円丈おなじみトリ.シリ−ズその5
〜演者と客の間には見えない大きな壁がある〜

円丈トリ日記&イベント日記2005年度版

スッカリおなじみなった円丈トリ日記・ 一体、芸人は何を考えて高座に上がるのか?その日にやるネタとその日の客の反応を初公開。これは2005年年度版。寄席のトリの他に2005年にやった円丈作品集や、円丈古典落語独演会などのイベント関係もこの中に入ってる。
  とにかく、新作を作ってやって・・・最後の結論「落語はむずかしい」だね。

 
 その日により、時間により、その姿を変える。敵にもなれば味方にもなる。乞う、ご期待!

     三遊亭 円 丈
【04年12月国立演芸場にて「夢一夜」を演じてるところ】

     
   【メニュ−】
   ◎円丈落語作品集の会・国立演芸場(2005/12/23)
   ◎円丈古典落語独演会・横浜にぎわい座(2005/11/05)
   ◎新宿・末広亭8月下席トリ・・(2005/08/21〜30)
   ◎7月は失敗し過ぎだ!!ダメ高座報告・・・(2005/07)
   ◎横浜にぎわい座往年のネタ復活独演会・・(2005/07/02)
   ◎浅草演芸ホール5月下席夜・・(2005/05/21〜30)
   ◎円丈作品集(池袋演芸場夜)・・(2005/4/21)
   ◎池袋演芸場3月中下席・昼(2005/03/11〜20)



12月23日は来年以降も
     国立演芸場は円丈の落語会になるよ〜う!



三遊亭円丈落語作品集・国立演芸場
    ・・もう充実しすぎた落語会!!3時間半の熱演



全て円丈作品集・お客さん・出演者の皆さん、ご苦労さん!!
オープニング
全員
『ぺたりこん』
三遊亭天どん

【こんな感じだよ・・なかなかウケてた】
  「ぺたりこん」・・あるサラリーマンが、無理やりリストラされてそうになり、最後にホロッと来る噺。
  しかし、弟子の天どんの独り言的な天どん流の芸と言うか、芸じゃない流と言うのか、良く分からない話し方。その天どんが、こんな人情ばなしをやって大丈夫?と思った。しかしその心配は無用だった。受けてた。悪くない!!いいねえ。ただラストのぐっと締めるところはあのダラ〜ッとした芸風で全く締まらなかった。やっぱもうちっとまともな芸も出来るようにした方がいいねえ。

『ランボー怒りの脱出』
林家彦いち
【こんな感じだよ・・ウケてたけど・どう演ずるのか・本人悩んでいた】
 アクション映画「ランボー怒りの脱出」 をアクションを落語グの仕草に置き換えてるのがこの噺のテーマ。
  作者円丈としては、このアクションを彦いちくんが、どうするのか?楽しみだった。しかし彦いちくんは、悩んでいたね。結構ウケてたけど、芸人の目からするとどう表現しようか、とかなり悩んでいたように思えた。どうもこの噺は、この会だけの1回こっきりになってしまうような気がした。なんか彦いちくんに悪いような気がしてきてね。
『燃えよ、ジジババ』
柳家小ゑん
【こんな感じだよ・・それなりにはウケてたけど・・やや長いかなあ】
  「燃えよ、ジジババ」・・隣り合った火葬場の釜に入ったおじいさんとおばあさん!どっちの釜が早く焼けるか、それぞれの親族が、おじいさん、頑張れとやりあう噺。小ゑんさんは、この噺を既に2.3回やってそこそこウケてたと言う。それなりにうけていた。しかし後半が少し長いと感じた。この噺はブラック・ナンセンスな噺でもっとコンパクトにした方がグッとしまった。作者円丈が、15年はやってない噺。この噺は、客を選ぶし、場の雰囲気もある。いやあ、なかなか難しい噺だなと聴いていて感じた。
   仲入り
 
『円丈三品ってなんだ?』
出演者全員
『夢一夜』
春風亭昇太
【こんな感じだよ・・この日、一番ウケた噺】
  「夢一夜」・・末期がん患者が、病院を抜け出してタクシーを拾うとこから始まる。笑えないのに笑えてしまうのがこの噺のいいとこ。
  昇太君のキャラクターとこの主人公のキャラが会うのか、実は一番心配したが、さすが昇太くんだね。ガンガン笑わせていた。円丈の作ったギャグでも自分の入れたギャグでもウケていた。後半はややウケが少なくなったが、サゲ間際にまた盛り返した。ラスト地に帰る部分でコケたのはご愛嬌。あそこまでやるのは、さすが昇太くんだ。ラストを少し変更すれば、完全に自分のネタになると思うね。
『稲穂のジュウタン』
三遊亭円丈
【こんな感じだよ・・迫力はあったけど・・あまり受けなかった・・くやし〜い!】
  「新稲穂のじゅうたん」・・ おじさんが、食事してる時、突然、食べ物を前に突然、幻覚を見る。それは???
 正直、あまり受けなかった。迫力はあった。でも受けなかった。受けさせたかった。でも受けなかった。くやし〜〜い!
  これは、この下の欄で詳しく・・ボヤく・・ボヤくな!!




高座前・円丈を襲ったホントに覚えているのか?と言うすさまじいプレッシャー!

【アレンジ台本は評判良かったけど、61歳と言う年齢から来る記憶力と集中力・・
   果たして「ホントに覚えてるの?チャンと出来るの?」と言う恐怖を感じた】

 アレンジ台本は、ほぼ70%変えて出来上がった。アレンジが完成したのが二日前だ。昔なら本番までに充分な時間だ。しかし61歳と言う年齢からくる記憶力と集中力が落ちてる。これが一番の問題だ。以前なら少し覚えてなくてもなんとか頭の中で整理してごまかせた。しかしそのごまかす集中力が、うまく出来ない。
  現につい10日前、この国立で協会台本募集で3日間覚えられず「ピザ一枚」が上手く行かなかった。それに別の場所でやったいつもやってる「新寿限無」が、集中力を欠いてトチリそうになった。
  それで上がる前にもう一度、噺の流れを頭の中で追ってみた。すると「あれ?これからどうなったんだっけ?」出て来ない。しかも円丈作品の中でも有数に覚えにくい台本なんだ。わあ、恐いよう!

  【この日の円丈の高座は、いつにもまして孤独でした・・「新稲穂のじゅうたん」より・・茶碗蒸しの鳴門巻きにケチをつけるおじさん】





あまりウケなかったその原因とは?なんなんだ?

【原因その1・・マクラが暗すぎた】
 「稲穂のジュウタン」が、受けなかったのは色んな要因が重なったけど、まずマクラが暗すぎ。自分が体験した幻想や、幻聴の話。落語のマクラにしては重過ぎる。それでしかも“今日のお噺は幻想、幻覚の世界の噺です”なんて言うとお客さんも“えっ。どんな噺?”と構えて聞くから。やっぱここはドカンとウケるマクラでコマセを効かせた感じで噺に突入するのが、ベターだったね。
【原因その2・・40分と言う長すぎた「稲穂のジュウタン」】
 アレンジして丁寧な作りになった分とラストに後日談のようなものを付けて、この分だけ、これまでに三時間も新作を聞いてるからお客さんは疲れてるのだ。その上40分も熱演じゃ、もうヘトヘトになって笑ってる場合じゃなくなってしまった。今回のような場合は、せいぜいマクラを入れて25分ぐらいの分かり易い噺が良かったのだと思う。
【原因その3・・そもそもテーマが暗すぎた】
 この「稲穂のジュウタン」は、あまりウケないので作り変えたが、元々、テーマがそれほど明るいテーマではない。“命が命を食べるコトで命を繋ぐ”と言うもっとも本質的な問題が、この落語の根底にあり、そもそも落語と言うジャンルでは、収まりきれないものを宿命的に持っている噺なのだ。それをサラッと撫でながら極力分かり易く明るく落語にしているんだけど・・かなり難しい噺なんだ。
  だからこの「稲穂・・」は、感動する人はして、途中でイヤンなる人もいる。しかしその噺をこの作品集で敢えてやらなくても・・。個人的に好きなもう一つの噺「わたし犬」も本質的には暗い噺。どうも実は暗い噺が好きなようだね。
【原因その4・・・照明をしぼって“笑い”ではなく聞くモードに】
 それから今回は噺に入ってから照明をしぼることにしたが、これまた“笑う”とはギャグに噺を聞くモードしてしまった。やはりお客さんのモードからして、照明がしぼられると“そうか、これは笑う噺じゃないんだ。聞かないと”となってしまう。これもいろんなうけない原因のひとつだね。
【原因その5・・・覚えきっていないと言うプレッシャーで・・】
 それに円丈の新作台本は覚えにくいのだ。大体登場2人ぐらいの人物が、会話で進行するのは、比較的覚え易い。しかし今回のは、小説的地語りがあり、それが実に覚えにくいのだ。例えば“まばゆいばかりの光輝く稲穂のじゅうたんを踏みしめながら”は、絶対“まばゆいばかりの”なのだ。この箇所はこ例外の表現ではダメなんだ。そう言う決めの言葉が、随所に出てきて、しかも固有名詞はイヤって程出てくる。もう61歳のじいさんの覚える台本じゃない。
  その台本が、覚えられないのではと言うプレッシャーがあって強くドーンと話してしまう。すると円丈は元々力強い喋りだから、ドーンを行くと強すぎて、お客さんは押されてしまい。笑う余裕をなくしてしまう。そう言うことがよくあることだね
【来年は、ギヤ・チェンジしてガラッと方向を変える会にするぞ。それでいいのだ!】
 しかし来年以降も12月23日は「円丈の会」で行くと言われた。来年は思い切って一度、ギア・チェンジして、ドカンとカラッと理屈なしで笑える会にするぞ。もうやるぞ。ホント、12月23日は、国立演芸場は「円丈の日」となった。

終わってから・・徒労感が残った!そしてくやしかった・・。残念!!

  これを覚えるために睡眠時間を3時間にした。まあ、寝ないでもも良かったんだけど、でもそうすると61歳だから落語をやる体力と集中力がなくなるし、でも長期記憶にするためには睡眠が必要なんだ。結構一生懸命やった。正直、終わったからドッと疲れたね。それは徒労感がでた。
  来年も12月23日に円丈の会になるようだけど思い切って、古典独演会にするとか、ギア・チェンジをするぞ。もうお客さんと国立に喜ばれる落語会にするぞ。エイエイオー〜〜〜ッ!



 

大成功!?円丈古典独演会
           ・・・・横浜にぎわい座(2005/11/05)


【二席目「茶の湯」を演る直前の円丈・・・・妙に静かだ。この時何を考えていたのか?実は忘れた。でも三遊亭のくずし橘の紋付を着るとなぜかピリッとする】

  【評判は一様に良かったぞ!!ホントに】
11月5日昼、横浜にぎわい座で「円丈古典落語会」をやった。今回は
(1)
前座として円丈自身が出て・・「名古屋弁金明竹」
(2)二席目・・・六代目円生直伝「茶の湯」
(2) ト リ・・・・キレ・キャラ「小言幸兵衛」
 の三席をやったのだ。

 客の入りは一階席満席と二階席の一部の入り。お客さんは、かなりの円丈ファンとそして割りと一般度の高いお客さんが半々。なにか逆にお客さんの感じを掴むのに少し骨を折ったね。一体、どう言う客だろう?ってたって円丈お前えの会だろ?まあ、そうなんだけどね。
 【衣装もいつもと変えたぞ】
 今回は三席ともに衣装を変えた。ここ20年ワッペンの付いた着物ばかり着てたけど、タンスをひっくり返して調べたら、結構色んな着物があったけど、もう変色した着物も多かったけどね。こんな感じ。
◎最初の前座噺・・・青い縞模様の結城紬の袷の着物・結構シブイ!
◎「茶の湯」・・・・ホントは紋付じゃなく、無地のチョイおしゃれな羽織を着たかったけどなかったのでブルーの紋付上下。
◎ 「小言幸兵衛」・・・ワッペンの付いた着物の上に去年作った陣羽織を羽織るって登場!! (円丈)


「三遊亭円丈古典独演会」横浜にぎわい座昼2時開演
出演者
 題 名
前座 三遊亭円丈
前座噺「名古屋弁金明竹」高座返し付き
三遊亭ぬう生
「鮑のし」
三遊亭円丈
メガネを外して六代目円生直伝「茶の湯」
 中入り
 
三遊亭 円丈
勝負メガネを掛けてキレ・キャラ「小言幸兵衛」

  【円丈古典独演会・・・・・一席目・前座噺「名古屋弁金明竹」ウケたよ〜〜〜ん!
 【一席目・前座噺「名古屋弁金明竹」をやる前・・・・ホントは別な噺をしたかった!!】

 実は最初の一席目は別な噺にしたかった。以前二ツ目時代よくやってソコソコ受けてた志ん朝師直伝の「強情灸」をやろうと思った。これは志ん朝師に聴いてもらった時、一切ダメ出しがなく志ん朝師が「ぬうちゃんは、分ってる!『強情灸』は、どう熱がるかだけなのよ。それが出来てる!いい」と言われたのだ。
  それで多少手直しをしようとワープロ化したが、この噺は完全に100%完成してる噺でもう直しようがない。それであとは「無精床」なんかもあるが、どうもイマイチ・ピンと来ないそれに「茶の湯」と「小言幸兵衛」の二席で手一杯。
  そこで安全パイとして「名古屋弁金明竹」をやった。

 【実際「名古屋弁金明竹」をやって見て・・・マクラで苦労したが噺に入ってからバカ受け!

 「金明竹」の噺の前に前座時代の失敗談をふってから噺に入るが、これがどうも今ひとつノリが悪い。なんとなく円丈ファンとそれほど円丈を知らないお客さんは、混じっているようで・・なんか乗れない。それでも少しずつ笑い出して・・噺に入ってからは、結構ウケてサクセス!!まあ、あれだけ受ければ合格だ。
  終わってから、前座代わりに上がったので次に上がる弟子のぬう生の高座返し、座布団をひっくり返し、メクリをめくってウケル!もう余裕だね。いい高座返しだった。


  【円丈古典独演会・二席目「茶の湯」・・・・サゲのアトに起こった爆発的な拍手が心地良かった
 【ニ席目「茶の湯」をやる前・・あまりいじらずに王道で行くぞ!】
 今回、古典独演会をやるに当って、「円生全集」を読み返して見て他のネタを探したが、どうもピンと来るのがないので二ツ目時代によくやって、それほど外したことがない「茶の湯」をやった。今回、一番ネタに時間が掛かった最後のキレ・キャラ「小言幸兵衛」もあったし、「茶の湯」はさほど直していない。また、これは江戸時代の噺なのであまりヘンに今のギャグを入れるとヘンになるので、江戸の雰囲気を壊すようなギャグは入れない。
  いくつかギャグを入れた程度、それより、芸だ!どう登場人物を生き生きと演ずるかが勝負。それなりに今回は稽古もしたぞ。それとどうしても円生口調が残るので、それを注意して取ることを心掛けた。
 【実際「茶の湯」やって見て・・・王道の古典はメガネを外して勝負だ!!】
 上がって「茶の湯」のマクラを振って本ネタに入る前にメガネを外し、そこでウケル!そんなとこでウケてどうするんだ。正直言ってやっぱ江戸時代の本格的古典物ならやはりメガネを外す。やはり芸をする上でメガネって邪魔なんだ。その内に新作でもメガネを外すネタを作ろうかな。とにかくメガネを外して勝負なのだ。
  噺に入り、とにかく噺のツボ、ツボでキチンと受ける。いいぞ。いいぞ!!私は古典しかやりませんなんて気取ってる噺家さん。この位は受けてくれよな。
  とにかく円丈が古典の「茶の湯」の中に入ってキチンと古典の登場人物を演じてそれで受けていた。そしてサゲの「また茶の湯だ〜〜あ」と言った後、一瞬置いてから爆発的な拍手が来た。笑いの量自体は「金明竹」の方が多かったけど、満足度は「茶の湯」の方が遥かに高かったんだろうね。しかしあの拍手は快感だった。あれやるとサゲでビシッと決まる新作を作ってみたくなったね。

【円丈古典独演会・三席目「小言幸兵衛」・・・・それなりにうけたけど自分としては不満だった
 【三席目「小言幸兵衛」をやる前・・ギャグとキャラを7割直して勝負メガネで勝負!】
 これが一番時間掛かったね。最後まで覚えるの演ずるのも難しかった噺だ。幸兵衛をキレ・キャラにしてストーリーも最後は心中ではなく駆け落ちに直して・・3人目はカミソリ屋に直して・・もうギャグは7割変った。
  しかしキレ・キャラは、難しいのだ。ガンガンと怒鳴って次の登場人物になったり、キレて次の瞬間、普通に戻ったりする。演ずるのも大変難しい。
  今回は今までの円丈では信じられないほど稽古をした。だって歳だし、覚えられないだもんね。前日、やっとなんとか大体覚えた。でも今後はこの位は稽古しようネッ。ネッ!
 【実際「茶の湯」やって見て・・・王道の古典はメガネを外して勝負だ!!】
 マクラを振って、キレ・キャラの幸兵衛が登場するんだけど直した分だけストーリーが複雑になって。難しい噺なんだ。相手の言葉を受けて瞬間的にキレないと受けないと言うのが、前半は「え〜」となんてすぐにセリフが出て来ないで間が崩れたのか何箇所かある。うん、残念。あれでも稽古が足りなかったんだろうね。
  ウケるとトコとソレるトコがまだらだったね。でも「ふたりは愛し合っているんだ〜〜〜っ」「古典落語の豆腐屋のセリフじゃねえな。愛しあってるってやがる・・」なんてネタは受けたね。でも名前を「杢太左衛門」を「セルジオ杢太五郎左衛門」に変えたけど思ったほどは受けなかった。自分の頭の中で考えていた笑いの半分ぐらいだったかなあ。やや自分としてはこのトリの「小言幸兵衛」は不満が残る。もう一度少し受けなかったとこをカットして少しなおしてもう一度やってみたい。今度は稽古を十分してやるぞ。しかし全体からすると充分にお客さんは納得した円丈古典独演会だったと思う。正直、来なかった人は損をしたね。


【円丈が考えてる・・・古典とは何か?
【「小言幸兵衛」が終わった後、メガネをとり、汗を拭きながら“う〜〜ん”と唸りながら高座を降りる円丈】

【古典とは演ずる力と演ずる芸のクリエイト】
 今回古典をやって感じたことと言うか、以前から感じていたんだけど・・古典落語ってなにか?古典は、同じシナリオをやる訳だけど、演じて違う訳だ。つまり、
その人の芸によって違いが出てくるものだね。だから古典の究極は、演ずる力と演ずる感性をどれだけ表現出来るかだね。演ずる力だけではダメ!それに演ずる感性が伴わないと「うまいけど・・ねえ?」みたいな芸人になってしまう。
  演ずる完成ってなにか?例えば「茶の湯」で腹を下した隠居と小僧が出てくるが、一体、どう言う腹の下し方を演ずるのか?これが芸の感性なんだ。どう演ずることが、この噺に一番ふさわしくキャラが行きるのか?芸のクリエイトが出来るのか、どうか?
【三遊亭円丈が遣り残したこと・・芸としての円丈落語の完成へ。。】
 正直、噺の稽古自体好きじゃなく、新作をやる時はあくまでシナリオが主で芸の方は従!だからあくまでも芸の方は、そのシナリオを表現するためのモノ。もしダメならシナリオを変えれば良いと言う考え方。
だから稽古もシナリオを忘れないためのネタ繰りだった。
  以前から考えていたことは、円丈が遣り残した最大のテーマ。それは、芸としての円丈落語を完成させることだ。もちろん、本当の完成はあり得ないけどね。今回、結構、必要に迫られて稽古をしたが、今後、円丈落語の完成を目指したい。必要な芸があればいいと言う考え方。だからほとんど芸として、真剣に新作を考えて来なかった。これからも新作を主にやって行くが、古典も10本ほどアレンジしたり、復活させて今後も増やして行きたい。
  【演者円丈の問題点】
◎ 姿勢が悪すぎる・・そうなんだ。やや猫背だからね。背骨に鉄の棒でも入れるかね。これからはもう少し、姿勢を気を付けよう。
◎稽古嫌いの芸嫌い・・これもまずいね。ホント稽古嫌いで芸にさほど感心もない。いかん!こんなことじゃいかんねえ。
◎芸としての新作の完成・・これが一番大切だろうね。シナリオの完成と同時に芸としての作品の完成を目指したい。やるよ〜〜〜〜〜〜っ!





【簡略版トリ日記】

久々の新宿末広のトリ・8月下席夜10日間(2005/08/21〜30)
     【24日は円丈お休み・スンマセン!】


【末広トリ初日・・しかしこの末広の高座って品格がある。いい芸が出来そう・・いや、ヨイショじゃなくて・・少しヨイショが混じるけど】
 数年ぶりの末広トリ!うれし〜い。この10日間は「横松和平」と「一ツ家ラブ・ストリー」はやるつもりはない、なんか少し古くなった感じ。その内、少しアレンジして改定版をやろうね。。

【 今円丈の3つのしたいコトは?】
(1)新しいマクラを作りた〜〜い。
(2)持ちネタの整備をした〜〜〜い。
(3)新しいネタを作りた〜〜〜い。以上!!

 じゃそうすればいいじゃん!そうなんだけどなんだ、かんだ、あってさ。なかなかそう環境整備が出来ない。なにを言い訳してんだ?まあ、そうだけど・・とにかく頑張りま〜〜す!(円丈)
 

  【8月21日初日(日曜日)・・いつもの出来の「悲しみは埼玉に向けて 」】
 【その日のお客さん】

 日曜の夜!6〜7割の入り。これって多いの?少ないの?お客さんは、30代〜50代って感じ。仲間の芸人さんにお客さんのことを聞くと「最近落語を聞きだした新しいお客さんとお馴染みのお客さんとの混成部隊で・・ いつもやってるギャグだと新しいお客さんが、笑って、お馴染みさんは“そんなのじゃ笑わないよ”みたいな感じ。それに笑う時は笑うけど直ぐ引く」
  おい、そりゃ歯ごたえあるお客さんだね。そこで最近、再びやりだした『グリコ少年』をやろうかと思ったら・・グリコ・キャラメルがない。しかしキャラメルがないと出来ないってのも情けないね。そこで安全パイの『悲しみは埼玉に向けて』をやることにした。
じゃこれをやろう!

 【実際やって見て】.....まあ、いつもの受け方だけど。どうだったんだろう?『悲しみは埼玉に向けて 』

 この日は、マクラはわざといつものマクラを振ってリサーチ。まず「ぬう生とヌードショーと間違えた」のマクラ。いつも受けの半分!「ムム、今日のお客さん、デキル!」、その後、「往復ハガキで弟子入りしたマクラ」、ウケが半分、「おぬし、やるな!」なるほどやっぱりかなり聞き込んだお客さんがいるね。
  そして『悲しみは埼玉に向けて』をやる。こちらは普通。ただ笑った後で直ぐ引くようなところがあった。仲間のリサーチが正しかったね。しかしこの「かなしみは埼玉に・・」は若い人がホントにおもしろいと思うのか、どうか、良く分らない・・と言うは正直な気持ちだね。ネタの評価っていつもその時代によって変化するからね。

 【終わってからの感想・・打ち上げの「東方見聞録」で落語ドーピングの話で盛り上がる】
 末広の近くの居酒屋「東方見聞録」でささやかに打ち上げ。その席で円丈は「どうも高座上がるの嫌いだから、落語をやるのが好きになる薬があったオレ飲むね。それと飲むとウケが50%UPする落語ドーピングが仮に違反でも毎回落語ドーピングをしちゃう!」
  すると仲間全員が「捕まっても必ずドーピングをやりたい!」と言う意見で一致した。なんて下らない話を打ち上げでした。さあ、明日もがんばろう!とにかく還暦になるとよく忘れるから最低でも今日やるネタだけは一度は台本団だけでも読まないとね。やっぱ落語ドーピングをしたいな。

  【5月22日二日目(月曜日)・・いいんじゃない!「遥かなるたぬきうどん 」】
 【その日のお客さん・・昨日と似たお客さん】
 今日の入りは3〜4割程度か?前に上がった権太楼さんに聞くと「大体、昨日と似た感じのお客さんで昨日より反応は良い」と言う。うん、客席を見てもそんな感じだね。今日は「遥かなるたぬきうどん」をしようと3時間ほど稽古した。今日はたん丈が来たのでついつい小言を言ってて稽古する時間がなくなった。いかんなあ。小言をやめて4時間稽古をしたかった。
  しかし最近、それなりになやってるネタなのに・・・年のせいか、直ぐ忘れてしまい、台本が完全には頭に入らない。ホントはキチッと稽古をしたかったが、なかなかそこまで行かない。でもこの「たぬきうどん」をそんなに大外れしないネタだと思うのでこれをやる。ダメならしゃあない!!行くぞ。
 【実際やって見てネタの選択・・・そこそこだった「・・たぬきうどん」】
 上がると結構、暖かい強い拍手。なんとなくホッとした。この拍手なら大丈夫だろう。でもお客さんって小屋に付くんだね。新宿は池袋に近いから池袋演芸場のお客さんなんか来そうだけど、客席を見てもあまり知った顔はない。新宿によく来るお客さんなんだね。とにかく頑張ろう!
  マクラでマウスをやってみる。そこそこウケル。それから食べ物のマクラから「たぬきうどん」へ。まあ、いいんじゃない。それなりの出来だと思う。ただ最後、終わってから幕が閉まる時、3-4人直ぐ席を立ったお客さんがいたのが、少し気になった。一部少し不満なお客さんがいたのかも知れない。もっともこの日のネタが35分ぐらいやったからね。帰りの時間も会ったかもの知れない。
 【終わってからの感想・・また高座で汗が出たし、食うところが・・なあ】
 まあ、今の円丈のレベルから行けば充分合格の出来だったが、しかししかし、うどんを食う仕草が、イマイチだね。もっとうまく食いたいけど・・ホントはここの部分はチャンと稽古をしないといけないけど・・してないもんね。それと毎度毎度のことだけど、顔に汗をドッと掻いてた。
  マッターホルンの山頂の噺だから、ヤッパ顔に汗はまずいけど掻いてしまう。円丈よ、修行が足りんぞ。全くだbね。せめて気にしない程度の汗で抑えたいなあ・・。でも熱演するからつい汗がでちゃうんだね。どうする。


 【5月23日三日目(火曜日)・・キャラメルがあったから「グリコ少年」】
 【その日のお客さん・・6割近く・チョイ女性が多い】
 今日は弟子の小田原丈改め三遊亭丈ニの真打披露パーティでガタガタしてて・・その後、漫画喫茶で稽古したけど・途中でくたびれちゃった。なんかもよ正直、手を抜きたい!そう思って楽屋入りする。
  客席を覗くと6割近い入り、いつもより、女性が多い。仲間に聞くと少しやりにくいお客さんだと言う・・う〜〜ん、手ごわそうなお客さんだな。とにかく、カバンの中にはグリコキャラメルがある。そう、今日は「グリコ少年」をやるぞ!
 【実際やって見てネタの選択】....まあ、それなりの「グリコ少年」
 少しマクラを変えようと韓国ドラマ「天国の階段」の噺をする。思ったより、受けた。その勢いで「グリコ少年」に突入!それなりにウケル。ただウケるとことウケないとこが今日はハッキリしてる。最後、グリコを出して、オマケとキャラメルをお客さんに配って「一粒300m」と言って高座を掛けて幕!
  このネタは最後にグリコを配って「わ〜〜っ、一粒300m」で盛り上がるので終わりやすい、ごまかしやすい。終わり良ければ全てよし。うん、だから今日はカンペキだ。
 【終わってからの感想・・明日からなにをやろうか?難しい】
 今日はなんとかなったが、明日からなにをやるのか?もう見当がつかない。やや涙系の悲しみ噺をやりたいが、果たしてお客さんの反応は?と考えるともう少し笑い易い噺をした方がとも思う。だから、明日は休みだ。一日ゆっくり考えよう。

 【5月24日四日目(水曜日)・・「休み・・すんません!!」】

 【5月25日五日目(木曜日)・・台風が来たから「悲しみの大須」だ!なんでだよ?】
 【その日のお客さん・・「月のじゃがりこ」を稽古したけど・・。】

 今日は台風だよ。台風。関東直撃だぞ。そこで今日のネタはなにがいいか考えた。
(1)今日は台風でお客さんは少ない。
(2)当然フリーのお客さんより、常連のお客さんが絶対に多い。
  だとすると多少笑いが少なくてもジックリ、聞ける噺がいい筈だ。 そこでラブストーリーほろり噺「月のじゃがりこ」を4ケ月ぶりにやろうと稽古を始めたら、なんだかんだ他の用事が出来て、稽古時間が少なくなってしまった。なんとかウロ覚え状態になったが、一度も通して稽古してない。
  そこでこのネタをあきらめる。直ぐ出来るネタで「ランボー怒りの脱出」をやろうと寄席に近くの喫茶店で少し台本を読んでうん、これでいこう。
  楽屋入りして客席を見ると1〜2割。でもありがたいお客さんだ。鈴本は夜席が休みになったほどだ。それに女性が意外と多い。・・ヌヌッ、「ランボー・・」はまずい!どうして・・とにかくこの「ランボー・・」って落語は、なぜか、あまり女性にはまらない。うん、じゃ、「ランボー・・」は中止!
 そこで寄席ドキュメンタリー落語「悲しみの大須」をやることにした。ホント、今日はコロコロ変るねえ。とにかく還暦過ぎると忘れっぽくなってるので、ザッと楽屋で台本を確認して・・さあ、高座だ。  

 【実際やって見てネタの選択】....まあまあだろうね・・・「悲しみの大須」
 マクラは8月24日足立を通って開通した「つくばエクスプレス」!どうもこれももう少し固めたかったけど・・落語の稽古に追われてそれどこじゃない。だからなんかいい加減な感じになったが、お客さんは笑ってくれた。そして「悲しみの大須」!それなりだけど・・細かいとこでセリフを忘れたり、何箇所かあった。正直、もう少し稽古したかった。でもまあ、それなりにだったね。今日は円丈より、来てくれたお客さんに2重丸だね。

 【終わってからの感想・・いや、やっぱ「月のじゃがりこ」をやりたかったな

 ホント「月のじゃがりこ」がチャンと覚えていたら、これだったね。明日でもやってみるかな。

  【23日にやった「悲しみは埼玉に・・」はどうなのだろう?書いたら・・】
 
3日目「埼玉・・」をやって、この日記に「果たして若い人はどうなんだろう?」と書いたら翌日、女性の人からメールが来て
「6月に末広で「埼玉・・」を聞いてとてもおもしろかった。私は29才です。それで「悲しみは埼玉」のCDを買ってきたけどとてもおもしろくて・・主人は外人ですが、声を出して笑ってました・・」あんて書いてあった。うれしいなあ。外人もゲラゲラ笑うんだから『悲しみは埼玉に・・』も国際化した。いやいや、うれしい。ありがとうやんした。

 【5月26日六日目(金曜日)・・満足の出来だった「月のじゃがりこ」】
 【その日のお客さん・・8割の入り、やや静か目のお客さん】
 この日は8割の入り。それほど笑わないお客さんだと言う。それで今日のネタはどうしようと考えてきた。大体、金曜の夜、これは当然、普段より、お客さんは多い筈だ。・・と言うことはいつもより、やや一般度が高いお客さんとも言える。と言うことは割りと食い付き易いネタがいい!
  ・・・でもでも昨日やろうと思って出来なかった円丈愛のほろり噺「月のじゃがりこ」!これを今日も更に4〜5時間稽古してやっと覚えた。ホントはこの噺がベストじゃないような気がするけど・・せっかく覚えたんだ。玉砕覚悟でやっちま〜〜え!シラケが恐くて新作が出来るか!出発〜〜っ!
 【実際やって見てネタの選択】....満足の出来「月のじゃがりこ」
 この「月のじゃがりこ」は今まで2度ほどやったが、どうもウケナイ。台本には自信があるが、やるとウケナイ。ストーリーは聞いてるけどウケナイ。柳家喬太郎くんもこれをやるが、彼がやるとウケル。しかし作者円丈がやるとウケナイ。
  いかん、いかん!なんとかせにゃいかん。まずマクラで笑わせてほぐしてから本編になだれ込む。そして本編に入ってからはいつも強めに演ずるけど、この噺に関してはやや抑え目に軽め目にやる。円丈のやや軽め作戦。これでいくぞ!!
 そして上がると暖かなそして強めの拍手。うん、なんとなく行けそうだ。
  まくらはつくばエクスプレスから、韓国ドラマの「天国の階段」の話をして、そこそこ笑わせてから「月のじゃがりこ」へ突入!
  それほどウケルわけじゃないが、ギャグでは反応がある。いいぞ!いいぞ!しかも昨日入れた「みんな忘れた!わては浪花のピアノマン」では結構受けた。いけるぞ、いける!そしてお客さんは、みんな結構噺に集中して後半は完全に噺の世界に入ってた。いいね、いいね。しかも笑うトコは笑う。そしてラストで幕が閉まる。終わった後の拍手もなかなかいい。そして終わった。お客さんの中で帰った人が一人もいなかった。
 自分としても満足な出来だった。とてもうまくいった。お客さんは、もちろんどういう風に思ったか知らないけど、演者円丈は満足だった。
 【終わってからの感想・・何十年ぶりかで落語をやってよかったなあと思った】
 正直、今日はとても疲れてた。ホントなら「金さん銀さん」を3分やって降りたいほどの疲れだった。でも4〜5時間稽古をしてこの噺をなんとか覚えてやった。
 とてもうまく行った。もちろん、まだまだ未完成な演技部分が多いけど、今の状態の中ではとても満足の行く出来だった。少しだけ頑張った円丈に落語の神さまは、少しだけ背中を押してくれたような気がした。好き勝手に生きてる円丈だが、たまにはつらいこともある。でも落語の神さまは、見捨てちゃいない。「円丈!お前は、もっともっと落語で頑張れ」と励ましてくれてるようでなにかしみじみとうれしく、そして演るのが嫌いな円丈は少しだけ落語をやってて良かったなと妙にジーンとしてしまった。
  この日のお客さんと背中を押してくれて落語の神さまに感謝!感謝!


 【一粒のグリコが、10個のサイコロキャラメルになって返ってきた】
 3日目に「グリコ少年」をやったら、その時、たまたまお客さんに配ったグリコを手にした高塩さんと言う女性の方から、“近くでたまたまサイコロ・キャラメルを見つけたので”と26日にサイコロキャラメルを頂いた。つまりグリコ1粒が、サイコロ・キャラメル20粒になって返ってきた。

  今度、お客さんに1万円渡すと20万円になって返って来るとか・・んな訳ないよね。 でもサイコロ・キャラメル、とてもうれしかったです。もう一日「グリコ少年」をやってグリコと一緒にもらったサイコロ・キャラメルも配るって言うのもいいかも知れないな。



 【5月27日七日目(土曜日)・・この芝居で一番ウケた「夢一夜」】
 【その日のお客さん・・2階席もぎっしり・ほぼ満員】
 今日はお客さんがいるいる。1階のうしろ一部に少しだけ空席があって、あとはもう満席だね。全体にやや中年以上のお客さんが目立つ。でも若い人も結構いる。仲間に聞くと「やや一般度が高そうだが、陽気なお客さんだ」と言う。
  今日は「夢一夜」をやろうと稽古した。この噺は前半受けても後半になるとダレる。そこで少し後半をやや自然な流れ直してやることにした。弟子の天どんに『夢一夜』はどうだろう?と聞いたら「えっ、『夢一夜』ですか?う〜〜ん、難しいかもしれません」と言う。しかしまあ、覚えて来たんだし、もうイイ!悩まない。これでいこう!!
 【実際やって見てネタの選択・・・なんだかドッカンドッカン受けたな】
 この日はマクラでよくやる。「ぬう生とヌードショーと間違えた」をやって結構ウケル。英語の肩書きのマクラ・これも受ける。そして「夢一夜」へ、ドッカンドッカン、良くウケた。正直必要以上にウケったって感じだ。この噺はツボに嵌ると受けるんだけど、この日が今までの中で一番ウケたね。
  後半ではいつもこの噺は失速してしまうけど・アレンジが成功したせいか、後半に入って、少し受けかたは落ちたが、それでも笑いが途切れることなくサゲまで行った。終わった時のお客さん、強い拍手があった。いやあ、よかった。よかった。
 【終わってからの感想・・もう充分、満足だね】
 とにかくあれだけウケると天狗になりそうはほどウケたけど、過信は禁物。お客さんはモンスターだからね。ただ噺に入った時にスッと病院をずらかって来た男に入れなかったのと最後の方で少しとちった。更に稽古して噺を固めたい。でも普段、稽古しないからな。いかん、いかん!
     << しかし明日からもう演るネタが・・・・う〜〜ん。どうしよう?>>



 【5月28日八日目(日曜日)・・演るネタがないよ〜う「ランボー怒りの脱出」】
 【その日のお客さん・・結構マニアックなお客さんか?】
 今日はもうやるネタがない。どうする?それで直ぐ出来るのは、あとはアクション落語「ランボー怒りの脱出」ぐらいだね。他に伝説のいけねえおじさん「いたちの留吉 」か、アフガニスタン人が噺家になる「ランゴランゴ」か、古典では「名古屋弁金明竹」もあるけどね。トリではやりたくない。それに「一ツ家公園早朝ラブ・ストーリー」と円丈ホロリ噺「横松和平」を封印しちゃったからね。いや苦しい。
  この日のお客さんは、7割近い入りでどうも結構マニアックなお客さんみたい。あんまり普通のことではと笑わないお客さんのようだ。ぬぬ、これは手ごわいぞ!
 【実際やって見てネタの選択】....これしかない!「ランボー怒りの脱出」】
 高座に上がったら2.3人ほど声が掛かった。いやいや、うれしいと言うより、逆にプレッシャーになったりする。韓国ドラマから、男のドラマは終わったなんてマクラをふって・・「ランボー・・」をやる。笑うけど昨日ほどの笑いはない。ことによるとやってる円丈が何処かでシラケテいるのだろうか?集中できない。いつもの「ランボー・・」のウケではない。
  最後、幕が降りた時の拍手は暖かく、力強かったから・・きっとお客さんは結構、満足しているだろうね。終わったあと、良くトリを取ると来てくれる藤原さんが来て「いやあ、最高におもしろかったです」と真顔で言ってくれたので・そうなんだと少し安心した。いや、演者の感じ方とお客さんの感じ方は違うからね。
 【終わってからの感想・・あと二日なにをやるのか?】
 末広もあと二日になった。何をするかだね。1本は愛犬ホロリ落語「藪ツバキの陰で」だ。このアレンジが終わったが、どうもまだ不十分のようだね。それと円丈作品中もっとも奥が深いと言う悲しみ噺「わたし犬」か、円丈初期の傑作涙噺「ぺたりこん」だね。しかしみんなホロリなんだ。それもどうもなあ。
  ホロリ系じゃないと円丈大バカ自伝落語「振り返れば」もあるが、どうも台本が今ひとつピリッとしない、「それから東京都の地図をだして23区をくそみそに言う「東京23区」なんてネタもある。あと東京創世記の「東京足立伝説」もあるけど、これもネタ的に中途半端な感じだし・・・・もう悩むなあ。



 【5月29日九日目(月曜日)・・くたびれ損の「藪ツバキの陰で」】
 【その日のお客さん・・7割の入り】
 ホント今日は愛犬落語「藪ツバキの陰で」をやろうと思って、この芝居の前に簡単なアレンジをして前日夜から本格アレンジを敢行。朝9時から覚えに入ったが、夕方6時近くになってまだ覚えられない。この日は覚えられなかったどうするんだ?そこで必死なって覚え、高座前寸前にやっと筋だけ頭に入った。上下も仕草も稽古してない。参ったな。でもやっちゃえ!これでも15時間はこの噺で掛かった。いや、還暦男は大変だ。
  この日は、7割近くのお客さん、やや受けが悪いと言う。円丈愛犬落語「藪つばきの陰で」で行く。それしかやるモンがない。どうでもなれ!!おれは座布団の上の噺家だ。
 【実際やって見てネタの選択】....しゃにむに「藪つばきの陰で」】
 この噺「藪つばき・・」は結構ホロッと来てうつくしい噺。しかしそれを美しく語れるほど覚えているのか?それがチョッ稽古が足りない。この噺は、ストーリー的には出来上がっているけど、問題点は、あまり笑わない。
  その点では今回は、それなりにギャグで受けた。しかし、稽古不足で犬がうまく表現出来ない。愛犬落語だから犬が主役なんだ。それだ。ダメだった。
  そしてこの噺決めのセリフが多くて・・ホント覚えるのが大変なんだ。それがうろ覚えなんだ。ダメだ。うん!そして終わった。まあ、それなりの反応だったとも言えるが、幕が締まる時、この日が一番、お客さんが席を立って帰るのが目立った。やはりお客さんは正直!それを考えるとこの芝居で一番ダメだったろうね。まあ、それなりではあったろうけどね。それとペットの落語って好き嫌いがハッキリしてることがあるからね。
 【終わってからの感想・・もう一度、完全に覚えなおしてリターン・マッチをしたい】
 悔しいなあ。犬のキャラをキチンと演じて語りの部分をビシッと覚えて、もう一度リターン・マッチをしたいね。ホント、アレンジ自体は成功したのに・・う〜〜〜ん、悔しい!





 【「月のジャガリコ」みたいな噺をあと10本作って!】
 もう十数年来のお客さんでYaoさんと言う女性のお客さんから26日「月のじゃがりこ」をやったらメールが来た。
 
「今日は初めて円丈さんの『月のじゃがりこ』を聞かせてもらいました。新鮮な円丈さんのキャラで、静かな迫力があって、とてもよかったです。・・」と言うものだった。そのあとあった時「ああいうラブ・ストーリーをあと10本作って下さい。そうすると円丈さんが死んだあとも誰かやるので30年後も楽しめますから・・」
  おいおい、死ぬのを想定済みなの?しかし、「月のじゃがりこ」のような噺がそうそう10本出来ないよ。自分で言うのもなんだけどあれって名作だよ。でもラブ・ストーリー自体、絶対これからの落語の鉱脈のひとつになるね。10本はダメだろうけど、あと3.4本は作りたいなあ・・・。




(果たして楽日はなにをするのか?)

 【5月30日千秋楽(火曜日)・・悲しみ噺「わたし犬」で千秋楽】
 【その日のお客さ・・・9割ほどの入り】
 前日、夜から円丈作品中もっとも奥が深いと言われるホロリ噺「わたし犬」の台本構成で少し直しと切れキャラのマクラを考えてから、当日、朝から覚えに入る。細部の演技も少し考える。しかし、楽日はもっと楽しい噺の方が良さそうだけど。まいいか!
 この日も9割方の入りでよく入ってる。今日は白鳥くんの落語がバカ受けだったと言う。今日はグリコ・キャラメルと先日お客さんから貰ったサイコロ・キャラメルも持って来た。もし、「グリコ少年」をやれば、最後にキャラメルを客席にばら撒こうと思っていたが、でも全部ネタを変えるとなれば「わたし犬」だ!とにかくやろう!

 【実際やって見てネタの選択・・・ラストでガツンと入った「わたし犬」】

 マクラの食いつきがあまり良くない。但し切れキャラのマクラはうけた。居酒屋のシーンも考えていたより、ウケが少ない。やっていて分ったのは、もう少し落語っぽいネタの方がこの日のお客さんにはあった。「グリコ」ならカンペキだった。・・今更、悔やんでも・・そして後半、犬は危篤になるあたりから完全にガーンと入った。シーンとして・・そして幕が降り切るまで、今日は立つお客さんはいなかった。こんな落語があるの?と衝撃を受けたお客さんもいたはずだ。
 【終わってからの感想・・楽しかった落語三昧の日々】
 終わってから残ってくれた後輩達(清麿、白鳥、彦いち、亜郎、ぬう生くんなど)と居酒屋でわあわあ、騒いだ。楽しかった。こうして落語三昧の10日間の日々は終わった。全ての人に感謝!そして祝福を。


 【末広・10日間のまとめだ〜〜〜よ
 【昔より、お客さんの質は格段にレベル・アップした】
 この10日間、とにかくいろんなネタを試したが、ダメだったネタは1本もなかった。昔、「実験落語」と言ってた時代、コアなお客さんがいたが、それ以外の人にはあまり受けなかった。それは正直、当時の一般的な落語ファンのレベルが低く、ギャグや、ストーリー展開についていけなかった。それが3〜4年前から変ってきて、特に去年から今年に掛けて、新しいお客さん主に20〜40代の若いファン層が、落語に流れて来た。
  彼等は、今のお笑いのコントなんかも聞いてる世代でギャグ感覚も鋭い。その層と我々のやってる新作をストレートに理解出来るのだなんかは、キャラのマクラを考えてから、当日、x朝から覚えに入る。細部の演技も少し考える。しかし、楽日はもっと楽しい噺の方が良さそうだけど。まいいか!

 【実際やって見てネタの選択・・・ラストでガツンと入った「わたし犬」】

 マクラの食いつきがあまり良くない。但し切れキャラのマクラはうけた。居酒屋のシーンも考えていたより、ウケが少ない。やっていて分ったのは、もう少し落語っぽいネタの方がこの日のお客さんにはあった。「グリコ」ならカンペキだった。・・今更、悔やんでも・・そして後半、犬は危篤になるあたりから完全にガーンと入った。シーンとして・・そして幕が降り切るまで、今日は立つお客さんはいなかった。こんな落語があるの?と衝撃を受けたお客さんもいたはずだ。
 【終わってからの感想・・楽しかった落語三昧の日々】
 終わってから残ってくれた後輩達(清麿、白鳥、彦いち、亜郎、ぬう生くんなど)と居酒屋でわあわあ、騒いだ。楽しかった。こうして落語三昧の10日間の日々は終わった。全ての人に感謝!そして祝福を。




7月の失敗高座だよ〜〜ッ

 【年と共に失敗高座は増える?マジで?】
 05年7月はなんか自分でも失敗して印象に残ってる高座が多い。原因は怒りで高座に上がったり、還暦で少しボケて集中力を切らしたり、あるいはお客さんを敵に回したりとか原因はさまざまだけどそんな高座を集めてみた。でも毎回、失敗してる訳じゃないよ。受ける時はウケルんだからね。(円丈)





7月は失敗しすぎだ(1)

円丈ブチキレ!怒りの大銀座落語会の高座
       ・・・・銀座ガス・ホール夜・ (2005/07/17)

 【高座前に怒りで心臓がドキドキ!これで落語が出来るの?】
 正直、福笑さんとの2人会は楽しみにしてた。・・・だが円丈は高座前に完全にブチキレタてしまった。そのブチキレの原因は書かないことにする。結構それを書くと影響が大きい。
  このHPは円丈の個人のページであっても公式ページなのだ。だからはやり原因は書かない。
 とにかく高座前にブチッと切れたのだ。円丈を怒らせると結構恐いよ。なにしろ、最後は自分を捨てられる人間だから恐いものはないのだ。もう怒りが収まらなくなって舞台の袖でも怒った円丈は前座に向かって「もう休憩はいい!始めるぞ!」と指図した。もう立て前座になってしまった。
  しかし芸人生活40年の中で怒りに燃えて上がるのは初めて。こんな状態で落語が出来るの?正直、参った。しかもお客さんに対して怒ってる訳じゃない。さあ、どうする?とにかくプロは怒ってようとお客さんを笑わせなきゃいけない。とにかく高座に上がらなければ・・。
  【円丈が30秒も頭を下げ続けた訳とは・・・?

 怒っていては笑わせる落語はできないのに、もう心臓がドキンドキンと激しく鼓動してる!出囃子も鳴ってるに・・、うん、とにかく上がろう!!・・そして座布団に座る。「そうだ!もうこうなったら心が落ち着くまで頭を下げていよう!」とズ〜ッと頭サゲ作戦。そこで5秒・・10秒・・と頭を下げ続ける・・・。しかし怒りはまだ収まらない。更に頭を下げ続け・・・15秒・・20秒・・・するとお客さんも「アレ?今日の円丈はおかしい!きっとギャグで頭を下げているんだろう?とりあえず拍手でもしてやるか?」パチパチパチと拍手が沸き起こる。30秒頭を下げても怒りは収まらない。でもいつまでも下げてる訳にもいかない。そこで頭を上げる。
  【怒ってる割には良い出来だった「遥かなるたぬきうどん」

 それでも話しだして少しマクラを振っるうちに心が落ち着いて来た。それで「遥かなるたぬきうどん」に入る。まあ、落語の方は普通に出来た。こんな精神状態にしては上出来だね。いや、カンペキだ。こえrがプロって出来だったね。聞いてるお客さんの方はまた別な印象を持ったかも知れないけどね。円丈としても納得の高座だった。
  【もう絶対!!二度と出ない大銀座落語会】
  怒りの原因はともかくとして・・この大銀座落語会にはもう出ない!!決めた。あのブチキレ高座が、最後の大銀座落語会の出演になる。原因は書かない。いつか書くかもしれないし、死ぬまで書かないかも知れない。戦士円丈は、いつも和戦両様なのだ。挑んで来れば捨て身で戦うし、でなければ沈黙を続けるだろう。



7月は失敗しすぎだ(2)

お客さんを敵に回してウケナイ!!どうする?
       ・・「マクラは小さんで・柳家新作落語会」・池袋演芸場夜(2005/07/21)

 【「柳家新作落語会」って企画がイージーだよね?】
 この日の出演者は、喬太郎、清麿、小ゑん、さん喬、円丈他。柳家の新作派の落語会で、しかもマクラは亡き小さん師匠の思い出を語ろうと言う企画がこの「柳家新作落語会」。
  しかし どうも柳家の噺家ってなぜか企画に「柳家」を付けたがる。しかし新作に柳家も三遊亭もあるの?しかもサブ・タイトルは「マクラは小さんで・・」皆で小さん師匠の思い出を話す。しかし小さん師匠の思い出と新作となんか関係があるのかな?どうもあざとい企画のような気がしてしょうがない。
  【会の企画を貶したら客が引いた・ウソ!!

 それで上がってウケルと思って「企画がイージーです」と言ったらお客さんがスッと引いた。どうもお客さんの中に柳家贔屓のお客さんがいるね。更に「マクラは小さんと言うのもあざとい」と言ったら・・お客さんが完全に引いたね。客席の雰囲気は「おおきなお世話だ。おれは小さん師匠の思い出噺を楽しみに来たんだ!」って感じなんだ。
 それで殆どのお客さんを敵にに回してしまった。今までキャーキャー笑っていた客がシーン!参ったね。
敵に回す気はなかったんだけどね。
 【今まで笑っていたお客さんがシーン・・・ウソ!!

 それでこの日は疲れてもいたので静かに「ぺたりこん」をやったが、客席は静かなまま。しかも笑いはあるけど、今まで凶暴に笑っていたお客さんは、沈黙の客に・・。参ったね。もうラストまで静かなままだった。噺の調子も狂ってにぎわい座でやった時の出来にない。悔しいなあ。
  ホントお客さんを敵に回したらダメだね。それがなにげなく振ったマクラでみんな客は敵になってしまった。ただお客さん自体も柳家好きの古典好きが多かった。まあこんな日もあるさ。しゃあないよ!ドンマイドンマイ!でもこれからはマクラで余計な一言を言うのはやめよう。反省!!



7月は失敗しすぎだ(3)

円丈はボケたのか?今までで一番のボケ高座
       ・・・・池袋演芸場昼席・白鳥師のトリで (2005/07/28)

 【トリの白鳥くんは、この芝居池袋演芸場の最多客動員数記録を作った】
  弟子の白鳥くんが、7月下席昼のトリを取ったが、その10日間の客動員数が、今までの全芝居の動員数を抜き新記録を達成した。おめでとう。エライ!ホントに良く入ってた。最近、白鳥くんが、急激に各寄席のトリを取り、人気も急上昇中!
その上「タイガー&ドラゴン」などで寄席ブームの神風も吹いてる。とにかくめでたい。
  トリが白鳥くんで師匠円丈が中入りの出番。正直、ネタを考えてしまう。あまり大ネタだと白鳥くんに悪いし、かと言って、軽すぎては手を抜くようで良くない。まあ、そこそこのネタをやる。しかしそこそこのネタってどう言うネタなのか?この辺難しい。お弟子さんのトリを取る前の高座って逆に気を使ってしまう。
  【8日目(7月28日)・・10年に一度のボケ高座をしてしまう・・バカバカバカッ!

 正直、還暦になると少し頭の回転が遅くなって時々集中力を欠く時がある。この8日目がまさしくそれ。この日は他のことで少しゴタゴタしてて・・ホントは「グリコ少年」をやろうと思ったけど・また少し直した部分があって、よく覚えていない。そこでまあ良くやってる「一ツ家ラブ・ストリー」をやる。
 まずマクラ・・・。ウケナイ!うん、どうも少し古くなって来たのかねえ。そして本題へ、やっぱウケナイ・・う〜〜ん、これじゃ白鳥に完全に負けてるぞ。ま、まずい!その辺の焦りもあってか?そのうちに完全に芸と噺に対する集中に欠いてしまった。 いつもの間じゃない。なんか心があっちゃこっちゃして落語が落ち着かない。
「あれ、ここでなんかセリフが抜けたぞ!・・あれ、こんな間じゃないぞ。ひゃ〜〜あ。ダメだ」
  どうもセリフを5.6箇所忘れて抜けてしまった。終わった。ヒドイ!ヒドすぎる出来だ。こんな落語をやっていては・・情けない。
  【円丈は本当に70才まで落語が出来るのか?もう引退も視野に入れないと・・!

 それにしてもひどい出来だった。恥かしい。やはり還暦になると頭の回転が落ちてきてホントにだめな時は集中力を欠いてしまい、今までは普通に出来ていたのが出来なくなる。悔しい。60過ぎたら大御所なんて威張っていられた時代は終わったね。還暦すぎたら今まで以上に稽古が必要だね。
  この年では新作落語を作って覚えてやり続けるのは毎年キツクなってくる。60でこの様だもんね。とりあえず70ぐらいを目標して。それでダメなら引退も視野に入れておかないとダメだ。あまり無様な姿を晒したくない。 ただ29.30日と「グリコ少年」やって、チャンと受けた!念のため!






往年のネタ復活円丈独演会!
       ・・・・横浜にぎわい座昼・ (2005/07/02)

 【ネタの直しと覚えに10日間掛かりっぱなし】
 今回、「グリコ少年」と「ぺたりこん」という往年の名作2本シリーズ。もう「グリコ・・」は5年やってないし、「ぺたりこん」に至っては丸20年やってない。新作はあまり時代が付いてしまうとウケなくなる。そこで10日前からこの2本のネタの直しに入った。 ・・。
  【直しにも覚えるのにも時間の掛かる60才になった
!】
 どうも30代から比べると頭の回転能力、記憶能力が落ちている。しかし、もうボヤかない。そう言う作業自体が、思考能力、記憶力維持のトレーニングのひとつだと思うようにした。
  この2本の中でも特に「ぺたりこん」の方には時間を費やしたね。なんとかウケてほしい。
  【CDの録音も同時におこなった】
  この日の2本は円丈CD用に録音も行った。そのためにもなんとか良い出来になるますように・・!


【今のグリコはキャラメルよりオマケ部分の方が大きい・・そしてキャラメルは5粒と減る】


「往年公園のネタ復活三遊亭円丈独演会」
横浜にぎわい座昼14時開演
出演者
題名
前座 たん丈
前座噺「やかん」
三遊亭小田原丈
「必殺指圧人」
三遊亭円 丈
20年ぶりにやった名作?『ぺたりこん』
 中入り
 
三遊亭円 丈
5年ぶりに『グリコ少年』
【当日のお客さん・・1階席満員のやや若い感じ】
 にぎわい座のお客さんは、普段他の寄席から見るとやや高めの年代層が中心、しかし、ここは年代は高めでもなかなか反応のいいお客さんが集まる。当日は一体どう言うお客さんが、くるのか?心配性の円丈は、見ていたが、普段の年代より、10〜15才以上は若いお客さんになってる。
  20代が少し混じり、30代〜60代まで満遍なくいる感じで1階は満席。あとで聞いたら、前日あたりに申し込んだら、満席で断られたとか・・最初から1階席だけを販売したようだ。その内に2階席も全部、販売できる芸人になりたいなあ。

  当日は、こんな感じだったよ〜〜〜ッ

 開演3分前に行方不明?どうしたの?
      前座三遊亭たん丈・古典落語「やかん」
 前座最高齢43才のたん丈・彼にはここんところ。いつも「状況判断をしろ」と小言を言い続けてる。漫才や、コントならボケッとしたキャラも相棒が引き出してくれるけど、ピン芸人は、自分で引き出すしかない。ピン芸人は、いつも今どういう状況で何をしなければいけないのか?自分で判断出来ることが必要。
  ところがたん丈は、この状況判断が苦手。開演前に袖に行ってこの日のお客さんを見てたら、急に高座に上がるたん丈が、開演3分前になって舞台の袖からいなくなって行方不明に!
  みんな「どうしたんだ?直ぐ高座なのに?」と言っていた。そこでみんなに「いや、たん丈は、私が、楽屋にいると思ってアイサツに行ったんですよ」と答えた。そうすでに舞台の袖にいる師匠に気がつかず楽屋にアイサツにいった。バカだね。
  しばらくしてアタフタと袖に現われた。「なんだ、オレを探してたのか?」「そうです」・・ホント状況判断が出来ない奴だな。・・そして高座・・見事なほど客席は静かだった。


真打目前!!そこそこ受けてた
    三遊亭小田原丈・・自作「必殺指圧人」
【でもまだ足りない・・進め、小田原丈!】
 小田原丈は05年9月から「三遊亭丈二」でも真打になる。どうものんびり屋で師匠の私の方がイライラして、もっとネタを整備して、もっと受けて・」とアドバイスをしてるところ。
この日やったのは「必殺指圧人」!マクラで自分の「小田原丈」の名前をネタにしたが、まだマクラがだらだらしてて甘い!もっとドーンと受けないとなあ。
 それから本題の「必殺指圧人」・・・この噺、きちんと聴いたことはないが、後半は結構アレンジして変えていた。サゲ間際のところではそれなりに受けていた。師匠の私としては少し安心したと言うところ。小田原丈には、白鳥に続いてドーンと行って欲しいけど・・。まだまだパワー不足だ。さあ、小田原丈、白鳥に負けるな!


20年ぶりの「ぺたりこん」!まあまあの出来だね
   三遊亭円丈幻の名作「ぺたりこん」
【「ぺたりこん」ってどんな噺?】
 昭和51.2年頃、約30年近く前の作品。いつも仕事でドジばっかりしてる40代の平社員高橋くん。ある日、なぜか会社の机に手が張り付いて取れなくなる。そこで会社は、なんとか理由を付けてやめさせようとする。最後は就業規則を持ち出して、会社の備品、机として以外は社に残れないように高橋くんを追い込む。はたして高橋くんはどうなるのか?
  噺はややナンセンスな感じでスタートして最後にホロッとしてこの噺は終わる。喬太郎くんが、今もやってる噺。作った当時、かなり評価され亡き枝雀師の絶賛してと言う名作の呼び声も高かった噺。
【20年ぶりに「ぺたりこん」をどうする?】
やはり20年もやらない噺ってどこか古い!今回、台本をジックリ読み直したら良い噺!
( そこでこんな風に直す)
◎基本的ストーリーは直さない・・ストーリー自体は良く出来ている
◎細かいギャグ・設定は今の時代にする。
 それから少しずつ噺のバランスを崩さないようにして直して行く。
【狛研でテストでやる】
 それで円丈が主宰する狛犬研究会でテストでやって見た。みんな身に積まされて笑わない。もっとも狛犬を研究する会で話すのだからそんなには受けないだろうけど・・。でも受けない原因は、課長があまりにもツお過ぎる
【うん、満足なアレンジと出来!!・・今の充分通じる噺だね】
 作品アレンジはそこそこ成功したと思う。お弟子さん何人かにアレンジ台本を見てもらい。まあまあの評価。この噺で問題なのは、高橋くんを追い込む課長の演じ方!これが強すぎると聞いてるお客さんが身につまされてつらくなり、ギャグが入っていても笑えなくなってしまう。そこで課長はなるべくホワッと軽く演ずることを心がけた。
  狛研では3箇所しか笑わなかったけど、この日のお客さんは、良く笑ってくれた。予想以上の笑いの量だ。それからこの会社の創立者を名古屋人にして就業規則を名古屋弁でやって見たが、これも受けた。そしてラスト。電話で娘サヤカとの会話の場面では客席はグッと締まって、終わった。うん、大成功だと思う。
  今後はもう少しマクラを増やして課長を完全にスッとぼけたキャラとして固定したい、これからもこの噺は使えそうだ。一生懸命アレンジした甲斐があった。いやあ、満足!満足!


グリコを食べながらエンデイング!それなりだけど・う〜〜ん!
   三遊亭円丈幻の名作「グリコ少年」
【「グリコ少年」ってどんな噺?】
 円丈の出世作となった噺。1980年にあの一粒300mのおまけつきグリコキャラメルの創始者江崎利一氏がなくなった。生涯グリコキャラメルに情熱を注いだ人。自分は、小さい頃、「グリコ少年」で随分グリコのお世話になった。その会長を追悼の意味でしみじみ高座で語りたいと思って寄席で掛けたらなんと客が笑った。それから噺を整備して「グリコ少年」になった。当時は甘いお菓子が飽きられ、スナック菓子全盛でキャラメル世代とポテトチップス・エイジを対比しながら噺が進めていった地語りの噺。
【5年ぶりに・・少し改作する】
なぜ、この噺をやらなくなったのか?一番の原因は、林家彦いちくんに「なぜ、そんなにキャラメルにこだわるのか?それが分らない」と言われて、もうキャラメル自体が、ホントに過去の話になったと思い。それでガックリ来てやめた。
 そこで今回は、自分がなぜキャラメルにこだわるのか?その辺を振ってから本題に・・今度の独演会は「ぺたりこん」のアレンジに時間を取られてやや「グリコ少年」の方が、手が廻らなかった。もう少しアレンジしたかった。やや中途半端な感がある。
【それなりに良かったが・・昔から比べるともう・・】
 2日ほど前にグリコ・キャラメルとミルキーを買って当日に備える。最後にお客さんにキャラメルを配ってみんなで食べながら一粒300mをする!かみさんに聞いたら、近くのスーパーで売っていると言うので買ってきた。もう今の時代、直ぐにグリコが欲しいと言って、買えるほど一般的な商品じゃなくなってきた。もうこの辺にも「グリコ少年」が以前より受けなってる現状がある。

【高座・・それなりに・・ラストは盛り上がった】
 グリコをやった!もうここでウケルと思ったとこがダメだったり、意外なとこが受けたり、受け方がデコボコ!このウケ方にもやはりグリコが遠くなってると言う感じがする。
  とにかく昔「グリコ・・」をやった時の怒涛のようなウケ方を覚えてる!それから見るともう情けない受け方だ。それが、25年と言う歳月だろうね。どんなにアレンジしても日本人が、どんどんキャラメルから遠ざかっているのだから、それは仕方がないことだ。それにこの時は疲れているせいか、ロレツが廻らなかった箇所もいくつかあった。反省、反省!でもラストお客さんにキャラメルを配って、一粒300m!と走るとこは盛り上がった。 まあまあとも言えるが・・まあ、こんなもんだろうね。
【グリコを食べると円丈はホントに300m走れるのだ・・元気だなあ】


『総評・・会としてネタとして成功だったね!』
  この独演会で分ったのは、「ぺたりこん」は充分は今後もネタとしてできる見込みがたった。そしてもう1本の「グリコ少年」の方は、どうもアレンジがまだ不十分!もう少し短くして、キャラメル部分をかなり短くすれば・・もう少し延命が出来そうだね。円丈の中で一番、受けて儲けさせてもらった噺だから、感謝のつもりでもう1回アレンジとカットをしてやってみたい。ありがとう「グリコ少年」!



【簡略版トリ日記】

浅草演芸ホール5月下席10日間(2005/05/21〜30)
     【23日は円丈お休み・スンマセン!】

 どうも還暦過ぎたせいか、このところウッカリ・ミスが多い。ここ1ヶ月でなんとメガネ2個とカメラ1台を紛失。この大ポカは、ヤッパ頭がバカ化してるね。しかし落語の記憶力は何とか現状維保ってる。

 でも落語関係の能力だけはなんとか維持しないとね。まだまだボケちゃいられない。円丈と言えば、落語でも3本の指に入る立派なケイコ嫌い!自慢にならない。とにかく、死ぬ前にもう一度、一花咲かせてみようじゃない。少しマジになってケイコをしよう。・・と言いつつしなかったりするからね。でも来月死ぬと思えばケイコするだろ。頑張るぞ。やるぞ!!

 
【演芸ホール初日(21日)・・三社祭に負けず「悲しみは埼玉に・・」を熱演する円丈】

  【5月21日初日(土曜日)・・「悲しみは埼玉に向けて 」】
 【その日のお客さん】
 この日、メガネを落して新しいメガネを注文しに行ったら、2時間掛かってケイコが出来なかった。ねッ。言い訳だよな?これがダメなんだ。
それで この日は浅草三社祭で結構入ってる。中年以上のお客さんが多いようだが、それでも去年辺りから見ると5〜6才若返ってる気がする。楽屋で弟子にどんなお客さんかと聞くとふつ〜〜うのお客さん!ホントかよ?
 浅草なら「悲しみは埼玉に向けて」なら安全パイ!じゃこれをやろう!
 【実際やって見て】.....高座は落ち込んでなんかいれない!『悲しみは埼玉に向けて 』

 正直、この日は個人的な理由で本当にメチャクチャ落ち込んでいた。十年に一度ぐらいのバッドな精神状態で最悪に近い。でもだからこそ上がる時「今日はメチャンコ、元気にやってやるぞ!」と覚悟を決めて上がった。
  「落ち込んでたから受けませんでした!」なんてプロじゃない。上がったらいきなりハイテンションでマクラの「ぬう生とヌードショーと間違えたから・・」、結構受けさせて、「埼玉・・」に入った。いつもにも増して臭く、パワー・アップして演じた。笑いは終始あった。かなり受けた。この高座を聞いて実は円丈が落ち込んでいたなんて誰も信じないだろう。わははは、いい気味だ!ホントに落ち込んでたのか?マジだもん。

 【終わってからの感想・・打ち上げが、三社祭の人と一緒に・・】
 とにかくウケ方もパワーも問題なし。落ち込んでたが終わったら元気になっちゃた。ホントに落ち込んでいたのか?ホントにそう・・。初日の打ち上げに近くの店に入ったら、三社祭の粋なお兄さん、お姉さん方5.60人と一緒!向こうでは木遣りを唄って、中締めの三本締め。なんか調子狂っちゃた。
  でも三社祭のお陰でお客さんも増えたと思うから、文句は言えない。明日も落ち込んでハイテンションで行こう。とにかく落ち込めば落ち込むほど円丈はハイテンションになる。明日もやってやる。死ぬ気でやるぞ。なんか少しヤケ気味かな?うん、そうだね。

  【5月22日二日目(日曜日)・・「一ツ家公園ラブ・ストリー 」】
 【その日のお客さん】
 今日も三社祭・・しかしお客さんの入りは昨日は立ち見が出たが、今日は座席に少し空席が目立つ。この日のお客さんリサーチを開始。昨日よりやや若い人が多いが、笑いは少な目、小ゑんさんが新宿で円丈作の「フィッ」をやって受けたが、この日はかなり苦戦してたと聞く。
  うん、どうも会場全体の一体感がない。若いお客さんと中高年右のお客さんと引き合う感じがする。なるべく分り易い噺がいい。それですぐ出切るとなると「一ツ家公園ラブ・ストリー」か?この日、昼間平塚の落語会がかなり中高年のお客さんで「いたちの留吉 」をやって受けたけど・・まあ、「一ツ家公園」をしよう。正直、なんとなくいやな感じがするけど・・。やってみっか?
 【実際やって見てネタの選択】....びみょうな反応.『一ツ家公園ラブ・ストリー 』
 まあ、マクラはそこそこ。しかしその後、「一ツ家」の公園風景のマクラってあんまり外さないけど外す。アレ、レレレ〜っ。レレレじゃねえよ。こりゃ、ダメか、参ったな。もう声を大きく、臭く、やるしかない!それから、一生懸命、一心不乱、滅私奉公、針小棒大。とにかくGO!とやったけど・・・まあ、それなりにねえ・・。う〜〜ん、これはソレタとも言えるが、かろうじて合格とも言えるし、うん、正直ビミョウだね。これならまだ「いたちの留吉 」の方が良かったか?びみょうだなあ!では他のネタなら・・うん、びみょうだ。
 【終わってからの感想・・「あれだけウケれば充分でしょう!」と小田原丈】
 終わってから「ダメだったな」と言うと弟子の小田原丈が、「いえ、今日のお客さんであれだけ受ければ、充分じゃないですか!」とフォローしてくれた。こう言う時かならず小田原丈は、救ってくれるからうれしい。えらいなあ。
  これがぬう生だと「今日,受けたよね」と聞いても「師匠、でも後半うけませんでした」と首吊りの足を引っ張ることを平気で言うからな。恐い。
  でも今日はいい。次々!そのあと、ドラトモの玉木くんが名古屋から来てて食事に行った。なにドラトモって、知らないの?円丈はドラゴンズ・ファンなのだ。そのドラゴンズ友だちでドラトモなんだ。しかし、この日ドラゴンズは、ロッテに11対4で負け。やっぱ、ドラゴンズが調子が悪いと円丈の落語の出来もよくない。こら、ドラゴンズのせいにするな。はい、そうだね。


 【5月23日三日目(月曜日)・・お休みです」】
 【ごめんなさい・・・・ハハ〜ッ・土下座!】 

  【5月24日四日目(火曜日)・・最近では良い出来だった「いたちの留吉 」】
 【その日のお客さん】

 正直言うとこの日、円丈の頭は混乱してた。なんで混乱するんだ?そりゃ年に一度ぐらい混乱ぐらいするよ。でも楽屋入りと同時に芸人モードに突入する。この日のお客さんは、7割の入りでやや中高年が目立つ。そこに4〜50人ほどの中学生の修学旅行の団体がいる。夜席のハネ(21時)まで見て帰る。エライ!
  この日はあまりハードなネタも難しそうだし、頭も混乱中だし、なんとか楽して終われないか?そこで弟子の天どんに「『ランゴランゴ』(わりと良くやるネタ)でどうかな?」すると「でもそのネタじゃ軽すぎるんじゃないですか?」言うね、コイツ。「じゃ『いたちの留吉 』でもやるか?」となった。

 【実際やって見てネタの選択】.....出来は良かった『いたちの留吉 』
 ?いつもマクラがあまり受けない。・・と言うことは一度は聞いてる訳・・つまり結構常連が多いってことだね。そして『いたちの留吉 』に入る。いつもより、キッチリ演ずる。手応えは良い。高座ではもう100%落語に集中してて混乱なし。うん、自分で見て最近やった「いたち・・」の中でこの日が一番の出来だった。マクラは大したことなかったが、噺は良かった。終わった時の感じも悪くない。それにやや高めのこの日の年代層的にも合ったのかもしれない。
 【終わってからの感想・・とにかく・無事これ真打】
 とにかくなんとかなった。ああ、ホッとした。しかし高座に上がった時は、それまで落ち込もうが、混乱しようが、どんな精神状態も引きずらない。落語家円丈にガラッと変身出来る。仮に楽屋で殴り会っていても、高座はふつうだね。一度やってみようかな。もちろん、冗談だけどね。どんな時でも高座は別なんだ。これは、円丈の強い武器だね。さあ、混乱した頭でケイコ、ケイコ!ケイコするぞ。止めないでくれ!

  【5月25日中目(水曜日)・・「夢一夜 」】
 【その日のお客さん】

 この日、下はほぼ一杯で割と中高年が多い、2階席には、中学生の団体が50人ほど、楽屋にいた弟子にお客さんのことを聞くと「そこそこ出来るんじゃないですか」と言う返事、この日、少し直した「夢一夜」をやろうと多少ケイコした。なんとなくもう少し分り易いネタの方が良いと思うけど、今日はコレ。ウケてもウケなくてもこれで玉砕だ。やるぞ。

 【実際やって見てネタの選択】....やや薄い笑いだったが『夢一夜 』
 マクラは、なんとなくうける。笑い方がややジワッと来る笑い。本ネタにはいるとやや笑いがいつもよりは薄い。それでも頑張ってやる。サゲに来るまでに4.5人のお客さんが帰る。そしてサゲ!やや笑いが薄かったけど・・まあ、なんとかなったと言う感じ。決して負けではない。攻めた時に負けはない。守ってうけなかったらそれは完全に負けと言う。うけ方としては不十分だったが、自分としては満足だ。
 【終わってからの感想・・打ち上げが楽しかった】
 この日、昼間少し悲しいことがあったが、でも頑張った。高座を降りるとお弟子さんや、後輩たちが私のために残ってくれてた。10人ほどで「とん八」で打ち上げ。お弟子さん4人(らん丈、小田原丈、亜郎、たん丈)や、マジックの浅田先生や、コントにいった元弟子のガッポリ建設の二人や、栄輔くんが、私を慕って打ち上げにまで付き合ってくれた。いない奴の悪口や、雑談で盛り上がって楽しかった。この日の打ち上げは、しみじみとうれしかった。



今日はなにをやるのか????

  【5月26日六日目(木曜日)・・一ヶ月ぶり「遥かななるたぬきうどん 」】
 【その日のお客さん】

 この日は一ヶ月ぶりに「遥かなるたぬきうどん」をやろうとケイコ。もうこの年になると新作は、一ヶ月やらないと殆ど忘れてる。あ〜あ、情けない。5時間ほどケイコしてやっと覚えたかどうか?年は取りたくない。それで楽屋入りしたら、この芝居で一番難しいお客さんだと言う。色モノはそれなりに笑うようだが、落語はあまり反応がない。ガ〜〜ン、マジ。トリの2本前で小ゑんさんさんが、新作の「すて奥」やったが、虚し惜敗と言う。恐いなあ。でもいいや、5時間もケイコしたんだもん。行け行け!お客さんをリサーチした結果より、やりたいネタを本気なって演じれば意外と通じるもんだ。やっちゃ〜〜〜お!

 【実際やって見てネタの選択】....それなに良かった『遥かなるたぬうどん 』
 とにかくいつものマクラをふるが、普段の半分の笑い。それるギャグもある。それからネタに入る。ウケ方は、やはりやや少ないが、全力で大きな声で臭く演ずる。だからそれなりにお客さんも付いて来る。ただうどんを食う音が、ケイコの時は出るのに、どうも高座だとうまく出ない。イライラするなあ。今回は少し口の中に唾を溜めてからすするようにしたのに前回よりは少しよくなった程度、悔しいな。ホントに!最後に“「遥かなるたぬきうどん」と言う壮大なスケールのお噺でした”と言ったら結構笑っていた。それなりに良かったと思うね。
 【終わってからの感想・・忘れないように明日もやるか?】
 自分の頭の中であらかじめ想像してたより、結構よかった。しかし、これでまた一ヶ月経つと「・・たぬきうどん」をスッカリ忘れてる。明日もう1回ケイコしてやってみる手もある。そうすれば結構長期記憶に残りそうだ。
  とにかく還暦過ぎて現役でネタを作り続けることが、既に未知の領域に突入してる。これを更新し続けることが、あとに続く後輩たちに大きな勇気と自信を与えることになる。なんとか70才までは現役バリバリでギャグを作ってやり続けたいもんだけど・・。果たしてどうなるのか?でもまだまだくたばれない。


  【5月27日七日目(金曜日)・・今一度「遥かなるたぬきうどん 」】
 【その日のお客さん】

 どうも年で覚えても直ぐ忘れてしまう。そこで昨日やった「遥かなるたぬきうどん」を二日続けてやった完全に長期記憶に焼き付けようと言う作戦。そこで今日もケイコして、カンペキにして・・と思ってケイコした割りには、大してカンペキにもならない。ダメだ、こりゃ?しかし、今日も「たぬきうどん」でと楽屋入り。
  昨日より、やや若い感じの客席、座席はほぼ一杯の入り。今日は一朝さんの「牛ほめ」がうけたとか、やや初心者が多い感じ、正直「たぬきうどん」は少しきつそう。もっと合う噺はある。しかし、いつもいつもお客さんに合わせていたんじゃ、ネタは変らない。もう方針決定!「遥かなるたぬきうどん」で勝負!

 【実際やって見てネタの選択】...昨日の方が良かった?『遥かなるたぬきうどん 』

 それでネタをふって噺に入る。しかしなかなか口慣れない。結構ケイコはしたのになあ。どうも・・昨日の方が、反応が良かった気もする。それに昨日より、ほんの少しだが変えたが「・・たぬきうどん」は、一応落語を知ってるお客さんの方が喜ぶやや上級編だね。無駄に汗だけ流れた・・って感じ。まあ、それなりにって感じだね。
 【終わってからの感想・・「でもツボではうけてた」とぬう生】
 降りると弟子のぬう生がいて「どうだろう?」と聞くと「でもツボのところではうけてましたからいいんじゃないですか?」そう、そう!そう思っちゃおう。明日、明日、そんな一々落ち込んでなんかいられない。
  今年中にトリで出来るネタを20本に増やしてやるぞ。60過ぎでネタ下しする噺家は、少ないが、おれは作り続けて覚え続けてやる。くたばる時は前のめりに死んでやるぞ。円丈に恐いものなんかない!もうヤケだ。なんだヤケだったのか?

 

  【5月28日八日目(土曜日)・・少しケイコして「悲しみの大須 」】

 【その日のお客さん】

 今、土曜日が一番、それを目指したお客さんが多い。この日は、ややマニアックな「悲しみの大須」をやることにした。少しこのネタをケイコして、高座にかけると決めた。この日のいつもより、やや若いお客さんで若い女性もそこそこ目立った。しかしかなり初めてのお客さんが多い感じだ。すると寄席ドキュメント落語「悲しみの大須」は、ベストでもベターな選択でもないけど・・ええい、やっちゃおう!

 【実際やって見てネタの選択】...聞き込んでいた『悲しみの大須 』
 ?少しマクラで名古屋、大阪の土地ネタと昔大阪にあった「新花月」のマクラを振ってからネタに入る。本題に入るとマクラのうけ方はない。噺が進むとどうも完全に聞き込んでるって感じ。“大須に出る悲しみは・・”なんてところはなんと客席で鼻のすする音が聞こえる。
  いや、そんなに感動するシーンでも・・と思ったほど・・それでラストの間際で少し笑って終わり・・。どうも少しケイコした分、スラスラと言えたが、どうも円丈の場合、それがガーンと強く演じて、しまい、笑うより、聴くことになり勝ちの時がある。
 【終わってからの感想・・とにかくやった!悔いはない】
 果たしてお客さんはどうだったのか?ホントのところはどうだったのか?分らない。少し芸人の悲しみみたいなものが、強く出たのかもしれない。弟子の亜郎が「明日は「ランボー怒りの脱出」がいいのでは?」「じゃ、そうする!」お前は亜郎の弟子か?でもやってみようかな・・。

 

  【5月29日九日目(日曜日)・・・・弟子亜郎が言った通り「ランボー怒りの脱出 」】

 【その日のお客さん】

 この日、ひとつ営業の仕事で地方へ、全力挙げて受けさせようとして・・徒労に終わった。虚し惜敗!そのあと東京についてから、漫画喫茶でなんと「ランボー・・」をケイコした。えっ、いつもは?する訳ないじゃん。精々このネタだったら、台本読んで仕草をイメージトレーニングするだけだよ。それがなんとケイコ。自分でも驚き。しかしケイコし始めて感じたのは、20時間ぐらいしないとキチンとならないと感じたね。だから時間が足りなかった。
  この日のお客さんは、今日も昨日と良く似た感じ。昨日、弟子の亜郎が「『ランボー・・』なんかいいんじゃないですか?」と言ったのでその通りやる。お前は亜郎の弟子か?とにかく素直なんだね。弟子でもお客さんでもアドバイスを素直に受け入れてしまう。うけなかった亜郎のせい!じゃ、やってみっか!

 【実際やって見てネタの選択】...昨日やった方が良かったか?『ランボー怒りの脱出 』

 ?この日のお客さんの拍手が熱狂的だった。その瞬間、思った。しまった昨日の『悲しみの大須』を今日やるべきだった!『ランボーは・・』昨日の方がよかった。高座の方はそれなりになんとかなった。
  しかし、この噺の後半、故早野凡平さんの帽子を被った瞬間、お客さんが、二人帰った。コケッ!ダメだ、こりゃ。なんか「そんな帽子を被るのは落語を認めない」みたいなお客さんだったのかね。悔しいな。でもまあ、こんなもんだね。ケイコ量も中途半端。やっぱ、昨日のネタと交換した方が絶対よかったな。“覆水ネタは帰らず”まあ、しゃあない。明日、明日!

 【終わってからの感想・・・・・この芝居、4回目の打ち上げ】
 しかし良く打ち上げに行くね。4回目だよ。まあ、この日は安いラーメン屋で安かったけど、明日は楽だから当然、行くよ!収支決算?そんなの赤字に決まってんじゃん。でも打ち上げは楽しい。しかし明日やるネタがない。
  ネタの候補としては裸になる『パパラギ』か、シトシト悲しい『わたし犬』か、ラブ・ストーリー『月のじゃがりこ』と円丈VS円丈落語『振り返れば』か、『名古屋弁金明竹』か、あと愛犬落語『藪ツバキの陰で』か、『l国際噺家戦略』か、『東京足立伝説』か、そう忘れてた円丈お得意の『横松和平』かだね。おい、随分あるじゃないか?・・うん、あるけどみんな帯に短しやるには長しって感じだね。・・・うん、こまったな。一体楽はなにをやろうか?


  【5月30日千秋楽(月曜日)・・・・2年振りに「東京足立伝説 」】

 【その日の高座に上がるまで・・・・雨の月曜にしては入っていた】

 今日はやるネタがない・・。得意物と言われてる『横松和平』はもうやりたくない。しかし結構毎日、まじでケイコして来たから疲れがでた。2年ぶりに『東京足立伝説』をやろうと思ったのが午後4時過ぎ。
  しかし・・60のジイサンが、殆ど忘れてるネタを3〜4時間で覚えて出来るのか?おもしろいじゃん。それからマジになって覚えだした。しかし人間集中すると覚えられるもんだね。なんとか覚えて楽屋入り!雨にも拘らず結構お客さんがいる。今日は月末で招待券のお客さんも結構いるね。もうとにかくやってみよう。

 【実際やって見てネタの選択】...『東京足立伝説』

 楽で上がったが、結構お客さんの拍手が、暖かかった。結構、それなりに円丈をきいてやろうと言うお客さんもいるみたいだ。足立区のマクラを振ってから、東京と足立の創世記を描いた「東京足立伝説」!それなりにはいけたんじゃないかな。3.4時間のケイコのワリに良く覚えたと思う。今まで何回はこのネタをやったが、その中ではまあ、過不足なく適度に笑いを取ったと思う。

 【終わってからの感想・・・・・なんと高座にご祝儀が置いてあった】
 幕が閉まって気が付いたら、なんと高座にご祝儀が置いてあった。しかも袋には「祝!楽日興行 三遊亭円丈賛江」とワープロで書かれていた。わざわざこの日のために祝儀袋に印刷して持って来てくれた。たまに高座の脇に千円札なんかがむき出しに置かれていると“ふざけるな”と思ったりするけど・・。この心のこもったご祝儀はうれしいなあ。

  直接の面識のない人が・・。しかも誰がおいたか気が付かなかった。なんかその気持ちがシミジミうれしい。楽屋で聞いたら、多分あの人だと言う人がいたが、やはり会ったことのない人だった。この場でお礼を申し上げます。

  この芝居、気が滅入ってややつらかったこともあったが、最後になって救われた気持ちだった。そのあと7人ぐらいで打ち上げに行って楽しかった。

【画像:このご祝儀袋が高座においてあった・・・】




       【今回のトリの総評・・ウケはやや少なめだったけど満足】
 
この芝居の10日間、正直ややウケが足りなかった。しかしそれは最初から分っていたこと、お客さんにあわせたネタをやればもっとウケたと思う。しかしあえて、そうしなくて、トリらしいネタにこだわった。
 それで最後まで行ったんだから、それでよかったと思う。ここ1.2年トリねたを増やすことにこだわりたい。それに結構ケイコも出来てよかったし、更に5日も打ち上げをした。みんなと一緒で打ち上げでわあわあ言うのは、酒を飲めない円丈もとても楽しい。
 ただ落語を作るのは大好きだけど相変わらず落語をやるのは大嫌い。自分自身に対するハードルが高すぎてあまり落語を楽しめない。でもそうは言っても噺家なんだし、やるしかない。やるからには頑張るしかない。 とにかく楽しい10日間だった。


◎楽まで読んでくれてありがとう。感謝、感謝!



円丈作品集大会は大盛況!大成功!
       ・・・・池袋演芸場夜・ (2005/04/21)

 【出演者はみんなネタ繰り】
大体、新作の会ってネタ下しが多いから、上がるギリギリまで、楽屋でネタ繰りをしてる。今回の円丈作品集も円丈が楽屋入りしたら、彦いちくんも台本見ながらブツブツ・・。喬太郎くんもブツブツ時、そこで私も手直ししたのでブツブツ・・。3人が同じ楽屋でブツブツ・・。みんな孤独だ。それで高座から降りると開放されて、途端に本来のお喋りに戻る。
  【お客さんは大入り,
内容的にも大成功!】
 正直一体どのくらいのお客さんが来るのか?分らなかったけど、当日、なんと108人定員のところに145人の超満員!しかも結構マニアのお客さんもいると思うのにとても好意的で素直に笑ってくれて、終始笑いが絶えなかった会となって大成功だった。  
  【画像:開演前、みんな孤独になってネタ繰り。その静かなこと・・・。左から、喬太郎、彦いち、清麿(今回黒子役)、円丈】


「三遊亭円丈作品集」池袋演芸場夜6時20開演
出演者
題名(当然だけどすべて円丈作)
前座 たん丈
名作前座噺「やかん」
三遊亭ぬう生
名作うんこ噺「肥辰一代記」
林家 彦いち
幻想的食欲反省落語「稲穂のジュウタン」
柳家 喬太郎
本格ラブ・ストリー「月のじゃがりこ」
 中入り
 
柳家 小ゑん
語感的ナンセンス落語「フィッ」
三遊亭 円丈
マッターホルン、カツオダシ落語「遥かなるたぬきうどん」

  
 【前座たん丈・・「やかん」・・見事におきゃくさん・静める・偉い】
 まずプログラム外の前座として弟子のたん丈が登場。殆ど反応なし!見事だね。


三遊亭ぬう生
   うんこ噺「肥辰一代記」・・制作1880年作円丈】

【あらすじ】
 全編ウンコ噺。昭和3年、おわいやでいながらそのいでたち、肥汲みの技が冴え、その上、小粋で市民から大変人気があったのが、おわいやの13代目の肥辰!そこに弟子入りしようとしたのが本郷3丁目で生薬屋の泉屋、そこの一人息子の幸太郎が両親の猛反対をされ、「そんなお前はウンコがいいのかい、親取るか、ウンコをとるか?」で「ハイ、ウンコ!」とウンコを取って勘当されて13代目肥辰の元へ弟子入りのお願い。
すると肥辰は “おわいやなんてそんな楽な仕事じゃねえ。昔から肥漬け三年出し八年と言う肝心なのが、肥漬け三年だ。どんなに暑かろうが、寒かろうが、毎日、肥壷の中にどっぷりとアゴまで浸かるんだ。こんなつらい修行耐えられると言うのか?”“えっ、肥壷に浸かれるんです。うれしいな。すぐやります”“出来る!”しかし、アゴは1年目だ、2年目は鼻の下まで浸かる、三年目には目の下まで浸かるんだ。こんな苦しいことができるっていうのか?”“そうですか、楽しそうだな。アタシはなんなら潜ります”“汲める!よい、弟子にしよう”と弟子入りを許されてついには14代目肥辰になった。

【聞いて見て・・まあまあ、受けてた】
 ぬう生は、マクラで自分が小さい時のバキューム・カーの話をしてそこそこ受けていた。なにしろ、マクラから全編ウンコ!お客さんが引くかと思ったらそれなりに笑っていた。正直、二ツ目でウンコ噺ってどうなの?と少し心配していたが、その割にはまあまあだった。
  ただぬう生は、もっと繊細にならないといけない。新作の会で黒紋付の羽織で上がるのはなにか違和感がある。例えば黄色い着物で上がるとか、少しは衣装にも注意を払うべきだ。
  芸の面では父親と息子が、話すテンポが同じ。親父や、親方は、少しゆっくり話して息子は普通にする。これは古典でも新作でも同じ。芸の基本中の基本。それが出来てない。それにマクラの中に大名小噺の「そのしも肥をここに少し掛けてまいれ」と言う小噺をやっていた。しかもお客さんも引いていた。新作の中に古典の小噺を入れるのは掴み込みでタブー!絶対してはいけないこと。それに作品に対する理解と掘り下げが足りないと思う。頑張れ、今の10倍努力しろ。ぬう生!



【林家彦いち さすが彦いちくんの入れたギャグは受けた
         「稲穂のジュウタン」・・制作1991年円丈】

【あらすじ】
 おじさんセールスマンが、一人で食事してる時、幻覚を見た。お茶碗のご飯が、元のモミになり、モミは発芽して稲になり、その稲のモミは辺りに散らばり、しばらくすると地球は稲穂に輝く黄金の惑星になっていた。
  オデンのハンペンと竹輪がケンカをはじめるし、エビフライは脱皮を始めるし、すると今度は大宇宙の彼方から突然「稲穂のジュウタン」が出現した。その稲穂のジュウタンの上に今まで食べた全ての食べ物が、そのジュウタンの上で楽しく踊っていた。ブタが63頭、牛が8頭、大根3563本などなど・・「おれを殺しに来たんだ」と思ったら、そのまま通過して行った。
「おれが悪かった」と反省したおじさんは、半年後に食べ物お詫びのために生産地を訪ねる。大根畑、アジの開き、もやしの産地を訪ねる。産地でトラブルを起こすと言う・・。

【聞いて見て・・さすが彦いちくん!ウケてた】
 この「稲穂のジュウタン」は、好きな噺だけど正直受けない!国立の「還暦まつり」でもダメだった。その後もやったがダメ!しかし10年以上前にネタ下ろしの時馬鹿ウケし、熱狂的にウケた。そのウケが忘れらない。今、主人公おじさんから、おばさんに変えてもう一度、チャレンジしてやろうかと考えている。
  そのウケナイこのネタを彦いちくんはやると言う!偉い。立派だ。基本的に大枠は台本通り。元々あったギャグの方はウケナイが、彦いちくんの入れたギャグはウケル!えらいな。円丈より、彦いちくんの方が、ウケルつぼを知ってるね。しかしこの噺、産地を巡って、マジなればなるほどウケナイ。正直、彦いちくんだから、受けたという感じがする。やっぱ彼はえらい。



【柳家喬太郎 お見事、ウケた!
   「月のジャガリコ」・・制作2004年作円丈】

【あらすじ】
 暴力団金融から金を借り、確実だと思った返済宛がパーになり、その返済に困り、東京に逃げて来たジャガリコ好きの浪花の闇金田島と大阪ホステス京子のラブ・ストーリー。毎日、暴力団から連日、借金返済を迫られ、ついに助手の新二も返済不能の男と一緒に海外に売り飛ばそうした。
  そこに突然、大阪から上京してきた京子が、止めに入った。実は京子は、組長が「田島には保険掛けてあるから今週中に借金を払い終わらんかったら消したり」を聞き、トラブルを恐れた京子は大阪を引き払い、横浜に輸入雑貨の店を開くために上京し、田島に店開店招待状を渡した。しかし、その招待状には4750万円の領収書が・・しかしそれは良く見ると4750万円。それは惚れた弱みで京子は、衝動的に田島の借金をみんな払ってしまった。
  しかし感謝するどころか田島は「わいに京子の奴隷になれと言うのか?」と怒り出す始末。ところが田島の小指には、京子の家から失敬して来た指輪をしてた。問いただすと「京子と一緒なら恐くない、これを京子や思って指輪と一緒に死ぬつもりやったんや!」
 そこで田島と京子は、東京でジャガリコ屋を始めることした。2人で夜の公園でジャガリコを食べると「なんや、まるで三々九度のジャガリコみたいやな・・」「そうやこれは、結婚式や」すると助手の新二が現われて「兄貴は姉さんに指輪交換!」を田島の差し出す指輪がスルリと京子の指に入ると満月の光が、その屑ダイヤにキラキラキラッと反射をするとふたりは聖なる光に包まれた。この世の泥と闇にまみれた闇金とホステスは、その瞬間、まるで夢の国の王子とお姫様さまのように輝いた。

【聞いて見て・・いやあ、受けてた。いや、喬太郎くん、スゴイな】
 台本上もギャグもそれほど変っていない。この噺を円丈がやると客が笑わない。聴いてる!やりながらなんで受けないんだろう?考えてしまう。しかし喬太郎くんがやるとウケル!次のギャグでもウケル!でも円丈がやると反れる!なんで?なんでだ?
 もう万偏なく良く笑っていた。しかし円丈は悩んだ。なんでおれがやると同じギャグでもう受けないんだ?もう悩むね。
  これは思うに円丈は、馬鹿正直に一直線に演じすぎるんだ。迫力がありすぎて笑えないんじゃないのか?どうもそうみたいだね。それでお客さんはストーリーを聴いちゃうみたいだ。しかし、上手く力を抜くとこは抜いてフワッと笑わせる。いいねえ。後半少し引っ張りすぎた感があるけど、あれを詰めたら、もうカンペキだね。喬太郎くんの京子はホント色気があっていいね。終わったあと会場が感嘆の「ほーっ」というため息で満ちていました・・と言うメールを貰ったほど。 満足感があった。でも円丈は喬太郎くんの高座が勉強になりました。喬太郎師匠、ありがとうございました。


【柳家小ゑん 捨てネタを見事に受けさせた。スゴイ!
   「フィッ」・・制作1992年作円丈】

【あらすじ】
 久しぶりに会った友人にヘンなクセがついて「そうなの?フィッ!へ〜〜え、フィッ!」と直ぐにフィッと言う。そこで訊ねてみると「えっ、フィッを知らない?えっ?フィッ?お前病気じゃないの?医者に見てもらッた方がいいぜ。フィッ!」と言う店でる時、店員から「毎度ありがとうございます。フィ〜〜〜〜ッ!」と言われ、驚いて精神科の医者に診察してもらうと
「次の患者さんどうぞ。フィ〜〜〜〜〜〜ィ」そこで医者に診察してもらうと
「フィッと言うのは第四の感情です。人間には元々、泣く、笑う、怒る、そしてフィッ!」
「えっ、第四の感情?」
「そうだれでも生まれながらに持ってる感情なんです。これはうれしくて、怒りたい時、フィッと言う。ゲンゲロゴッゴガー」
「その今のゲンゲロゴッゴガーと言うのは?」
「これは、第5の感情です。楽しくて悲しくて腹が立つ時、ゲンゲロゴッゴガーだよ。ベロベロビーン!」
「今のは?」
「ベロベロビーンは、第六の感情です」
 ・・とエスカレートしていくナンセンス言語ギャグ噺。

【聞いて見て・・この日一番ハマったネタ?・・スゴイな】
 少し番組が、伸びていたせいもあり、小ゑんさんはマクラも振らずに直ぐ本ネタに入った。私は、その後で自分のネタが、気になって前半はあまり聞けなかったが、しかし笑い声は楽屋に響いて来る。良くウケてたね。そして最後までお客さんはついて来て良く笑っていたね。
  この「フィッ」がこの日一番のハマったネタだったとも言えるね。
 聴いてるお客さんに「フィッ」と言う語感が頭に焼くつくようだ。打ち上げにきたお客さんが「どうもどうもフィッ!」なんて言ってた。円丈の中でとっくに消えていたネタで、どうもこのナンセンス形の笑いがもう古いのではと思っていた。しかしお客さんはこの「フィッ」と言う語感が完全に頭に焼き付つくようだ。打ち上げに来たお客さんも「どうも、どうもフィッ!」なんて言ってたからね。
  私のとこに来たメールには「あのフィッは、特におもしろかった、なぜあのネタが、捨てネタなんでしょうか?」と書いてあった。なぜ捨てネタって言われても・多分あの頃は受けなかったんだね。そして時代が半周してウケだした。そんな感じがする。しかし小ゑんさんは、この噺が好きだったんだね。忘れずいてくれてありがとう。フィッ!


【三遊亭円丈 結構うけた。とにかく良かった!
   「遥かなるたぬきうどん」・・制作1999年作円丈】

【あらすじ】
 「ガシッ、ガシッ、人はなぜ、山に登るのか?そこに山があるからだ。ではなぜうどん屋のオレは、山に登るのか?それは山頂に客がいるからだ。マッターホルンの山頂から、たぬきうどんを注文した客とアイガー北壁を登り、それを届けるうどん屋、これは命をかけた男のバトルなんだ。ガシッ、ガシッ・・」なんて出だしで始まる。
山頂で無事にたぬきうどんを食わせ、客と一緒に下山するが、うどん屋は疲れ、手は凍傷に掛かり、眠りそうになる。
「うどん屋、寝るな、死ぬぞ。オレの魂の叫びが、聞こえないのか、死なないでくれ〜っ」
その魂の叫びが、溶けかかった雪の魂を呼び起こし、ドドドド〜ッ、と雪崩が発生してふたりは死んでしまった。だた長寿庵の暖簾だけが、その雪崩の現場に勝ち誇ったように残っていた。そして6年後、
  「うどん屋の息子は、なぜ山に登るのか?それは山頂に客の息子がいるからだ」
こうしてふたりの心は、うどん屋と客のそれぞれの息子に受け継がれ、毎年、たぬきうどんバトルが繰り広げられたと言う。

【やってみて・・いいお客さんにも恵まれて・・よかった】
 上がる前どうもあまりよく覚えてない!参ったと思って高座に!・・開場から暖かい拍手。しかも頭を上げてもしばらくその拍手が続いた。結構、熱狂的拍手は、今までにもあるけど、しかし、頭を上げてももあだ拍手が続くと言うのは、初めてだね。驚いた。これは、今日のネタを作った作者円丈に対する拍手なんだろうね。
 マクラでイカとスルメを焼く話とか、菓子パンの話をしたら、結構笑ってくれた。この日の「たぬきうどん」は2年ぶりぐらい。どうもこの噺は、感動モノなのか、それともギャグモノなのか、やや中途半端な感じがしてた。そこでこの日はややギャグの方に振れるように少し書き直した。まあ、まあ、良かったのではと思う。
  ただ北壁を登りながら、「アルプスの少女ハイジ」のイントロを歌おうと思っていたのに・・それが出てこない。結局、歌わなかった。歌って無意識に出てくるようになるまで練習しないとダメだね。
 それもうどんを食べるズルズル〜ッって音、ケイコじゃ楽に出るのに・・高座に上がると口が渇いて音が出ない!円丈は声が大きいので口がまた渇きやすい。演ずる時は、一呼吸おいて、少し唾を溜めてから、すすると上手く行くらしいが、そう言う間をおけないタイプだから・・毎回このシーンでは音が出ない。う〜〜ん、くやし〜〜い。でも次やる時は必ずズルズルって音を出すぞ〜〜っ!
【画像:小ゑん師・フィッと言った瞬間・マジ・フィッ!!】





【総評・・よかった!】
 今回のネタは、出演者各自が決めた。しかしその割にネタのバランスも良くバラエティに富んでいた。しかもその中には、円丈自身も捨てネタだと思っていた小ゑんさんの「フィッ」なんて掘り出し物も出てきた。なんといってもお客さんが良かった。かなり落語を聞きこんだ人もいるはずなのに決して通ぶらず、素直に笑ってくれて、素晴らしい会になった。それにお客さんも入った。
でもすぐ芸人は調子に乗って「この企画なら毎月出来ますよ」できるわけないよ。第一そんなにネタがない。とにかく心地良い疲労感の残った会だった。出演者にお客さんに今回黒子に徹してくれた清麿さんに感謝右、感謝!(円丈)






【簡略版トリ日記】

池袋演芸場昼席トリ3月中席10日間(2005/03/11〜20)
     【17日は円丈お休みれ〜〜〜〜す・どうもスンマセン!】

 どうも本当に還暦になってからどうもあんまりよくない。ダメだね。でもやっと精神的に立ち直って来た。少しマジになってネタも作らないと思ってる。

どうもJ-POPに凝って、それにも結構、時間が取られる。つい最近、作って変え歌が、南こうせつの「夢一夜」の替え歌で、「サゲ一夜」!高座に上がる、はかなさ、せつなさをせうせつと歌ったものだけど・・。お客さんには、この心境は少し分かりにくいだろうね。
  プロになってみると高座に上がるのは、そう楽しいことばかりじゃない。だって受けて当たり前でしかも受けないと新作は全て自分の責任だもん。ラストの替え歌は「・・捨てネタのようにサゲを言う・・」
  いやいや、こんなことを書いてる場合じゃない。がんばんないといけない。やるぞ!!

 
【新作の盟友・大阪の松福亭福笑さんと数年ぶりの再開を喜んでポーズ。福笑さんも頑張っている。私もがんばらないとね。いやいや、ホントに。04年日本橋亭にて】


 

  【3月11日初日(金曜日)・・「悲しみは埼玉に向けて 」】
 【その日のお客さん】
 三十数人ってとこか。この芝居は、新宿末広をやってから、池袋のコース。雨が朝から降っていて、末広のお客さんが、天気のせいかやや暗い、そして池袋のお客さんもやや暗め目の感じ。小田原丈が「笑うですけど、いつもツボが違うんです。マクラが全然ダメで、ネタに入ったら笑いました」とか。
 【実際やって見てネタの選択】.....『悲しみは埼玉に向けて 』
 まず上がってマクラでJ-POPの話。今、カラオケで歌おうと思って覚えてるRCサクセションの「スローバラード」をかなりクサ目の忌野清志郎で少し歌ったら・・なんと受けた!それで「これで川柳さんと元兄弟弟子だったってコトが分かったでしょう?」と言ったらドカーンと受けた。結構、落語に詳しいお客さんだが、しかし、ホントに受け方にデコボコがるね。
  それから「悲しみは埼玉に向けて」をやった。まあ、そこそこ受けた。それと今、J-POPの歌の練習をしてる。落語のケイコしてると3分後にはJ-POPを歌ってるほど、しかしそのせいか、声が、ハッキリとクリーンになったいた。やっぱ落語にプラスなんだ。でも落語のケイコそのものをした方ふが効果があるけどね。
 【終わってからの感想・・いいんじゃないかね。まあ、合格点だと思う】
 まあ、ネタに入ってから、大体のツボで受けたからいいんじゃないかなあ。ただもう少しネタを増やしたいね。いつも30ぐらいのネタが出来るといいな。・・いやいや。もっと努力しないとなあ。うん、努力が足りん・・と思いつつ。やはり落語じゃなくカラオケのケイコをしまう円丈でありました。・・いや、こんなことじゃイカン!


【3月12日二日目(土曜日)・・・・「悲しみの大須」】
 【その日のお客さん】
 新宿末広から行ったが、末広もほぼいっぱいのお客さんだったが、池袋の満席。私は行ったら、白鳥が高座に上がってて「アジアそば」をやって良く受けていた。今日は「一ツ家早朝ラブ・ストリー」やろうかと思ったが、白鳥が言うには「悲しみの大須」あたりがいいんじゃないか?と言うので一度ぐらいさらってからやりたかったが、まあ、なんとかなるだろうと「悲しみの大須」をやった。
 【実際やって見てネタの選択】.....『悲しみの大須』
 マクラを振ってから「悲しみの大須」に入ったが、良く受けた。ただ後半からお客さんが聞き出したのか、それともやはりケイコ不足なのか、笑いが落ちた。少し残念だった。終ったあとトリを取ると良く来てる藤原さんと言う人が来て真顔で「いやあ、おもしろかったですねえ」と言ったので、少し安心した。いや,J-POPの歌のケイコをしてる場合じゃない。明日から頑張ろう!


 【3月13日三日目(日曜日)・・「一ツ家早朝ラヴ・ストリー 」】
 【その日のお客さん】
 この日、新宿末広は、もう満席でややファミリー的なお客さん、一方、池袋もほぼ満席で、客質はややコアなお客さんが多い!池袋の楽屋入りをしたら、白鳥が高座だった。「スーパー寿限無」をやってた。いやあ、頑張ってる。いやいや、負けずに頑張っている。とにかく「一ツ家公園・・」をやろうと思う。
 【実際やって見てネタの選択】.....『一ツ家早朝ラヴ・ストリー

 反応も早くホントにコアなお客さんだ。一部に昨日も来たお客さんがいると白鳥が言ったが、わたしは分からなかった。良く笑ってくれるお客さんだ・・・。ただ少しソッと喋ってたね。その分、2〜3割受け方が少ない感じはする。
 それと噺に入ってから死に掛かった病人キャラが受けてない。・・・・どうも演じ方が違ってきたのか、別なキャラにするか?少し考えた方が良い。それなりに合格点と思うけど、また少し直した方がいいなあ。

 【終わってからの感想・・・・・還暦って気力、体力の端境期か?】
 毎日、白鳥の高座のパワフルの高座を見て反省してる。終ったあと、彼と一緒にコーヒーとケーキを食べながら、・・しかし師弟でコーヒーとケーキもヘンなものだけど。。。。
  しかし どうも体調が万全じゃない。.集中力もなくなったし、落語の時、汗を掻かなくなった。新陳代謝もよくない。しかしこれが、還暦って年代なんだろうね。いや、それにしても努力が足りんね。とにかく今日で死ぬつもりで頑張ろう。・・。でもやっぱ、体調がややヘンだ!ホントに最後の高座になるのか?・・んな訳ないよなあ・・。


【3月14日四日目(月曜日)・・いかん!うんこのマクラで二人帰った「肥辰一代記 」】
 【その日のお客さん】
 この日も結構、お客さんが、入ってる!割と普通のお客さんが多い。いわゆる一般度の高いお客さんだね。この日は「肥辰一代記」(うんこネタ)をさらって来たんのでやろうと思ってた。しかし、この「肥辰・・」は、全編ウンコのネタなので嫌がるお客さんが一部いるんだ。そこで実は私のノートの中には、ネタが5つぐらいあるので、それを一挙公開してしまうと言う少し反則気味のノート・アラカルトみたいにしようと思った。
  弟子の白鳥とらん丈がいたのでどうだろうと聞いたら「いや、どっちでも大丈夫ですよ」と言う返事、じゃせっかくだから「肥辰一代記」をやることにした。
 【実際やって見てネタの選択】.....『肥辰一代記

 マクラをふって、まずマクラで貯蔵式トイレのマクラを振ったら、二人のお客さんが、立って帰っていった。まずいんなあ。それからネタに入るが、どうもこの池袋の狭い空間でうんこ、笑いにくいみたいだね。いつものウケがない。それなりには受けたけどね。やっぱ、ノート・アラカルトの反則技の方をやるんだったなあ。

 【終わってからの感想・・でも常連の人がうれしそうに「はじめてききました」の一言で救われた・・】
 まあ、どうもこの「肥辰」ってネタは引く時がある。いつも少し冒険のところがある。結構常連さんもいたが、7割は普通のお客さんだから、ネタの選択間違いだね。しかし帰りエレベーターのところで良く見る常連さんが、待っていて「いやあ、初めて『肥辰一代記』聞きました」とうれしそうに言ってくれた。そう喜んだ人もいたのだ。ただなんとなく笑いにくかったのかも知れない。いやいや、ドンマイドンマイ、新作に失敗は付き物。明日は頑張るぞ!



【3月15日五日目(火曜日)・・昨日のリターン・マッチだ、受けたぞ・・「夢一夜 」】
 【その日のお客さん】
 この芝居は、新宿も池袋も良く入ってる。この日、平日なのに6割の入り。いいねえ。お客さんは、昨日と大体同じ感じ。コアなお客さんが、3割で7割が普通のお客さん。そろそろ去年作った「夢一夜」をやろうと思って稽古した。新宿では「落語アンケート」と言うアンケート・ネタをやって、ドカ〜〜ンと受けた。
 しかしそれより、その時の高座が、とても元気だった。そこで気が付いた。どうも最近、以前より、少しだけ声の張りや、元気さ、陽気さが足りない。そこでとにかく池袋も元気で行こうと高座に上がった。
 【実際やって見てネタの選択】.....中盤まではドカーンと来た『夢一夜 』

 とにかく陽気に行こうと心がけた。多少マクラを長めに振ってから「夢一夜」。ネタ自体は末期ガン患者が、畳の上で死にたいと集中治療室から抜け出してタクシーに乗った。ややブラックな噺でテーマは暗いが受けるんだ。病気とか死はタブーじゃなくなったね。今まで3.4回やったがこの日が一番受けた。ただ後半がこの噺の弱点。ウケが悪くなる。少し手直ししたけど・・。それほどの改善は見られなかったね。でもお客さんは、満足したと思う。そんな手ごたえを感じた。昨日の仇は討ったぞ!エイエイオー!

 【終わってからの感想・・まあ、納得の高座だね】
 高座から降りたら、ケン・モッカくんが名古屋から来てくれた。だれ?そのケン・モッカって?メル友のケンモッカはハンドル・ネームで24歳のパソコン・インストラクターで私と同じドラゴンズ・ファンなんだ。楽屋に訪ねて来てくれた。ぜひ来てくれと非売品のドラゴンズの法被をいただいた。この芝居一度この法被を着て高座に上がろうと思うけど、ドラゴンズのネタがない。でもなんかマクラ考えて着て上がろう。

 

 

【3月16日六日目(水曜日)・・「ランボー怒りの脱出」をやろうと思ったけど「イタチの留吉 」】
 【その日のお客さん】
 この日は4割ほどのお客さん、60〜70才のお客さんが多い。いつもよりかなり年齢層が高い。前に上がった白鳥が、「おばさん部隊」をやっていた。なんとなくごく普通のお客さんっぽい。実はこの日は「ランボー怒りの脱出」を5.6個ギャグを追加したのでやろうと少しケイコっしてきたけど・・う〜〜〜ん、60歳以上だと少しランボーのネタは苦しいかなと・・すると白鳥は「長めのマクラを振って『金さん銀さん』が良いのでは?」う〜〜ん、多分それなら受けると思うけどなあ。
 【らん丈が・・客席に倉本聡さんが来てる】
 すると一番弟子のらん丈が楽屋に入ってきて「客席に脚本家の倉本聡さんが来てます!ではお先に・・」とかえっちゃった。なんだ、あいつは?でも倉本聡さんがいると余計7分しかない。『金さん銀さん』はやりにくいなあ。そこで「イタチの留吉 」をやることにした。
 【実際やって見てネタの選択】.....本題に入ったら後半受けなくなった『いたちの留吉 』

 やや笑い易いマクラを多目に振った。結構、ここまでは笑いを取った。「いたちの留吉」入って、少し過ぎるころまでは良く受けてた。ところがその先から・・・笑いが少なくなった。疲れたのかねえ。お客さんの中でも若い人の方は、笑っていたけど、主力の6〜70代は笑わなくなった。参ったなあ。
  でも倉本聡さんは、全編良く笑っていたみたいだった。正直、ネタの間違いだね。「いたち・・」ならと思ったけど、これでも少しつらかったのかなあ。『金さん銀さん』なら受けてたし、ノートのネタもいけたな。じゃ、一番バッドな選択をしたのかな。でも倉本さんが来てると言われると私にも見栄があるからね。多少ネタっぽい「いたち・・」をやってしまった訳だ。でもこの日の失敗は納得だ。ドンマイ、ドンマイ。こんなの引きずってなんていらんない。

 【終わってからの感想・・その夜の国立はドカンドカンうけたぞ!ざまあみろ】
 正直、多少悔しかったけど、この日の夜、国立演芸場で三菱商事社員の貸切演芸会があった。30代の女性が中心で「悲しみは埼玉に向けて」をやって、ドカンドカンとうけた。“池袋の仇を国立で”だね。どうだ!円丈はやっぱりうけるだろ?そんなんで自慢してどうするんだ。しかし考えたら、そんなうけないんなら、最初の「ランボー・・」をやった方が、うけた気もする。初心貫徹だったかもしれないなあ。
 でも 一度ぐらいに失敗で円丈はくじけない。私は不死身の男だ。まあ、明日は休みだけど・・あさってからまた頑張るぞ!イエ〜イ。



【3月17日七日目(木曜日
)・・すんません。お休みです!!】
 【すんませんねえ・・土下座!】 



【3月18日八日目(金曜日)・・「ランボー怒りの脱出 」】
 【その日のお客さん】
 お客さんは30人ほど、ここの4日ばかり少し中高年のお客さんが多かったが、この日は少し若い。今日はギャグを少し変えて「まんが喫茶」でケイコした「ランボー・・」をやろうと思う。もうウケてもウケなくても「ランボー・・」もうこれで行こう!!
 【実際やって見てネタの選択】.....そこそこうけた『ランボー怒りの脱出」 』

 結構、好意的なお客さんで良く笑ってくれる。マクラから、サゲまで万偏なく笑っていた。サゲは鰻屋のサゲをパクって持ってくる設定だけど、この鰻をワニに置き換えてやってみた。思ったより・・・うけなかったけど・・ま・いいか。それと新しく直したギャグが、う〜〜ん、どうだっんだろう?でも、まあ、いいか!

 【終わってからの感想・・あと2日がんばろう】
 いや、正直、体調が万全じゃない。体重が6キロは落ちた。何もしてないのに・それに以前は落語をやると汗びっしょりになったのに、この1年は落語をやっても汗を掻いてない。ヤバイ。新陳代謝が落ちてるね。そこで4.5日前からお灸に複式呼吸に全力で歩く・・を実施して今日やっと汗がでた。落語をやるには、やりきる体力とパワーが必要だ。とにかくあと2日だ。がんばろう。


【3月19日九日目(土曜日)・・一番やりたくなかったネタ「横松和平」】
 【その日のお客さんとネタ】
 今、体調を戻すため歩いたり、複式呼吸にせんねん灸をして、しかもHPの更新、それに締め切りの原稿書きもあったいろんなことに時間を取られて正直、今日やるネタがない!円丈作品でも安定してると言う「横松和平」ぐらいしかない。でも正直一番やりたくないネタだ。やりたくない!でもこれしかない。
  【客席は満員】
 満席、かなり若いお客さんが多い。ホントは「わたし犬」か、「月のジャガリコ」は、「振り返れば」をやりたいが、ケイコが足りない。直ぐ出来るネタがないので「横松和平」をやることにした。でもこの10日間の中で一番やりたくなかったなあ。このネタもう下り坂のネタ。立松和平さんのレポーターを見かけないし、そろそろ賞味期限が切れ掛かってるような気がする。いやだなあ。
 【実際やって見てネタの選択】....賞味期限が切れかかったのか『横松和平 』

 マクラを振って「横松和平」。とくにフダメだった訳じゃないが、よくもなかったね。SEの音が大きすぎて「もう少し小さいといいな〜〜あ」と言う楽屋に注意したのが一番受けようじゃ、大したことはない。、まあ、平凡な出来だった。少し古くなってる。いやそれより、一番やりたくない理由は以前は音楽が流れた瞬間に横松和平になれたのに今、もうかなりの感情移入をしないと演技に入れない。しばらくはやらないと思う。多少でも台本の直しをしないとね。他のネタをやりたかったなあ。

 【終わってからの感想・・失敗ではないが良くもなかった。明日、明日】
 まあ、こう言うこともあるね。ネタをさらう時間がなくて出来なかったが、「わたし犬」の台本を読んだが、後半少し重くなるので好き嫌いはあると思うけど名作だと思った。明日なにをやろう。受ける、受けないは、ともかく楽なので一番自分でやりたい噺で終ろうと思う。それでダメなら納得できる。頑張ろう。


【3月20日楽目(日曜日)・・楽で超満員で悲しみ噺「わたし犬 」】

 【その日のお客さん・・ホント超満員】

 ホント良く入っていたね。9日目はほぼ満員だったけど、補助イスも階段の座っていた。「なんで大入りがでないのかねえ?」と言ってた仲間がいたほど良く入っていた。この日、ネタでさらったのが悲しみ噺「わたし犬」・・しかし楽でこれだけ入っていて「わたし犬」の選択は違うよなあ・・。と思いつつ・・これっきゃない。軽いネタならまだ2.3あるけど、しかし3.4割はちゃんとしたものを聞きたがってお客さんがいるはず。どうもミスマッチと思いつつ・・。もうやるしかない。
 【実際やって見てネタの選択】.....とにかくやった『わたし犬 』

とにかく「わたし犬」をやった。とにかくマクラから「わたし犬」に入った。前半の部分、自分がもう少し受けるかと思ったが、それほどでもない。後半の自分と良く似た犬が危篤になるシーンでは、少し目頭を押さえるお客さんもいた、しかしホントはどうだったんだろう?終った時の拍手もそれなりだった。しかしホントにお客さんはどうだったのか?良く分からない。しかしこのネタの評価はどうなのか?円丈は名作だと思っているけど・・。どうもテーマが自分探しで落語としては、深すぎるのかも知れない。落語はもっと楽に笑えるものが良いのかも知れない。でもこの「わたし犬」は残るね。

 【終わってからの感想・・やっぱ、楽日はもっと笑えるギャグ物がいいなあ!】
 しかし、どっちにしても、楽でしかも大入りでこの悲しみ噺は、どうもミス・マッチだね。次のトリの時は、ラストのネタを考えておいた方がいいな。この点反省!それにケイコがたりない。いずれにしろ、10日間ネタが変えられる。
  それにまだ「月とじゃがりこ」、「足立伝説」、「振り返れば」、「演芸ホール2004」などトリ・ネタはある。

 


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