更新日05/11/10

 04年から始まった落語協会の台本募集のコーナーだよ。

 落語協会では、04年から毎年、新作台本募集をしている。大体、他にも落語台本募集はあるが、どうしても大ネタでしかも笑いが少なく、結局、その発表会の時にやってアトはお終いと言うのが、多い。そこで落語協会では寄席で出来る笑える落語台本を標榜して04年から公募している。
  そして選考も噺家自体が審査員になって、実際やって見てそれで、評判のいいものを優勝にしている。
  また、他の台本募集と違い、やる演者が、やり易いように改作して、演ずるようにし、更に実際演ずる前に一度リハーサルをして、それでネタをもう一度、手直しをする。だから他の台本募集の作品より、結果的に見て、レベルはかなり高くなっている筈と思っている。そうして選ばれた作品が、その後も噺家によって、やられることも多い。(円 丈)

【05年の最終選考会議・・みんなかなりマジで厳粛な雰囲気で選考は行われるのだ・・各選考委員の各師匠方・・撮影円丈】



【これは05年台本募集の時】
◎05年の台本募集はこうだよ!

 




 05年の台本募集だよ〜う!



 台本募集から発表まで

【こんな感じ選考され、審査されるんだよ
 ◎台本募集・・・落語協会で公募して作品を募る。
 ◎4人の専任噺家(三遊亭円丈、古今亭志ん五、柳家小ゑん、柳家喜多八)による全作品読破と評価!
 ◎第一次選考・・・・4人の5段階評価により、最終的に10本前後に絞る。
 ◎協会が協会員に呼びかけ、集まったこの台本募集部の協会員にその最終選考の台本を送ってサラに5段階評価をする。
 ◎台本会議で発表される5本を点数の多い順に決定!(但し、その中に複数の作品を書いた作者は1本として、それと時代モノは必ず1本、テーマがくっ付きそうなものを避けると言う必要最小限の意図的な調整が行われる)
 ◎ 作品とそれをやる演者を決める。
 ◎発表10日ほど前にリハーサルをやり、他の人の意見を元に作品の手直しをする。
 ◎発表会で優勝が決まる。





台本を読んだ感想!!
 【今回、ホント・・数もレベルもやや低調・・
 落語協会では、平成17年度の台本募集を行った。それで古今亭志ん五師、柳家小ゑん師、
柳家喜多八師と円丈の4人が、全作品を読む係りになった。正直、作品は、低調だったね。我が家に宅急便で3回に分けて送られてきたけど。
【第一便】・・この最初にきたのが一番つまらなかった。しかも去年送られて来たネタを今年も遅れて来た。まあ、ボッ台本になった作品だから未発表だけど。選ぶ側は複雑だね。
【第ニ便】・・量は多かったけど、それほどでもない。もう正直結構読むのがつらかった。
【第三便】・・大分、レベルが上がって良くなってきた。  
エッ、それでこれで終わり?マジ?!おいおい、どうすんの?どうも応募する側に協会の台本は、レベルが高いからよそうと言うのと、かわら版に載るはずの情報が流れなくて・・それで作品数がへったみたいだね。

【大問題どうする!・・去年もこのネタ来たよ問題】
 しかし、まあとにかく、この作品の中から選ぶしかない。しかし、一番ん悩むのは、去年応募して落ちた同じ台本を今年も送るケースが結構ある。まあ、去年のを少し変えた台本や、中にはどう見たって去年と全く同じものもある。どうする?去年と同じ台本を落すかどうか?難しいね。

 志ん五さんは「そんなのは、落そう」と言う意見と小ゑんさんは「でも良かったら関係なく入選させてもいいのでは?」と意見も分かれてる。しかし、しかし、去年落ちた作品を選ぶと毎年、落ちた作品がドンドコ送られて来ても困るしなあ。全くどうするかねえ。いずれにしろ、10月中旬には、選ばれた作品とそれを演る演者は決まり、12月13日国立演芸場でこの新作台本募集発表会が行われるのだけどね。
【画像:100本以上集まった作品を1本1本丁寧に自宅で読む】



 ・・そしてこれが、最終選考まで残った11本
(この11本の中から5本が選ばれる!)

作品名 ひとことコメント

『狸の遊び』

時代物・・・なかなか手堅くまとめてある。
『按摩の夢』 時代物・・そこそこ!
『年貢の収め時』 オレオレ詐欺の江戸時代版のような噺。なかなか考えた作品
『光る頭』 なぜか光る亭主の頭と嫉妬深い女房の噺。なかなかおもしろいけど後半にお寺に行って生き仏みたいになる部分が、どうもねえ。
『ため息の行方』 去年も来た作品だが、今年は更に手直しした強化バージョン。歌之助くんが、ぜひやりたいと言っていた作品。
『全日本納豆プロジェクト』 これも去年来た噺。しかし今年はラストに名古屋部分が追加されてる。ただこの噺をやりこなすのは、標準語、大阪弁、名古屋弁と結構演ずるのが大変。
『ピザ一枚』 ピザ一枚で友達同士で大騒ぎになる噺。結構おもしろい。
『森の人』 最初人間みたいな会話で始まるが、実はサルの家族で、サルがオランウータンに恋をする。なかなかおもしろいが、落語と言う表現で果たしてうまく行くのか?この辺が難しいところだね。
『夏の縁側』 高層マンションの屋上に純日本家屋を造ってしまう。ギャグはさほどないが、とてもいい雰囲気のある作品。評価は高いが、果たしてやった時、どこまで表現できるのか、伝わるのか、難しい噺だ。
『もみじ水産』  コテコテのギャグ。安い居酒屋で、おでんが1皿5円だけど、おでんの串が2万円とか、コテコテ・ギャグが続く・・。いやいや、おもしろい。でも同じラインのギャグが最後まで続くとさすがに少し飽きるけど・・。でも後半変えたらバカウケ・ネタになる。
『もてたい』 中年のお母さんが、整形すると言い出して家族が大騒ぎになる噺。それなり、おもしろいし、いいねえ。



 こんな感じで5本が選ばれたのだ!!
 【なんと11本中5本が同一作者だった】
 最終段階で11本まで絞った。これは、先入観なしで見るためにも我々の読む台本には、作者名は書いてない。そして選んだ11本。去年は、「ワシの葬式」で採用された本田久作氏の作品が、5本も入っていたのだ。
 それは11本選んだ段階まで知らされてなかった。実は作者を知っているのは、協会事務員の小川さんだけなのだ。『もみじ水産』『狸の遊び』『按摩の夢』『全日本納豆プロジェクト』『光る頭』の計5本!正直、今の時点では、本田氏の作が群を抜いてる。他の人もぜひ今後、本田さんに負けないように頑張って欲しい。
 それで本田氏のは時代ものからぜひ1本と『狸の遊び』が選ばれ、これをぜひやりたいと言う世之介くんがやることになった。ただ本田作品で言えば『・・納豆プロジェクト』がイチオシだろうけど、同一作者から2本は選ばないと言うことで作品的に少し損したかもしれないね。

  【その他の作品】
 2本目は満遍なく評判のよかった『夏の縁側』ですんなり決まった。やや笑いはないけど読んだ感じがいいんだね。船冶くんはぜひやりたいと手があがり、彼が演ずることになった。そして3本目、円丈が「ピザ一枚」を勧めたら「じゃやってチョウダイ!」私がやることに。4本目は歌之介くんがぜひやりたいと言っていた『ため息の行方』だが、発表当日仕事で出られないので鈴々舎わか馬くんがこれをやることになり、そして5本目に整形のテーマの『もてたい』は清麿くんがやることになった。 尚、『夏の縁側』と『ため息の行方』の2本は女性の作者だ。
  しかし円丈の『ピザ一枚』は5人の登場人物が出来てきて全員関西弁を話す。まあ、東京弁に直せばいいんだろうけど、芸人として悔しいから基本的に関西弁でやったやないかいなちゅうこっちゃ!登場人物が5人で少し多いので4人にして、いや、いざやる段になると結構直しを入れる必要もあるね。関西弁で5人の男が「わあわあ」言ってだれがだれだかわかならなくなるからね。おれこの10日後に


 「ピザ一枚」・・どう演ずるで悩む円丈!
  円丈が押してやりたいと言った『ピザ一枚』!ふたりでレンタル・ビデオを見ながらピザを食べていて、「最後のピザ一枚はおれのだ」と大騒ぎになる噺。しかしこの『ピザ一枚』は5人の登場人物が同世代の男でしかも全て関西弁を話す。おいおい、こりゃ演じにくいよな。まあ、東京弁に直せばいいんだろうけど、しかし自作の「月のじゃがりこ」で関西弁をやってるし、芸人として悔しいから基本的に関西弁でやったやないかいなちゅうこっちゃ!
  しかし登場人物が似たような関西人5人じゃ分らなくなる。少し多いので4人にして、いや、だから手直しをする部分は結構ありそうだ。なんとかこの作品でモノにしたいけど・・しかし去年、「雲の子」で当日まで直していて、覚えられなくなり、大敗をしたから、今年はとにかく1週間前には、台本を覚えたい。やる〜〜〜ぞ!関西弁がなんぼのもんじゃ、わしは名古屋人だぎゃ〜〜っ。どういう意味?(円丈)


 なんだかんだあって・・そしてその結果!
  【落語協会台本募集発表会】
 【場所:国立演芸場:12月13日夜18:00開演】

題 名

作 者 演 者
『狸の遊び』 本田久作 金原亭世之介
『ため息の行方』 高橋紫裕 鈴々舎わか馬
『夏の縁側』 小林末於 入船亭扇治
『もてたい』 山田浩康 無月亭清麿
『ピザ一枚』 井口守 三遊亭円丈

◎12月13日は、国立演芸場に集合!!

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