これが神社真実シリーズ第2回


 普段今回から始まった。新シリーズ「これが真実!」神社にまつわるいろんな物の真実を解き明かそうと言う画期的企画!
  前回第1回「注連縄の真実」が大好評!今回がお祓いの真実。そもそもお祓いとは?その意味とか?その深い深いホントの意味を綾瀬稲荷神社の唐松宮司さんに伺った。 
    三遊亭 円 丈

(綾瀬稲荷神社のありがたい大麻(おおぬさ))




まず 「修祓之儀」(しゅばつ の ぎ)

円   丈  :
今回はお払いの真実と言うことでもよろしくお願いします。
唐 松 宮司:こちらこそ。よろしく。
円   丈  :
まず御祈祷して頂く時にお払いを受けますが?あれは!

唐 松 宮司 :はい、まずおはらいは字で書きますと、「お払い」と書かず、「御祓い」と書きます。
円   丈  : まず「修祓之儀」(しゅばつ の ぎ)を祭典に先立つ行事として開式を意味する、「宮司一拝」の前に御奉仕します。
円   丈  :前にする意味というのは?
唐 松 宮司 :はい、修祓(しゅばつ)とは、人が自分自身で意識している意識していないを問わず、人の身についた罪や穢れを祓う為にするものです。本来は社殿に入る前に祓うのは筋なんです。

本来は社殿に入る前に祓うのが筋!
円   丈  :そう言えば神社によっては境内に「祓い所」なんてありますよね。それから無人の神社によっては、お払いをするご幣と言うんですか?あれは拝殿前においてあって。自分で祓って下さいなんてセルフサービスになっているところもありますね。
唐 松 宮司
 : ああ、そうですか。大麻(おおぬさ)と言うんです。穢れの問題ですから本来は社殿に入る前にするのが筋です。つまり神聖な建物の中に入る訳ですから、身をきれいにしてから入るのが礼儀なのです。
円   丈  : ああ、そういえば明治神宮の木彫狛犬を拝見しに参拝した時、西側の回廊でお祓いをうけ、それから神前に案内されていましたが、そういうことだったんですね
唐 松 宮司: その通りです。しかし神社の設備や規模等の事由により、その前にお祓いができない場合が多い訳です。
そこで神社界では苦肉の策として式典に先立つ行事として修祓之儀を行って、祓えの意義の帳尻を合わせているのです。

お祓いの神具とは?
円   丈  :はー、なるほど考えたましたね。 ところでお祓いする時の道具ですね。火打ち石とひらひらの細い白い紙が沢山ついた細い棒を振っていましたが、あれは?
唐 松 宮司 :はい、神具と言います。 お祓いする神具ですが、
大麻(おおぬさ) 基本的に神社でのみ使用 身を清める
火打石(ひうちいし) 火打石は高座に上がる時や舞台にも使う 身を清める

唐 松 宮司 :はい、神具の呼称は、火打石(ひうちいし)と大麻(おおぬさ)です。
円   丈  :ああ、火打石もですか?そう言えば私の師匠は昭和の名人と言われた6代目円生ですが、毎日、神棚に手を合わせる時に必ず火打石を叩いてました。それから大事な仕事で出かける時はおかみさんが、玄関で火打石をカチカチッと叩いてから師匠を送り出していましたね。
唐 松 宮司 :さすがですね。火打石と大麻は、共に身を清めると言う意味があるんです。 お清めと言えばお塩やお酒を、連想しますが。 まったく、その通りなんです。それらの由来はすべて神社の祭事から派生したものです。その神社の故実はすべて日本神話に遡ります。

神具の由来は日本神話から
円   丈  :へ〜え。日本神話に行くんですか?
唐 松 宮司 : はい、日本神話の故実に辿り着きます。ですから敢えて判り易くということで申しますと、 古来、火水風(かすいふう)と言って、祓えはこの3つによって修せられました。 現在の神社界では、これらは、次のような神具となって、伝承されています。 火は火打石。風は大麻。水は塩湯(えんとう)です。 塩湯(えんとう)とは? 祓所(はらえど)と呼んで、祓えの神具を奉安してあるところが、社殿の中にあります。(写真1)蓋のついた、桧のワッパになっているものがそれです。中に白磁の器があり、その中に、海水に準じた霊水が入っています。それを榊の葉が5つ付いた小枝で振り掛けて、祓えを修するのが、塩湯です。

【これが火水風(かすいふう)】
火打石 石と火を発生させる鉄の板 御神火
塩湯(えんとう) 蓋のついた桧のワッパになっている物 御神水
大麻 (おおぬさ) 白いヒラヒラした紙のついた棒 御神風

円   丈  :お清めといいますか、御祓いの意味はつまるところどういう事でしょうか?
唐 松 宮司 : はい、火水風は、神火・神水・神風と尊称しました。今でも火山の噴火を御神火。湧く出水を御神水。悪いものを吹き飛ばす一陣の風を御神風と言います。これらはみな、思えば、清らかなるもの、清らかにするもの、であることがお判りになると存じます。



これがお祓い(修祓)の順

円   丈  :するとお祓いと言うのは?そもそもなんになるですか?
唐 松 宮司 :ハイ、修祓(お祓い)というのは清らかなる物の霊力により、対象者・物を清らかにする、ということです。
円   丈  : なるほどそうですか。少しだけ利口になった気がしますね。それでそのお祓いの順はどうなるんです?
唐 松 宮司 :これも火風水の順です。先ず火打石で切る、切り火でもって、人の罪障を燃やし尽くすことです。 次に、塩湯による、水流でもって、火で残ってしまった、少しの、人の罪障を遥か彼方へ、流し去ることです。 最後に大麻で巻き起こす烈風でもって、火水でもしぶとく残った、僅かな人の罪障を遥か彼方へ、吹き飛ばすのです。

【分かりやすく書くと表にすればこうなります】
1 火打石で切り火 人の罪障を燃やし尽くす
2 塩湯(えんとう) 塩湯による、水流でもって、火で残ってしまった、少しの、人の罪障を遥か彼方へ、流し去る
3 大麻 (おおぬさ) 巻き起こす烈風でもって、火水でもしぶとく残った、僅かな、人の罪障を遥か彼方へ、吹き飛ばす

【その結果】
唐 松 宮司 : 人の罪障は消滅し、身は清浄となり、真人間というか正常に、もどれるのです。 以上が、神話に由来した、御祓いの真の意味合いです。
円   丈  :なるほどそういう深い意味で宮司さんは、私たちを祓ってくれていたのですか。
唐 松 宮司 : はい、一生懸命に気合入れてやっています。 祓う時は祓えの神様になったつもりで奉仕せよ、というのが鉄則です。
円   丈  :それは、それは、ありがとうございます。いやあ、今日は本当に勉強になりましたね。ありがとうございます。




お祓いオマケ編

 【参拝の風景】
  九州地方は朝、参拝に行くとその神社の宮司さんが、いてお祓いをしてくれる神社があり、特に熊本市は多い。熊本は10社以上廻ったが、殆ど全てお祓いをしてくれた。
  その神社の宮司さんにより、お祓いの感じが違った。その中でこの健軍神社の宮司さんの持つ長柄の大麻の一種が、頭のふわっとのった瞬間、急に体が楽になったようなケガレが抜けたような気がした。そのせいか、熊本で朝、参拝する人は多い。10社廻ってとてもうれしかった。(円)
(【健軍神社】熊本市健軍町にて)

意外と知らない神社の知識・2

狛研TOPに戻る
落語TOPに戻る
綾瀬稲荷TOPに戻る