お勧め小説はこれだ!一挙4本紹介!
小説嫌いの小説三昧 U |
第1位 ファンタジー好き RPGユーザーでんなくてもハマル!
読み出したら止まらない 『ホビットの冒険』(上下)J.R.R.トールキン著 |
RPGの源流ここにあり 『ホビットの冒険』(上、下)1937年 J.R.R.トールキン 瀬田貞二訳 岩波少年文庫 定価(本体680円+税) 1979年第1刷 【こんな小説】 言語学者トールキンが地元に伝わる妖精や、小人の伝説に息吹を与え、 そこに新たに独自の幻想世界を創造してしまったファンタジー小説。 引っ込みじあんで気の良いホビット。ビルボ・バギンズは、ある日突然、 魔法使いガンダルフと13人のドワーフ小人に誘い出され、龍退治の冒険に旅立つ。 魔法の指輪を手に入れたビルボとその一行は、やみの森を抜け、 囚われた岩屋からも脱出し、 いよいよ恐ろしいドラゴンのスマグスに命がけで戦いを挑む。 この魔法の指輪が、このあとの続編『指輪物語』のメイン・テーマになる。 |
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【どうしてこんなにおもしろいんだよ?】 |
ひたひたと心が波立ち、ジワジワと哀しい 『ナルダが教えてくれたこと』 スチュアート・ディビィット著 |
『ナルダが教えてくれたこと』 (原題『Nalda Said』) スチュアート・ディビィット 訳田栗美奈子2001年5月発行 発行アーティストハウス 発売角川書店 本体価格1000円(税別) 【こんな小説】 主人公は自分の名前を最後まで明かさない。つまり読者は主人公の名前も知らずに物語が終わる不思議な小説だ。 幼い頃、父が死に流れの植木職人の叔母ナルダに預けられるが学校にも 行かず、トレーラーハウスで叔母の植木の手伝いしながら育てられる。ナルダはこの少年に人を近づけず、ナルダの言ったことだけが彼の全ての知識となる。 そこで「ナルダが教えてくれたこと」と言うタイトルなんだ。少年が17才の時、ナルダは死亡。 以後、ナルダのように流れの植木職人をしながら他人との接触を極度に恐れながら決して自分の正体を明かさず孤独に生きて行く。やがてある病院の 庭師として落ち着き、周りの人から親切にされ 。彼にも幸せが訪れそうになるが・・。哀しい最後がまっている。 |
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【いつまでも妙に気になる一冊!】 最初、主人公は自閉症なのかと思うが実はそうではなかった。 小説は一人称で語られているが、読んでいる内にとひたひたと心が波立ち、じわり哀しくなる。現代の心のおとぎばなしを読んでるで不思議な感覚に包まれる実にみずみずしい作品。 主人公はナルダの教えてくれたことを忠実に守り、最後、男は結局現実の世界に適応できず悲しいラストで終わる。正直、こんな落語を作ってみたいとさえ思う。いつまでも心に残る1本だ。ただラストの終わり方は好きではない。それは悲劇的に悲しいのではなく、自らが、幸せから遠ざかって行くその行為があまりにも救いようにない哀しさなのだ。別な終わり方があったような気がする。 しかしこの作品の繊細さは、日本人の情感に合いそうな気がする。外国物としては比較的短く読み易く、3時間ほどで読破できるのでお勧めしたい。作者スチュアート・ディビィットは、ベル&セバスチャンの元ベーシストなのだそうだ。 【この作品はどう取り上げられたか】 ◎タイムズ紙の紹介- 「繊細な筆致で描かれた、痛いほど哀しい物語」 ◎ビッグ・イッシューの紹介- 「素朴で美しい、現代のおとぎ話」 ◎ガーデイアンの紹介-「まるで傷跡のように心を疼かせる」 ◎訳者はこの作品を-「心の中をきゅっとつままれるような、とびきり、美しくて、切ない現代のおとぎ噺」 |
おもしろく衝撃的な作品 『悪童日記』アガタ・クリストフ |
『悪童日記』アゴタ・クリフトフ(Agota Kristof)堀茂樹訳 ハヤカワepi文庫2001年刊 定価620円+税 フランスのスイユ社1986年2月 2001年5月20日発行 【こんな小説】 『悪童日記』というタイトルから、なんとなく元気一杯で腕白どもの明るい日記を連想しがちだが、全然違う。作者はハンガ リー生まれの女性亡命家。彼女の少女時代の回想的な作品。 時代は戦争が激しさを増した東欧のある国。 双子の「ぼくら」は小さな町に住むおばあさんのもとへ預けられた。 その祖母は、祖父を毒殺したと噂される魔法使いのようなおばあさん。 その日から起こった様々なことが日記の形式で書かれている。しかし ここで起こることの内容は、飢餓、虐待、同性愛、性的イタズラ、暴行、盗み、母の爆死。 これらのことが、感情を交えずアッケラカンと書かれ、なぜかわらってしまう衝撃の一冊だ。読むべし! |
なぜ、この悲惨なテーマなのに明るく笑えてしまうの? |
この小説の特筆すべきことは、戦争と言う非常な現実の中で次々に起こる悲惨な出来事。ところがその日記は限りなく明るく面白い。しかも笑える日記なのだ。これがまさに衝撃的な作品だ。例えば母親が背負ってきた赤ちゃんも母と一緒に爆死するが、それをあとで掘り出し骨を磨いて糸で繋ぎ、マリオネットにして柱にぶら下げたりする。こういう様々なことが、アッケラカンと書いてあり、面白くて笑える。衝撃的に新鮮な作品。皮肉っぽく考えるとこれはブラック・ジョーク集かも知れない。 作者は「あとがき」でこの頃が楽しくて懐かしいと書いていた。エッ、なんで?と思ったが、しかし良く考えるとそうかも知れない。平和時では大問題になって少年院に入れられるような盗みや、虐待をしても戦争中なら大人達は忙しいので見逃されてしまう。戦争中とは実はどんなことをしても許されてしまう夢の時代なのかも知れない。かといって別に戦争に賛成してる訳じゃないけど。 【この続編に対する忠告!!】 この作品の続編『ふたりの証拠』(ハヤカワepi文庫620円)も出てる。でも注意が必要だ。 確かにストーリー的には続編になっているけど日記形式でもなくあの面白さは陰を潜め、タッチも全く別人の感がある。しかもラストが難解でまるでサスペンス小説読んでるようで良く分からない。 『悪童日記』のノリを期待して買ってガッカリした。『悪童日記』は勧めるが、続編の『ふたりの証拠』は決して勧めない! |
ああ、疲れた、巨編遂に読破! 『指輪物語』(全7巻)J.R.R.トールキン |
全世界に4000万人以上の読者を持つ不滅のファンタジー
『指輪物語』(全7巻)J.R.R.トールキン 瀬田貞二 田中明子訳 評論社刊 各巻共定価(本体価格2200円+税)文庫本((本体価格700円+税) 【こんな小説】 『ホビットの冒険』の続編で14年歳月を費やして完成させたファンタジー巨編。冥府の魔王によって作られた指輪を巡る物語。 遠い昔、冥王サウロンはオロドルイン火山の火でこの指輪を鍛え上げ、 自身の持つ悪の力の全てをこれに注ぎ込んだ。 ところがひょんなことからホビット族のビルボが、甥のフロドに譲ったことからこの物語が始まる。 不気味な謎の黒い乗り手から逃れるために平和なホビット庄から仲間と共に逃れ、 こうして冒険が始まった。・・・ここまでで一冊目の大体5分の1ぐらい の内容。これが全部で7巻ある。いやいや、全く長くて・・もうタイヘンなんすからぁ! |
凄すぎる『指輪物語』全7巻 |
【良いけど長い】 とにかく長い!一冊、キチンと読むと10時間ぐらいかかる。 それが6冊プラス補遺編で計7巻!もう補遺編は読まなかった。正直そこまで付き合い切れない。勝手に出してってトコだね。とにかく数十時間は掛かる。もう指輪三昧だった。 早い話がRPG「ドラクエ」のクリア時間の1.5倍ぐらいか、 「ウイザードリィ」の2回分ぐらいの時間がかかる。読み終えた時は自分が冒険したみたいにクタクタになったね。 『ホビットの冒険』は読み出したら止まらなかったけど、 これは途中で何度か、止めようかと思った。 後半は少し手を抜いて読み飛ばしたところがある。 【各巻ごとにMAPが付いてる。これを見ながら今どこにいる?なんて確認をしながら読む。楽しい!!もうRPGと同じだね】 |
この世界を全て創造したトールキンは偉大なり! |
トールキンの偉大なところは、この世界の全てを創造してしまったことだね。私も昔、「サバッシュ」と言うゲームでその世界を創った。しかしトールキンのは創造の程度が全く違う。 トールキンの頭の中にはその世界の全て種族の言語と習慣と歴史、地図などが全て頭に入ってる。言語学者のトールキンは、各種族の言葉も創り、しかもそれで会話が出来ると思うね。しかも地図は地図で終わらず、3Dの立体的な風景として頭に刻み込まれ、この山道を登って行くとこんな植物が生え、やがて風景がこんな風に変わって行くとか。 そう言うこと全てが頭の中に入ってるはずだ。そこまで世界全てを作り上げたのは、ただ驚嘆するのみ、キョータン! さらに驚くことは、この『指輪物語』の世界を元にしたボード・ゲームが出来、やがてパソコンのPRGゲームに進化して行った。しかもRPGのストーリーや、イベントの殆どの基本パターンが、すでにこの小説にある。もう脱帽するしかない。まるでお釈迦様の手の平と孫悟空みたいだ。自分では遠くはなれたつもりでいてもそれはお釈迦様の手の中だった。 RPGは進化したと思っていてもそれは、トールキンの手の中だった。だからやっぱ、『指輪物語』は凄い! 賛辞以外に見つからないと褒めておいて・・・・。 |
でも読むなら『ホビットの冒険』 だね |
確かに名作で凄いけど正直名作過ぎ!だから読むなら正直『ホビットの冒険』をお勧めする。 事件の起こるストーリーやイベント数は同じぐらい!つまり『ホビットの冒険』は、ストーリー進行が早く
息も付かせぬ展開になっているが、一方『指輪物語』は なかなかストーリーが進まず、少しイライラする。 しかも冥王サウロンを倒してから最後のエンデイングまで長すぎる。
一応の目的を達成して。この世に平和が訪れてかたさらにだらだら 続くのは正直辟易とさせらる。 最後、フロドが、村に帰ってきてから もう一騒動起こった時は、もう終わらせてくれよ。と正直思った。 それに主人公のホビットが、『ホビットの冒険』では陽気なバキンズから 『指輪物語』では深くものを考えるフロドに変わってその分楽しさがなくなる。 読むために掛かるお金、時間も考えて総合的に見て 本格大長編大人向きファンタジー『指輪物語』より、 適当子供向けファンタジー『ホビットの冒険』の方をお勧めする。 ファンタジーや、RPG好きなら絶対、お勧め。そうでなくてもかなりお勧めする! |
『ホビットの冒険』(上下) | 『指輪物語』(全7巻) | |
読破時間 | 10時間 | 多少手を抜いても40時間は楽にかかる |
お金 | 680円×2=1360円+税 安い!お買い得 |
(ハードカバー)2200円×7=14400円+税 (文庫本)700円×9=6300円+税 |
面白さ | メチャおもしろく読み易い | 凄すぎて疲れる! |
主人公 | 陽気で大活躍 | ジックリ慎重タイプで活躍はさほどしない。 |
ストーリー | おもしろさ満載! | 長い割には変化が少ない。 |
どっちが良い? | 値段、面白さ、分かり易さ、全てにおいてこっちの勝ち! | 凄すぎて、偉大すぎて『指輪物語』の負け〜ッ! |
・・・で4冊読み終えて |
正直、書くとどうも恋愛小説は苦手。嫌いではなく苦手なんだ。 読んでてなにか恥ずかしいと思うことがある。
別にこんなジイサンが読むことにではなく、男と女が恋愛する時の駆け引きとか、 事件とか、そんなことがなんとなく読んでて恥ずかしいのだ。うまく説明できないが、
そう言う部分を自分の中に持っている。 【しかし自分の好きな小説は・・】 ◎『リトル・トリー』 ◎『悪童日記』 ◎『ナルダが教えてくれたこと』 ◎『ホビットの冒険』 ◎『指輪物語』 この作品にはなにか共通項があるような・・・いやあるようなではない。ここで私は、自分の心の中にある少年性 に気が付いた。現実の私は58才なのに、私の心にはピーターパンが棲みついているのかも知れない。いや、チョッとカッコ良すぎたかなあ。 |