別に東京最古だから名品に取り上げた訳ではない。この狛犬のすごさは、彼に会いに行けば分かる。実際対峙すると無言のなにかがひしひしと伝わってくる。圧倒的な何かが・・ただ伝わってくる。もう数回は見たかだろうか。いつ会ってもかれはなにかを語りかけてくる。ゆえに名品なのだ。 【目黒不動 目黒区下目黒】 承応3年(1654)江戸はじめ・・都内最古 |
関東名品でこれを外したらなにを残すのか?それほどすばらしい作品だ。大体、参道狛犬と言うのは、どことなく愛嬌があって親しみ易く帰りに頭を撫で撫でしたくなる狛犬が多い。 しかしこの東照宮奥宮にあるこの江戸ブロンズには、威厳があり、高貴な狛犬と言う感じがする。まさに聖なる霊獣なのだ。実に群を抜いた名品。この聖なる狛犬の前に立つ時、しばし呆然として立ち尽してしまう。 【日光東照宮 栃木県日光市 】 天和3年(1683)江戸ブロンズ |
まったくもう。この狛犬は何度みてもそのうつくしさには言葉を失う。その美的センス、そして石工の技!たてがみの流れの柔らかさ、ピタリと決まった子獅子の位置、そしてボタンの彫りの見事さ。なにひとつ不足するものなく、優美な狛犬だ。1対の狛犬でひとつの甘美な小宇宙が出来ている。美しさでこの狛犬に勝てるものはない。完璧だ。 【票荏原神社 品川区北品川 】 明治29年(1896)江戸ぼたん 石工栗原巳之吉 |
この江戸狛犬は、形からするとやや不格好かもしれない。しかし肉感的な質感がすばらしく、晴れの日には、やさしい感じのする狛犬だが、雨の日には激しい狛犬に変わる。 そして口の中を見て欲しい。チャンと歯の裏まで彫ってある。並の狛犬ではない。大向こうをうならせる派手はないが、何度みてもあきない。それぞ、まさしく名品だ。 【牛天神 文京区春日町1-5-】 文化6年(1809)江戸つの 石工鈴木常三郎 |
飯島吉六は川崎鶴見川に住み、代々吉六を名乗る名工だ。この狛犬を最初に見た瞬間、息が止まってしまった。そこにいたのはまるでアメリカン・バッファローのようにたてがみをなびかせた狛犬だった。その中でももし見に行ったら是非うしろ姿を見て欲しい。その背中のどっしりとしたすばらしさ。この狛犬はアートそのものだ。
【上の宮八幡 横浜市鶴見区上の宮】 文政8年(1825)江戸かがみ 吉六作 |
グヘッ!と言うのが最初に会った印象だね。グヘッ!だって埼玉のホントに小さな稲荷神社。こんな凄い獅子山があるなんて思いもよらなかった。この獅子山の見るポイントは動きと躍動感!どんなに良く彫ってあっても動きも躍動感もない獅子山は駄作だ。だがこの獅子山に動きも躍動感もその上リズム感まである。江戸獅子山最古なのにデザイン的にもとても新鮮だ。だからやっぱり、グヘッだね。すばらしい。 【田中稲荷 埼玉県川口市弥平3-】 文化13年(1916)獅子山 石工小川** |
江戸の火消しが奉納した江戸ブロンズ。まさに見栄っ張りの江戸っ子らしい。当時、こんな青銅製の狛犬を作らさせて、成田まで運んだら一体、どのぐらいの金が掛かったろうか?考えるだけで頭がガンガンしそうだ。まさに江戸っ子の心意気が今も伝わって来る。この豪華さが江戸狛犬なのだ。 【成田不動 成田市成田 】 嘉永3年(1850)江戸ブロンズ |
湯河原で見つけた江戸はじめ、こう言う狛犬を見つけると狛犬巡りが病みつきになる。30cmほどの小さな狛犬。背に碑文が彫られ、その書体がまた良い。素朴な中に洗練がある。江戸はじめならこれがイチオシだ。またそのうちに合いに行こうと思っている。 【素鵞神社 神奈川県湯河原町吉浜 】 寛文10(1670)江戸はじめ |
村田清八の作。江戸もじやと名付けた。かれは初めて惚れた石工だ。じぃ〜っと見ているとドンと座った狛犬に清八の繊細な美的センスが伝わってくる。さらに見ていると狛犬の向こうに清八が見える。無口でシャイな男だったろう。一夜、彼と酒を交わして見たいと思う。狛犬は時間を超えてしまう。それほどすばらしい狛犬だ。 【熊野神社 板橋区前野町3-】 嘉永2年(1849)江戸もじゃ 蓮沼村田清八 |
まったく独特の雰囲気をもった狛犬だ。最初これを見た時、自分の心の中で評価が分かれた。ヘタウマなのか、それともアートなのか?そしてもう一度見に行った。やはり良い。これは名品だ。獅子山の動き、コブのようなオデコ。尾が背についているのは少し気に入らないが、それを除いて。いやあ、凄い! 【春日神社 船橋市西船 】 昭和3年(1928)獅子山 |