間ネタは変えようと思ってるから今日はこのネタ!
 【実際やって見て】
 こう言う疲れてる日は引き気味にやると自滅することが良くあるのでいきなりハイテンション!上がって突然『お笑い小噺ツボ体操』をやる。今月考えた講演用のネタ。ベタベタの小噺に合わせてツボを押しながら体操する。訳が分からない。しかし結構お客さんは面白がってやってくれた。そのあと『イタチの留吉』に入り、まあ、結構笑ってくれた。合格か!
 【終わってからの感想】
 この日は割と好意的なお客さんが多く。笑いもあった。......しかしホントはもっとホネのある円丈の噺を聞きたがっていたのではないのか?客が笑ったからと言ってそれでO.Kでもない。笑いながらなにか物足りなさを感じた人もいたのではないだろうか?

 

 【円丈 2月12日の勝負....勝ち】
 
 【その日のお客さん】
 今日も6割ほど。2〜30代中心で50才以上は2.3名ほどか?圧倒的に若いのお客さんが多い。弟子のらん丈は、“リピ−タ−が多いですね”と言う。うん、そんな感じ!かなり聞き込んだ客と言う印象。
 【ネタの選択】.....『ランボ−怒りの脱出』
 9ヶ月以上やってないネタ。今回は新しい導入部をつけ、本編のラストを変えてGO!!!!
 【実際やって見て】
 今日も『お笑いツボ体操』をひとつだけやる。これは世代や客層を超えて反応がいい。しかも客との一体感ができる。いいねえ。もうどこでもやってやろう。そのあと『ランボ−怒りの脱出』へ、もう全編途切れなく受けまくった。客と演者の感覚がガシッと合い、そこに心地よい時間が流れた。そんな感じだった。勝ち負けと言うより、やっていてとても楽しく、気持良く笑ってくれたお客さんに感謝!!
 【終わってからの感想】
 大体、受けても正直ホッとするだけなんだけど、この日は終わった後、心地よい疲労感があった。もちろん、きた客全員が全て満足したとは思ってないが!でもうれしい日だった。客と勝ち負けを付けるものではない。ともに作り上げるものでは?そんなことを考えさせる1日だった。

 

【円丈 2月13日の勝負....勝ち?】
 【その日のお客さん】
 今日も40人ほどか。5〜60代もまじる。半分近くは円丈を聞きような感じがする。高座に上がる直前、疲れていて上がりたくなかった。疲れる!
 【ネタの選択】.....『悲しみの大須』
 久しぶりに凶暴なネタ『肥辰一代記』をやろうと思ったが、『悲しみの大須』にする。2.3箇所変えてやる。
 【実際やって見て】
 今日も『お笑いツボ体操』をひとつだけやる。それから『悲しみの大須』に入る。受けるところと受けないところがハッキリしてる。正直やりにくかった。どうもそんなに落語を知らないお客さんと良く知ってる客の混成部隊だったようだ。それなりには受けたがどうも納得できない高座だった。
 【終わってからの感想】
 『悲しみの大須』ってどうも客を選ぶと言うか、客が選ぶとも言えるが、以外と守備範囲の狭い落語のようだ。これがこの噺の限界なのかもしれない。少しスト−リ−を増やしたが、それがそのまま蛇足になったような気もした。落語って難しい。後味の悪い日だった。

 

【円丈 2月14日の勝負....引き分け?】
 【その日のお客さん】
 今日が一番客が少ない。30人ほどだが、かなり円丈ファンって感じがした。
 【ネタの選択】.....『ムムムム』..ネタおろし
 とにかくこの10日間で一席トリでネタおろしをしたかった。平日の今日がチャンス。そこで前日にネタの最終チェックをして。当日の朝からひたすら覚え始める。高座直前まで覚えていた。稽古不充分!まあ、いつもの話だけど!
 【実際やって見て】
 どうも円丈自滅パタ−ンでそっとマクラを振っていた。良くない。もっとガツンとトップで入らないと!しかもかなり聞き込んだお客さん。胎児が主人公でそれをおろそうとする両親と産ませようとする祖母の話。テ−マがシュ−ルで重いのか?チラチラ笑いがあった程度。予想していた3分の1も笑いが取れなかった。でも60代のおじさん1人落ちこぼれたが、あとの客はついてきてくれた。感謝!感謝!
 【終わってからの感想】
 なぜ負けにしなかったか?それは終わった時のお客さんの拍手が。つきあいの拍手ではなかった。全員が熱心に拍手していた。それはなにかが伝わったような気がした。それに作品自体のクオリティがとても高い。それは自信を持って言える。まあ、出来はとても満足の行くものではなかったが。でももう少し笑わせたかった。悔しい!しかし納得の行く高座って年に何回かだね。

 

 

【円丈 2月15日の勝負....負け!】
 【その日のお客さん】
 40人ほどだが、最近、落語第二世代と言うのか、それほど落語を知らないが、寄席に来だした。そう言うお客さん。なんとか笑わせたい。結構若い女性も多い!まあ、いつもは少なすぎるとも言えるが...。
 【ネタの選択】.....『肥辰一代記』
 明日新作落語2000でネタおろしでまだ覚えてない!それほどこの日のネタに時間はさけない。そこでマクラを少し変え『肥辰一代記』をやる。決めた!
 【実際やって見て】
うんこの時代は終わった!!
 2年ぶりのネタだが、どうも汚い噺はダメ!笑うのだが、全体的な盛り上がりがない。以前はド〜〜ンと受けたトコもさほどではない。2年ぶりのネタだが、その間に少しギャグもずれたような気がした。ダメだ。ウンコは終わった!!
 【終わってからの感想】--さよならウンコ!
 この『肥辰一代記』、『可愛そうなウンコの香典を』『アニマル.トラッキング』が、円丈3大ウンコ噺。もうすべてお蔵入りだ。果たして再び日の芽をみることがあるのか?あと4.5年したら、ソッとやって見よう!やはりダメか?

 

【円丈 2月16日の休み】−−スンマセン!
この日新作落語2000で10分間落語--その勝負

【特別編】
 【ネタ..一口人情噺「カコイが出来たね、ヘ〜〜〜ッ!」】
 一番知られていて、一番受けない小噺と言えば「むこうの空き地にカコイができたね」「へえ〜〜っ!」だが、これを哀しい噺に改作し、10分でまとめる。いわば反則技のようなネタ!
【実際やって見て】
 これは大きなお屋敷に住んでいた。中年の夫婦が、事業に失敗し、ホ−ムレスになって再び自分の屋敷跡を見に来る噺。これはズボッとはまった!審査員の中には「これは名作です!」なんて人もいた。ギャグは全くない!しかしとても哀しい!そんな噺。しかし昔から言われるように泣かせるより、笑わせる方がズッとむつかしい。
 【終わってからの感想】
 このネタで10人の出演者の中で優勝してしまった。なんか申し分けない気がする。今度はこれにギャグタイプのこのパタ−ンを1本入れ、2本の合わせネタでやって見たい。しかし哀しい噺であることは事実だ。

 

【円丈 2月17日の休み】

 スンマセン!!

 

【円丈 2月18日の勝負...引き分け】
 【その日のお客さん】
 7割ほどの入り、どうも寄席第二世代の新しいお客さんだ。紙切りの小正楽さんが、紙を渡す時握手を求められ、「こんなこと初めてです!」と言っていた。
 【ネタの選択】.....『新悲しみは埼玉に向けて』
 22日の三越落語会でこの「悲しみは埼玉」の注文があったので。では池袋でもやって見ようとなった。少し古くなったかなと言う気もするが、少し直してやって見た。
 【実際やって見て】
 マクラでギャグの反応から見てやはりそれほど寄席や落語を知らないようだ。しかしこう言うお客さんこそ。喜んで帰って欲しい。しかしこの日のお客さんは、おとなしい。静か!全編通してドカンと笑ったところが、2.3箇所!あとはクスクスがっず〜〜っと続いた。ただネタ自体のテ−マが少し古くなったのか?と言うきもする。
 【終わってからの感想】
 ホントのところ、一体どうだったのか?良く分からない。一人だけだれてるお客さんがいたが、あとはそうでもない。一人一人に感想を聞いてみたい。今まででもドカンと来た日より、このぐらいの日の方が、メ−ルでおもしろかったなんて来たりする。良く分からない。

 

【円丈 2月19日の勝負...勝ち】
 【その日のお客さん】
 8割の入り、今日が一番多い。客層もかなり幅広く、お客さんもはじめて寄席に来た人やら。リピ−タ−と混じり、客席の雰囲気もいい。
 【ネタの選択】.....『グリコ少年』
 もうガックリ疲れてる。は〜〜あ!出来れば上がりたくないほど。でもやるっきゃない。とにかく『グリコ..』!
 【実際やって見て】
 お客さんがやさしい。マクラで新しくJRの話をやった。良く笑ってくれる。出来自体は、疲れてるせいか、トチリや、一部忘れた部分もある。しかし良く笑ってくれて、最後お客さんとグリコを食べ、一粒300mで引っ込む。気持良くできた。やはりイイ客が、イイ芸人を育てる。
 【終わってからの感想】
 この日、メ−ル友だちの祐介くん(中学2年)が、わざわざ郡山から家族4人で来てくれて、「とてもおもしろくて帰りの電車の中でも高座のネタで盛り上がった」と言うメ−ルを貰った。うれしいね!もうこれだけで充分。

 

【円丈 2月20日の勝負...勝ち】
 【その日のお客さん】
 7割ほどの入り、この日は小学生の女の子やら、中学生の子やら、客席に5〜6人。子どもがいた。みんな一緒に来た親より、子どもの方が良く笑っている。やはり客は多い方が、活気があっていい。
 【ネタの選択】.....『心と感動の落語 横松和平』
 もう楽はこれで終わろうと決めていた。良いに付け、」悪いに付け、代表作だろう。
 【実際やって見て】
 この日もリピ−タ−と新しいお客さんが、上手く調和して良い笑いになった。ビタッと決まった。最後がややしんみりして幕!Good!!
 【終わってからの感想】
 とにかく10日間が終わって。良かった。良かった。ホント疲れた。

 


 池袋 10日間の感想

 
 正直やればやるほどホントはお客さんが、良かったのか、どうか分からなくなる。笑えば勝ったのか?どうもそればかりでもない!それに客に勝った負けたなんて星取りを付ける意味がるのか?
 結局、落語は客と演者が作り上げるもんだとつくづく思った。どうも一生懸命やりすぎる。もっと楽しみながらできるようになると良いんだけど。どうやるとそうなるの?なお、『新悲しみは埼玉に向けて』は22日の三越では予想以上にうけた。どっちが妥当の反応なのか?悩む!!
       円 丈

 

池袋演芸場編終り
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