円丈トリ.シリ−ズ その4
〜演者と客の間には見えない大きな壁がある〜

     円丈簡単トリ日記
  2003年6月1日〜10日・・池袋演芸場昼席
  2002年7月11日〜20日・・浅国立演芸場昼席トリ
  2002年6月11日〜20日・・浅草演芸ホール夜席
  2002年5月11日〜20日・・池袋演芸場昼席
 先日、ここんとこ、毎月トリをとっている。5月は池袋演芸場昼トリ、6月は浅草演芸ホールでトリ。7月中席は国立演芸場でトリをとる。簡単な日記を書いてみた。三遊亭 円 丈

 【簡単トリ日記】
◎7月中席(11〜20日)国立演芸場昼トリ
◎6月中席(11〜20日)浅草演芸ホール夜トリ 
◎5月中席(11〜20日)池袋演芸場昼席トリ
     

【高座を降り、考え込む円丈、しかし立ち直りも早いのだ】



【扇子代わりにマウスでタバコを吸う円丈】
 

  


 
 国立演芸場昼席トリ(2002/7/11〜20)

 この10日間に台風が2回来た。もう嵐を呼ぶ男だね。なかなかスリリングな10日間だった。9回トリを勤め、完全に10日間ネタが変えられるようになった。全部ネタを変えた。もう一日やったら「パパラギ」をやったろうね。いやいや、面白い10日間だった。ただ最近、どこへ行ってもお客さんの高齢化が目立つ。10年後を考えるとヤバイ。だから頑張る〜〜〜ぞ!

 

 【7月11日(木)・・初日(台風通過】
修正版「イタチの留吉出世物語」--まあまあの反応!
【客席】
前日の気象予報では、ことによると東京直撃もありうると予報されてた日、客席は80人ほど。こう言う状況から言えば良く入ったほうだ。
 この2.3年この『イタチの留吉』があまり受けない。そこで修正版『イタチの留吉 』にして。6月下旬NHKラジオ「真打ち競演」の公開録音でやったが、客層が5〜60代で世代的に合ったせいもあり、ドッカン、ドッカン、受けた!ただサゲ際を変えたがこれは外れた。しかし全体からすれば良く受けたと思う。この時は稽古も10時間以上した。これでもう少しこのネタも生きられそうだ。

 【大体、噺が受けなくなるのは次ぎの2つの原因だね】
 (1)噺の間が崩れ、しかも受けるギャグを入れ忘れてる。
 (2)時代に合わなくなった。


 この日はこの修正版をやる。サゲ際は受けなかったので元のバージョンに戻してやる。
割とお年寄りが多かったが、まあまあの反応。充分合格だね。今まで受け方が、悪かった原因は、(1)の原因の方が大きかったような気がした。とにかくあと5年ほど持たせよう!!

 

 【7月12日(金)・・ニ日目】
「一ツ家公園ラブストーリー」--このネタは寄席でやる限り外さない!
【客席】
客席160人ほど!
 この10日間のうちにぜひ愛犬落語「藪椿の陰で」をやりたい。しかしこの噺の前半を整理して後半の悲劇的な部分をハッピーエンドに台本を変更中だが、結構アレンジに時間が掛かり、それからそれを覚えるのにも時間が掛かる。そこで国立の前半のネタはさほど稽古を必要としないネタを中心に掛けていく。割りと良く覚えてる『一ツ家公園・・』をやる。
 この日もお年寄りが多かったが、マクラから良く笑い、結構喜んでくれた。大合格だね。東京でやる限り『一ツ家・・』は外さない。安定してる。こう言うネタがあと100本欲しいなあ。

【7月13日(土)・・三日目】
「ランボー怒りの脱出」 -このネタも受けて当然!
【客席】
 初日、二日目から突然、ほぼ客席は満員状態!

 以前、年寄りの多い時、このネタは良く外れた。原因はまずこの映画自体を知らないので客が離れてしまう。そこで寄席でやる時は、この「ランボ−怒りの脱出」と言う映画自体の説明をしてから入る。するとそれ以来、寄席でやっても外さなくなった。


  この日も当然、受ける。しかしこのネタをやる時の円丈はうるさい!えっ、いつもうるさいだろ?そうだけどこのランボーやる時の円丈は特別にうるさい。今後は、もう少し押さえ、やや上品に・・あくまでもやや上品に演じて。しかもドッカン、ドッカン、受けるネタにしたい。贅沢かしら・・。

【7月14日(日)・・四日目】
「悲しみは埼玉に向けて」-ソコソコ受けたが集中力欠き、散漫、最悪の高座!
【客席】
 8割ほどの入り
  現在、この「悲しみは・・」は円丈持ちネタ中、最強のネタ。少しずつギャグを差し替えながら25年もってる。円丈落語の中でも例外的に息の長い噺。これを寄席でやって反応がないと言うことは絶対にあり得ない噺。しかしこの日は全く集中力に欠け、最悪の高座だった。マズイ!

【最悪の高座になったその原因とは?】
 このネタはノリでやる噺。キチンとした稽古はしない。頭の中でギャグと順番をシュミレートしてから高座に上がる。あとはぶっつけ本番!しかし・・魔がさした。なんと中途半端に稽古してしまった。これが敗因だね。台本通りに噺が、進んで行ったが、やってる最中に
「あれ?これだと台本構成がヘンだぞ・・」
  と考えながら落語をやってたら全く集中力に欠く最悪の高座になってしまった。
  ノリでやる噺を考えながらやった結果、ノリがなくなり、最悪になったしまった。次回は完璧に稽古してやったやる。必ずリターンマッチするつもりだ。しかしこれだけ出来が悪くてもお客さんはソコソコ笑っていたのは、この噺の持つ底力だね。でもひどい高座だった。お客さん、ゴメン、悔し〜〜〜い!

【6月15日(月)・・五日目】
仙台でお仕事、お休み--ゴメン、ゴメン!
 三遊亭歌ニ師匠が代演。歌さん、ありがとう!

【6月16日(火)・・六日目台風上陸の日】
思い出の楽屋話付き「名古屋版金明竹」-合格点!
【客席】
 台風も来たが、お客さんも負けず百数十人来た。表彰したいような立派なお客さんだ。
 マクラで昔の人形町末広の寄席や、文楽、三平、円生など各師匠、そして修行時代の思い出をしてから「名古屋弁金明竹」に入り、なるべく本ネタを短くするパターンでこのところ成功しているのでそれでやる。
  ただそれほど落語に詳しいお客さんではないようで一部の楽屋話ではそれる部分があったが、ネタに入ると良く受けていた。全体から言えば充分合格!台風でも来てくれたお客さんに感謝、感謝!

【6月17日(水)・・七日目】
修正版「東京足立伝説」--一応、合格点かな?

【客席】
 7割ほど入り、良く入ってる。ただこの日も客の年代層はかなり高い!

  前回の浅草のトリでやった「東京足立伝説」後半が受けなかった。その部分をカットして、中盤部分を伸し、サゲ部分に直結させた更なる修正バージョン!
  この日は浅草で受けたギャグのいくつかがそれた。しかし客席の年代層から言っても仕方のないところか?自分としては納得の行く受け方ではなかった。でも後半もそこそこ受けた。この日来たお客さんでメールをくれた人は
「とてもおもしろかった。お客さんもお年寄りが多かったのですが良く受けてましたね」

と書いてあった。ただ私はあの受け方では、まだ足りない。ただ困ったことは、この噺はどの程度が平均的な受け方なのか?それが全然分からないことだね。今後、トリ以外でも寄席でやって試してみようと思う。まあ、一応、合格点かな。

【6月18日(木)・・八日目】
ホロッと来る愛犬落語「藪椿の陰で休み」ハッピーエンド版---ラストで大拍手。大満足!
 【客席】
 ほぼ満員!やはりお年寄り多し。

 書き直しアレンジして、覚えるまで合計20時間以上は掛かったね。それでやっとなんとか覚えたが、正直まだ覚え方が足りない!でも明日、明後日のネタの都合があるので。この日やることにした。
 少しホロッとするこのネタ。円丈落語の中では美しい噺だ。 これからペット飼育熱はますます上がるのでこの愛犬落語は上手くすれば新しい一つの鉱脈になりそう。でもこの噺は、犬好きには好評だが、一般の客にに受けるのか?これが一番、気になるとこだ。
  【やって見て】
  どうもやはりまだ稽古不足。犬はどう演ずるのか?難しい。それにどうも前半の流れが、ゴツゴツしてる。ギャグのとこでも思った半分ほどの受け方。しかしラストで実は犬は生きてたと分かった瞬間、客席がワッとなり、終わった瞬間から幕が降りるまでお客さんの
大拍手が続いた。
  あれは大満足の拍手だった。これで犬好きでなくても充分通用することが分かった。新たな持ちネタが一本出来た。良かった、良かった。近々、どこかで更に稽古して刈り込み、「藪椿の陰で」をやってみたい。

【6月19日(金)・・九日目】
29分半用の「ランゴランゴ」--ソコソコ!
【客席】
 
8分程度の入り。

 この日の夜、東京落語会でこの「ランゴランゴ」を放送用に29分半を演ずることになっていて。そのテストでやる。ごめん。このネタは、外人が噺家になると言う設定で、やはり落語ファン向けの落語だね!国立の場合、他の寄席に比べ。それほど落語を知らないお客さんが多い。その分、やや受け方が少ない。
  最初のマクラがややそれた。
反応は、思ったよりやや少ないが、でも充分受けていたとも言える。終わって見たら32分あった。短いと放送出来ないことがあるが、長いのなら大丈夫。
  【東京落語会での『ランゴランゴ』は?】
  この日、東京落語会は私が上がるまで割りと静かなお客さんだったが、上がるともうドッカンドッカン受けたね。いやあ、ざまあみろってぐらい受けたね。ここのお客さん
は、常連が多く落語通が多い分だけ受けた。
  それに国立で受けなかった最初のマクラを別にマクラに変更したが、これもズボッと当たり、受けた。最初から最後まで受けつづけた。やはりこのネタは、仲間および、落語常連客用のネタだね。

【6月20日(土)・・九日目】
リターン・マッチ「心と感動の落語横松和平」--良いお客さんにも助けられ大成功!
【客席】
 
8割ほどの入り、円丈に対してとても好意的なお客さんだった。
  今日は5月の池袋演芸場のトリでこけた「横松和平」のリターン・マッチだ!今日は受けるぞ。前回、S・Eで別な曲を流すと言う大失態をした。今回はまず自宅でS・Eのテープ・チェック。確認したあとカバン入れた。そしてキチンと稽古をした。ホンノ少しだけだが、ギャグも少し変えた。一番の問題は、この最後に自分が感情移入が出来ないことが、最大の問題だったのだ。つまり円丈が乗れなくなっていたことが問題だった訳だね。
 
  そこでキチンとこの部分の稽古をして高座に臨んだ。
祝日の土曜日で千秋楽と言うこともあり、そこそこ円丈ファンがいたようだ。そのせいもあり、とてもやり易い高座で半分はお客さん乗せてくれたのだと思う。最初から最後まですばらしい反応。お客さんの力も借りて、見事リターン・マッチを果たした。お客さん!ありがとう。次はもっと頑張りま〜〜〜す。

【10日間の感想・・落語家38年、やっと落語が面白くなってきた】
【トリを取る時の基本方針】
 10日間のうち、 7日ほどは合格点の取れるネタをやり、残り2.3日は新たなネタの挑戦をする。この挑戦では、例えしらけても仕方がないと割りきる。これをしないと持ちネタが増えて行かない。トリネタ20本をまず最初の目標!
【この10日間の成績は?】
 正直、特にダメだった日はなかったので負けた日はなかったと思う。しかしまだまだ芸としての円丈落語はこれからだ。もっともっとレベル・アップしたい。それと新しいマクラを考えてるヒマがなかったので!マクラも10パターンぐらい欲しい。このマクラも今後充実していきたい。
 【少し落語が楽しくなって来た理由】
 大昔、シロウトでやってる頃は、落語をしてて楽しかった。受けなくたって平気だし、友達は「おもしろいねえ」と誉めてくれた。適当に楽しんでやってればよかった。しかしプロになり、受けさせなきゃと言ういつも義務感があり、落語をやることは正直それほど楽しくなくなってしまった。

  特に新作を始めてからは全然楽しくなかった。受けなければ全ての責任は自分に帰ってくる。古典なんぞやって「今日は客が悪い!」と言ってるお坊ちゃん噺家とは違う。受けてナンボの新作なのだから。でもやっと38年やってきて、年をとったせいかこの頃、
やっと落語を楽しめるようになった。

  今も受けさせることに全力を尽くす。でもそれほどのストレスでもなくなり、それに円丈落語も収穫期を迎え、いくつかのネタでは外さないものが出てきてある程度計算できるようになり、それにつれて、以前より、はるかに稽古をするようになり、古典に対して負けていた演ずる部分でもそろそろ肩を並べるような時になってきた。なんせ、ギャグ作りに忙しくて演ずる方まで手が回らなかったと言うのが正直なところだ。
  しかし、もう芸としても古典を抜く時期に来た。マジになって円丈は落語の稽古を始めだしたのは!
【白々しく感謝!】
 最後に国立に来て頂いたお客さんとトリを取らせてくれた国立演芸場さんに感謝をしたい。 ホント、ありがとうございまし〜〜〜〜た!


 浅草演芸ホール夜席トリ(2002/6/11〜20)

ワールド・カップが何だ!おれはやるぞ。でも最近、ロレツが上手く回らない。悔しい。そこで毎日15分ぐらい発声練習しながらのトリ。3日目あたりから効果が出てきて。一週間でなんとか元に戻った。でも10日間、落語に集中したね。ホント落語三昧の日々。いやあ、楽しかったね。

 

 【6月11日・・初日】
休み---ゴメン!!

 【6月12日・・ニ日目】
「ランゴランゴ」--客より仲間がウケた!
 冗談でWカップヘデイング小咄をマクラでやる。下らない小咄だけど受けた。ただこの「ランゴランゴ」は、落語マニア向けの噺のようだ。この日は年寄りのお客さんが多く。あまりぱっとしない。それでも大声を出してなんとかそれなりにはうけさせたが、結構ツライ。タダ楽屋の仲間には受けてた。どこでもウケル切り札にはならないネタだね。このネタは客より、仲間向けなのか?

【6月13日・・三日目】
「イタチの留吉」 --結構つらかった。

 この10日間に「東京足立伝説」の改作と「土下座王」の改作をやりたいので、目下改作に時間を取られ、やるネタがない。それに今日も年寄りのお客さんが多いので苦し紛れに「イタチの留吉 」を掛ける。
  笑うことは笑うが、やはり最盛期の受け方から見ると30〜40%程度ではないだろうか?浅草の10日間通した中でも一番、受けなかった。落ち込むの中でもこれ賞味期限が切れ掛かってる。そろそろ店じまいをするネタなのかも知れない。ありがとう留吉!

【6月14日・・四日目】
「名古屋弁金明竹」--ソコソコ、ウケル!
  「名古屋弁金明竹」も下り坂のネタ。前回池袋と同じように昔の人形町末広とか、先代文楽、三平など昔噺をしてから。ズドーンと入り、金明竹部分はなるべく短くしてやる。年寄りのお客さんが多いせいもあり、かなりウケル。これなら満足!
  この日、wカップで
日本VSチュニジア決勝進出した日。決勝の日で客はいないかと思ったら、ふだんより少し多い。嬉しくなって出かけると言うこともあるのかも知れない。全体のこの日、お客さんが陽気だっのは、勝ったせいもあるかも知れない。

【6月15日・・五日目】
「悲しみは埼玉に向けて」--客席満員でこの10日間で一番の受け方!
 客席は満員。それにいつも夜寂しい浅草だが、この日は人通りも多かった。Wカップで 池袋より、浅草は足立区に近い分だけこの「悲しみは埼玉に」はどっかんどっかん受けてた。こう言うネタがあと10本欲しい。。いつもの受け方日曜日)そこそこウケルWカップ予選。のかも知れない。ただ地方ではソレルことがある。要注意!この日、決勝進出を決めた日。-日本VSチュニジア決勝進出)
「悲しみは埼玉に向けて」(満員、バカ受け!(土曜日)

【6月16日・・六日目】
「ランボー怒りの脱出」--まあ合格点!
  (そこそこウケルWカップ予選。のかも知れない。ただ地方ではソレルことがある。要注意!この日、決勝進出を決めた日。-日本VSチュニジア決勝進出)

【6月17日・・七日目】
「一ッ家公園ラブストーリー」--安定した受け方!

  このところ安定した受け方をするのがこの「一ッ家公園・・」!主人公の亀吉のように80過ぎてもばあさんを口説くじいさんが、東京には実際いそうだ。ただ地方ではこれは受けない。地方は保守的なせいだと思う。地方の時代を言われるが、そんなの全くウソだと思う。このラディカルな亀吉をアハハと笑い飛ばせないようにならないと地方の時代なんて永遠に来ないと思う。

【6月18日・・八日目】
休み---ゴメン、ゴメン!
wカップ、決勝第1回戦日本vsトルコ。1-0で負ける!この日の夜、浅草。客はいつもの半分だったとか。負けちゃあ、出かける気にもならないよねえ。

【6月19日・・九日目】
「東京足立伝説」--受ける。寄席出来る噺は一本誕生した、よかった。
 「東京足立伝説」の改作が終わり、やっと覚えた。この日のお客さんも結構年寄りが多いので。結構危険だった。しかしそんなこと言っていたら生涯出来ない。新作に失敗は付き物。失敗が恐くて新作が出来るか!敢然と挑戦した。その結果、いやあ、ウケタ。ウケタ!予想外な受け方。ラスト部分が、少しきつかったが、あの年代層であれだけ受ければ大満足。これで寄席でやっても受けるネタが1本増えた。嬉しい。

【6月20日・・九日目】
「パパラギ」--最後、お客さんと握手して終わり、みんな大喜び、ウケル!
  ホントは「土下座王」改作してやる予定だったが、もうニ.三日、朝の早い仕事が続き、疲れてしまった。そこで『パパラギ』をやることにした。去年の独演会でバカ受けし、十数年前浅草の昼トリで「年寄りが多い中をやり、敗退した苦い思い出がある。しかしその帰りにロビーで待ってたお客さんは、1万円の祝儀をくれた。一概に今日の客はどうのこうのと言えない。考えていたより、受け方はやや弱かったが、客席に「パパラギ」の衣装で降りて握手して終わったが、もうこの時、お客さんは大喜び。まあ、イイカ!

【10日間の感想・・落語三昧の日々、楽しい】
 この芝居は、仕事が5日あり、それ以外は、エレルギーを全てトリのネタに集中する。普段、あまり稽古をしなくてもその日にやるネタの台本の手直し、新しいマクラを考え、ネタのさらう。そう言う10日間。もうその間、メールなんて見ない。HPの更新なんてとんでもない。ひたすら落語の日々。ギャグや演出の変更しながら稽古。その結果が、客席の反応として現れる。19日「」東京足立伝説」のように台本を書き直し、ヤバイと思いながら、やってドンと受けるとホントにうれしい。いやホントにおもしろい。
  中にはこのネタにこの客層は会わないと思いながらも。やる時はやる。結構、緊張とストレスがある。しかしこの頃、自分は年をとったせいか、そう言う緊張感、ストレスの中でやるのが楽しめるようになった。年をとるのは悪いことばかりではない。もちろん、ダメな時もある。しかし
新作に失敗はツキモノ。失敗の中からしか成功は生まれない。
  そう言う時はスグ「明日、明日!」と気持ちを切り替えられる。毎日、落語だけをして暮らす。多分明治時代の寄席芸人はこう言う生活だったんだろうと思う。いや、とても健康的な生活だった。次は7月中席は国立演芸場でトリ。今から楽しみしている。ひまがあったらぜひ来てください。



 
 池袋演芸場昼席トリ(2002/5/11〜20)

15、16日は休み。スンマセン!!

 

  【5月11日・・初日】
「アンタの聖家族」--ケラレル!
 お客さんは3〜40人いたが、少し暗い。そしてそれた!この「アンタの聖家族」は、どうもここ2.3回上手く行ってない、台本を読んでも面白いのかどうか、最近、自信が持てない。この初日のネタが一番受けなかった。初日にやったのは、まずかったか?う〜〜ん反省!

 【5月12日・・ニ日目】
「ランボー怒りの脱出」--ソコソコ、ウケル!
 これはソレナイねただね。当然、この日も受けた。ただどうもこの噺はテンションが高くなりすぎてしまう。もう少し上品にやりたいけど、つい声が大きくなってしまう。
  ただこのランボーを最近のアクション映画に変えたいのだが、中々いいのが見つからない。でも変えられるものなら変えたいなあ。

【5月13日・・三日目】
「名古屋版金明竹」 --まあまあ、ウケル!
 スカパー用に録画に「名古屋版金明竹」をやる。最近、どうもこのネタはパワーが落ちてきてあまりやらない。そこでマクラで円生、文楽、三平師や、なくなった寄席人形町末広や、目黒名人人会のの思い出話をしてから金明竹に入る。思い出はなしは受ける。その勢いで金明竹に雪崩込む。まあまあ受けた。古典をやる時、昔話をしてから入ると以外と良いかも知れない。

【5月14日・・四日目】
「一ツ家公園ラブ・ストーリー」--ソコソコ、ウケル!
  このネタは、なぜか最近は安定して受ける。この日もそこそこ、受ける。特別に気に入っている噺ではないが、とても落語的なのかも知れない。ただ地方ではソレルことがある。要注意!


【5月15日・・休み】

【5月16日・・休み】

【5月17日・・・七日目】
「土下座王」--途中まではウケルが後半白ける!
 少し直して、池袋トリでやろうと思い、やや心配だったのでその日、上野鈴本で途中までやって見たが、ズコンとそれる。こう言う蹴られたネタを続いてやるのは、イヤな予感がしたが、運を天に任せてやって見た。前半まではそこそこ受けた。ただ後半がダメだった。しかし同じ寄席のお客さんでもやはり受け方が違う。後半をもう一度、書き直してもう一度、トライするつもり。白けるのが恐くて新作ができるか?やるぞ!! 

【5月18日・・・八日目】
「ランゴ・ランゴ」--ソコソコ、ウケル!
 このネタは安全パイ。それをぶつける。まあ、狙い通り!
「悲しみは埼玉に向けて」 お客さんさんも多くて、このネタはハマッタ。ドッカンドッカン受けた。この10日間の中で一番受けた。しかし、このネタはもう20年以上前の作。勿論、何回かアレンジしてきたけど、そのネタが最高の受け方と言うのが、少し淋しい。なんとかこれをしのぐようなネタを作りたい。でも。難しいだろうなあ・・。

【5月19日・・・九日目】
「悲しみは埼玉に向けて」--ドッカン、ドッカン、受ける!
  お客さんさんも多くて、このネタはハマッタ。ドッカンドッカン受けた。この10日間の中で一番受けた。しかし、このネタはもう20年以上前の作。勿論、何回かアレンジしてきたけど、そのネタが最高の受け方と言うのが、複雑な気持ちになる。なんとかこれをしのぐようなネタを作りたいが・・。でも難しいだろうなあ・・。

5月20日・・千秋楽】
「横松和平」--ソレル!残念!
  この「横松和平」、去年あたりからどうも感情が、込められなくなって来ている。いつか、受けなくなるのではと言う危惧があったが、それがこの日。S・Eのテープを間違えて、取り替えたりしてややお客さんが引いた部分はあったけど。少し微妙に時代とのズレが出てきた。もう1回、多少の手直しをして、再チャレンジしようと思っている。いや、その前に私が、この主人公の夫婦漫才けいこ・よしおに感情移入できなくなってきたところに最大の問題があるのかも知れない。落語ってやっぱ、難しい〜〜っ!


【10日間の感想】

 今回、一番の問題は初日と楽のネタ。「アンタの聖家族」がどうも上手く行かない。少し寝かせてから。直すところは直してもう一度、やって見たい。今年中はお蔵入りだね。しかし、ネタはまだ「振り向けば」「遥かなるたぬきうどん」「月に吠える」「悲しみの大須」などがある。トリで10日間は完全にネタを変えられる。
  そのうちになんとか20日間、ネタを変えられるようにしたい。そして10日間マクラも変えられるようにしたい。

 

◎6月中席(11〜20)は、浅草園芸ホールのトリ。良かった是非来て頂戴。マジになって落語やるよ!



◎円丈TOPに戻る
◎落語のTOPに戻る