Xaaa5008.gif (2285 バイト) 千葉狛犬 変った狛犬其のニ Xaaa5008.gif (2285 バイト)

1998.10.5

町 田 茂 氏

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1 透かし彫り狛犬

白山神社 市原市朝生原 昭和39年2月建立(1964)

 昭和の狛犬ではあるが、非常に丁寧な仕事がされてる。首の廻りの渦毛の部分が透かし彫りになっており、尾の部分も立体的に彫り抜かれ、実に繊細な細工がされている。
 昭和の狛犬は、画一的な唐獅子風の狛犬が,幅を利かせている中にあって、この狛犬は極めて珍しい存在である。残念ながら石工の名前は刻まれていない。更に目は、鎌倉時代以後の仏像で見られるような玉眼になっている。青いガラス玉を嵌め込んだだけのものだが、石造ではあまり類を見ないもの。

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2 エキゾチックな狛犬

玉前神社 市原市土宇 明治9年吉日建立(1876)

 容貌怪奇、どちらかと言えばエキゾチックな表情をした狛犬である。ただ長髪の髪型は何となくナヨナヨした感じがして、本来の持つ威厳,いかめしさには欠ける。
 しかし敢えてこの狛犬を取り上げた一番大きな理由は、背骨の凸凹がはっきりと彫り出されていることである。背骨が、彫られている狛犬は,時々見受けるけれどもこれほど極端に彫られているものは珍しい。

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3 玉をくわえた狛犬

小鷹神社 市原市岩崎 昭和53年12月吉日建立(1978)

 形は、典型的な昭和狛犬だが、阿像の口のくわえている玉が特徴である。ラムネのビンの玉のように、口の中でガラガラと動くが、決して外れて外に出るようなことはない。玉は彫り出したもので後から入れたものではない。
 この種の狛犬は、中国で良く見られ、凝ったものは、中の玉にも色々な彫り物がしてあるというから驚きである。勿論日本にも玉をくわえた狛犬はあるようだが、中々お目に掛かれず珍しい狛犬である。残念ながら石工の名前はない。

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4 デフォルメ狛犬

八幡神社 市原市郡本 延享5年8月吉日建立(1748)

 延享5年(1748)のものであるが、巻毛がデフォルメされれ大きな厚い盤状の渦で表現されている。このような近代的な抽象表現が,江戸時代に試みられているのが面白い。ただ前肢が短くバランスが悪いのが気になる。この狛犬の頭には、阿吽ともに直径2.5cm程の穴が開いている。(千葉狛・その1)でも述べたように阿吽の両者に角があつた訳ではあるまいに、どうして穴があるのか?頭の穴についてはますます疑惑が増すばかりである。またこの狛犬にも背骨の凸凹が,彫られている。

 

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5  未完成狛犬

上総大国魂社(鶴峰八幡宮末宮)市原市中高根 年代不詳(大正時代?)

 これは間違いなくいまだ荒彫りの段階で未完成の狛犬である。石屋の片隅にでも置かれているのなら話は別だが、堂々と神社の前に鎮座しているのだからなんとも不思議である。
 顔の両側にある鬣の形から見て大正時代のものと思われる。もちろん石工の名前はない。なぜ未完成のまま並べられているのか、訳ありの狛犬である。狛犬の製作過程の見本のみたいな狛犬で、その意味では勉強になる存在である。

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6  鉈彫りの神使(きつね)

鶴舞神社 市原市鶴舞 慶応3年12月吉日(1867)

 この狐の彫り方は、非常に特異である。普通は表面を綺麗に仕上げる。それなのにこの狐は、わざわざ鑿(ノミ)の目を意識的に残す手法が使われている。
東北、関東の一部には、鑿の目をわざと残した所謂「鉈彫り」と言われる仏像がある。(例:伊勢原市 日向薬師 薬師三尊)
 これはそれに似た彫り方で石彫ではあまり見かけないが、面白い作品である。石工の名前は不祥である。

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7  乳首をくわえる狛犬

水神社 市原市岩野見 昭和2年7月26日建立(1927) 石工名 不祥

 子獅子が、乳首をくわえ乳を飲む形をしている。乳首もはっきり彫り出されていて、子獅子が乳首を引っ張るようにして乳を飲んでいる姿は、親子の情愛を感じる。阿像は牡と思っていたが、これは明らかに牝である。

 

8 出雲型狛犬

鳥見神社 白井町富塚 安政3年9月建立(1856)

 本来の出雲型に比べるとやや頭の位置が高いが、まあ大マケで出雲型としておこう。千葉県内では出雲型の狛犬は、珍しいことは確かだが、それでこれを紹介した訳ではない。
 良く見るとお腹の所に彫り残した石が支柱になっている。別に強度上の目的で支柱を残した訳でもないだろうに、甚だ美観を損ねている。前肢の下にも少し石を残しているが、これは意味がわかるような気がする。しかしお腹の石は一体何なのだろう。

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9  神使のカラス

熊野神社 船橋市高根町 慶応元年9月吉日(1865) 石工名 不祥

 神使が狛犬のように神社の社頭に並ぶことは,良く知られおり、稲荷神社の狐、日吉神社の猿、春日神社の鹿、八幡神社の鳩、天満宮の牛、熊野神社の烏などがある。
 熊野神社の烏とは、神武天皇東征の八咫烏(やたがらす)に由来し,頭の白い烏が、霊鳥とされ,熊野の牛王宝印に烏点を用いるのも烏が、神使であるからと言う。しかし熊野神社は、千葉県内にも数多くあるが、烏の石像を見ることはなく、ここだけのようである。

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