円丈独演会ネタシリ−ズ
円円丈独演会ネタ日記 |
2003年10月27日円丈還暦−才独演会・・・夜:池袋演芸場 |
10月27日の還暦マイナス1才独演会は、満席で立ち見もチラホラ。ゲストの白鳥や、あやめさんも受け、衝撃の円丈落語マニフェスト宣言あり、合唱サゲつき落語あり、感動の「わたし犬」あり、かなりクオリテイの高い会だったと思う。 どうも画質がとんでもなく悪いけど、使い捨ての安いカメラで撮った。ムチャクチャ暗い写真になってしまった。これならカメラつき携帯で撮った方がきれいだよな。チョイひどいけどカンニンして・・! 三遊亭 円 丈 |
(還暦座談会でかぬうに抱きかかえられて登場する。左から小田原丈、あやめ、円丈、かぬう、白鳥。撮影:川柳つくし) |
これが還暦独演会の内容・・6時半開演 |
出 し 物と出演者 | 内 容 |
オープニング・・司会小田原丈、ボケ老人円丈、付き添い前座かぬう | 小田原丈の司会で円丈は弟子のかぬうに引きずられるようにして登場して、ぼけまくり!ただハアと言ってただけ!とにかく一度、登場しようと高座へ頭の中はただ今日のネタのことだけ! |
落語「シュキナ・ベイビー」三遊亭天どん | 矢沢永吉がらみのネタ。今、上り調子の天どんだが、この日は客がきょとんとしてあまり受けなかった。まだまだ修行が足りんねえ。 |
落語「シンデレラ伝説」三遊亭白鳥 | 少し長めのマクラを振ってお得意のシンデレラ伝説をやる。大爆笑!完全に自分の落語に自信を持ち、白鳥第一期黄金時代に入ったようだ。 |
合唱つき「またぎの里」三遊亭円丈 カーテンコールの司会小田原丈 |
開演前にカーテンコールのリハをやる。どうも本筋のネタはややそれ気味。東海林太郎が出てくるころから請け出した。合唱サゲつきは、一度、お客さんとリハをしてからサゲ。結構ハモってロビーまで響きわたる!ネタは足りなかったが、サゲはグー! |
中 入 り | 休 憩 |
「円丈落語マニフェスト宣言つき還暦座談会」 円丈、あやめ、白鳥、小田原丈 |
マニフェスト宣言プラス明るい座談会。宣言の中身は暗いね。 |
落語「三十路の合コン?」桂あやめ | 30過ぎた女性3人が若い男と合コン。いつも等身大の落語をやる彼女。いつもながら受けていた。すばらしい。関東でもあやめさんように本当のプロの女流噺家が欲しい。 |
落語「わたし犬」三遊亭 円 丈 | この噺は前半受ければ名作だと言ってたけど、その前半がかなり受け、その勢いでラストの感動シーンへ、充分手応えがあった。納得! |
【1席目・・・円丈最大の労作か?合唱サゲつき「またぎの里」】
『合唱サゲつき『またぎの里』とは? 元々はショート・ショートで物々交換ネタを作ったが、うもシックリ来ないので時代を昭和28年にして東北の山深い村の設定にして。少しでも説得力のある状況にした。店の女将とマタギが、狩りの獲物と必用なものを物々交換してるとこにお祭りの仕事で迷子になった腹をすかした噺家が登場!冷たくあしらわれる。さらにその後からニセ東海林太郎が登場して・・大騒ぎになる。そしてサゲをお客さんと合唱する。 |
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【台本は完璧だがウケが鈍い!でもイベントのサゲは大成功】 マクラは昭和2.30年代と現代の比較!弟子は全員、本ネタより、このマクラがおもしろい言ったが、そうかなあ・・まあ、それなりにウケた。はじめからマクラは時代の説明のための部分なのでそれほど重要視してない。それから本ネタへ!参った。思った10分の1ぐらいの受け方。 どうも肝の部分の物々交換が受けない。それでもニセ東海林太郎が出てくる辺りから受け出す。そして合唱サゲへ!サゲ前でお客さんとリハをしてから本番サゲへ!いやあ、見事決まった。その後、小田原丈の司会でカーテンコール!「マクラ、三遊亭円丈、またぎ・三遊亭円丈、女将・三遊亭円丈・」って全部円丈なんだ。 まあ、イベントとして成功したけど、本ネタとしては逸れた。あんなに努力したのに少し悔しいなあ。結局、この噺は絵空事でリアリティがなさ過ぎ、共感が全くない。それが敗因だね。ただ個人的にはこの牧歌的なややナンセンスな噺は好きだけど、今このナンセンスなギャグってダメなんだね。この落語は多分死ぬまでやらない可能性が高いね。考えるとの気の毒なネタだなあ。 【サゲを指揮する円丈、後ろ向きで見えないけど熱唱するお客さん】 |
【おまけ・・合唱オチ部分のシナリオがこれ!】 |
【2席目トリ・・・笑って笑ってシンミリの「わたし犬」】
【幻の名作『わたし犬』とは?】 居酒屋で毒づいて店を追い出された性格の悪い男は、ビルの隙間に入り、立ちションをする。ふと見るとノラ犬が寝て、しかし性格の悪い犬で直ぐに唸り、噛み付く。男の財布を加えて放さないのでカッとして殴り大怪我をさせてしまう。そしてその犬と自分が性格も顔立ちまで似てるコトに気が付き、そこで犬を抱き動物病院に連れて行くが、その獣医は、さっきの居酒屋で絡んだ男で追い返されてしまう。 やがて犬の鼓動が小さくなり、危篤状態になる。男は「おれはお前を見捨てない。お前は俺なんだ。俺が俺を愛さなかった誰が俺を愛してくれるんだ。・・」とつぶやき、犬を抱えながら獣医を探して泣きながら走り続け・・、そして犬は死ぬ。かなり悲しい噺。 この噺の基本線はシッカリと出来ていたけど今まで前半が受けない。落語なんだからやはりドッと笑ってからラストで悲しくならないと落語じゃない。ところがその前半が受けない。そこで少し弟子の天どんにアレンジをさせる。しかしそれほど変わってない。天どん本気で変えろよ。でも変えた部分に膨らませながら何度も書き直し、ラストで少し救いをもたせる部分と追加して完成。前半受ければ円丈落語の中でわりとしんみりとして評判の良い「横松和平」と並べる名作になる筈だ。 |
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【ドッカ〜ンとウケて後半へ・・これで円丈落語の名作のひとつになった】 トリで上がった時のお客さんの拍手がとても暖かいものだった。よし頑張らねば!マクラもそこそこウケて本題に。居酒屋のシーンが弾ける。笑いすぎじゃないと思うほどウケル。まあ、「またぎの里」でややウケなかった分、笑おうと言う魂胆かもしれない。以前は財布をくわえたノラ犬を抱いて買い物に行くシーンで反れたが、今回はここもウケル。そのあとも結構、笑いがある。もうサゲ間際でも笑いがある。 いや、正直、サゲ間際はもう少し締めたいと思ったほど。楽屋の評判も良い。「またぎの里」の時はほとんど誰も褒めなかったのに。やはり芸人は正直なんだなあ。これで円丈の中でまた1本、とりネタが増えた。 |
【全体から見て】 いやあ、ゲストも受けたし、いや、円丈より、ゲストの方が受けたかも知れない。とにかくイベント部分も成功だったし、最後は笑って少ししんみりして終わったし、満足度のかなり高い独演会だったと言える。翌日、我が家に「昨日の会、おもしろかったです」と言う弟子入りが留守の時に来たという。 しかしお客さんの方は本当はどうだったんだろう?かなり疑り深い性格の私としては考えるね。本当におもしろかったのか?う〜〜〜ん、分らん!しかしあの会がつまらなかったら、おもしろい会なんて、殆どないだろうね。 |
CD発売記念円丈落語独演会 〜2001/8/30:国立演芸場:開演夜〜 |
以前、円丈高座控えと言うのをやってもう大好評!ホントか?ま、ま、それはともかく今回、その姉妹編とも言うべき「円丈ネタ日記」! 主に落語会を中心に取り上げた。ネタ下ろしや、改作など狙いは大体外れることが多い。そのヘンをテーマに取り扱ったのだよ。 三遊亭 円 丈 |
(円丈CD独演会、CDの披露口上、左から昇太氏、円丈、CD、高田氏、もうバカ受け!) |
客はやや少なかったが、大満足、大成功の会だった
CD発売記念円丈落語独演会 〜2001/8/30:国立演芸場:開演夜〜 |
【この日の内容】
出 し 物と出演者 | 内 容 |
開口一番 三遊亭あろー | 前座としての責務を果たした |
CD抽選会小田原丈、あろー | 2人のコンビで小田原丈の突っ込みでたった一本の抽選なのに笑わせて10分も引っ張った |
落語 三遊亭小田原丈 | この日、「おじゃる星人」とか訳の分からん落語だが、バンバン受けさせていた。受ければなんでもよろしい! |
「パパラギ」円丈 | もう大変!この下に詳しく書いてあるから。それをみて |
中 入 り | 休 憩 |
落語春風亭昇太 | もう完全に新作の円熟期に入ったのではないだろうか?相変わらず受けていた。 |
「円丈CD披露口上」 高田文夫、昇太、円丈 |
もう高田さんと昇太くんが出れば、私なんか黙っていても賑やかに笑える。その通りになった。 |
「横松和平」三遊亭 円 丈 | もう大変!この下に詳しく書いてあるから。それをみて |
【一席目・・・これが噂の『パパラギ』だ】
『パパラギ』とは? 今世紀初頭、西サモアにツイアビと言う酋長がいてヨ−ロッパの文明国を見てき た。そして帰って来てから島の島民を集めて 「ああ言う文明は良くない、染まってはいけない!」 と演説をした。 その演説をある一人のドイツ人がこれを書き留めて本 国に帰ってから『パパラギ』と言う本にして出版したのが第一次世界大戦のあと。 それから世界数カ国に翻訳され、売れ。80年代に日本語版『パパラギ』が出版され、今も静かに売れ続けてる本。これの落語版!5.6年やってなかったのを!今回リメイクして望んだ。 |
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【マクラは上品に..前半】 ここはやはり国立の演芸場。ワッペンの着物などではとんでもない。そこで紋付でサラリと決めてきれい事の高座です。まず『パパラギ』の説明をアッサリしてから本題に入る。 一応、酋長ツイアビが、日本を視察したと言う設定になっている。説明しながらワンワン受けさせて。ホントかよ?ウソです。軽く受けさせて本ネタに入る。 |
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【パパラギで早代わり...後半】 本ネタに入り、酋長になる瞬間、早代わり!そして座布団、タビ、センスを楽屋に放り投げて「パパラギ〜〜〜っ!」 もうどんなに受けなくてもこの裸になる部分だけは必ず受けると言う1回は受けるのがこの「パパラギ」の良いところ。ハナシは酋長の演説だから。一人語りの文明批評! 中身には笑いながらも少し身に積まされる部分もある。そして最後に客と「パパラギ〜〜ッ」と3回、合唱してエンド! 【どうだ!見事な早代わり】 |
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【やり終えて】 |
【2席目・・・安定の「横末和平」!】
『横松和平』とは? 10年コンビを組んで全く売れなかった夫婦漫才師。とうとう漫才をやめてしまった。ダンナは、詩人立松和平氏のような訥々と話すレポーターなると言う。そこで心機一転。レポーターを目指し、寄席や、回転寿司からレポーターの練習をする。最後に自分達のことをレポートし、納豆巻きを食べながら涙する。そりゃあ、どう言う噺だ?実際聞いてみないとこれだけでは良く分からないが、バックには宗次郎のオカリナが流れ、とても雰囲気がある。これは大体、外したことのないネタ。悲しくておかしい噺。 |
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【ノリが全ての噺】 正直、これで外したことはまずない!しかしノリが全て。どれだけ感情移入できるかだけど、でもあの宗次郎の悲しいオカリナの曲が流れた瞬間、モードが変わり、横松和平になりきってその世界にスッと入っていく。 もう条件反射のようなもの。しかし、この日はどこかでしらけてその世界に100%入れない自分がいた。 最後に納豆巻を食うシーンで終わるが、「今日の納豆巻きは何時もより、くさく食べてましたね!」と言われた。かも知れない。 【いつもより納豆巻きをクサく食ってま〜〜す】 |
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【やり終えて】 |
【この会の総評・・終わり良ければ全てよし!】
落語会はラストの落語が全てを決める。いくらそれまでうけていても最後の一席が悪ければ評価は半減する。逆にそれまでダメでもラストの一席が良ければそれまで悪かった印象を帳消しにしてしまう。それほど最後の一席は大切なもの。この独演会が良かったと言うのもラストの横松がそこそこだったせいだと思う。いやあ、この会を5千人ぐらいのお客さんに見せたかったなあ。 (円 丈)