〜　元内掌典　〜
　　　　��谷朝子のことば

　お湯に水をとにも加え方がございます。
お料理の差し水のように、お水の加え方で、
　お味に一層の深みが増すことの妙がございます。
一方、お逆水（おさかみず）と言う言葉がございます通り、
反対は験が悪いと昔から教えられましてございます。

　昨今の洗面所に於きましても、蛇口の近い方でございますが、お湯にお水を加えます事はいたしませんように申しあげましてございます。

　　朝子語録：その１9　「救いの手」

　古い御代から傳えられました大事な御神前の御用を上の御方さんからお教え
いただきます時、その方法を只言葉だけではなく、ひたすら（一所懸命）
の御心をもって、お手を添えて、その呼吸をお教えいただきます。

　 そして初めてこの御用を一人でさせていただきますとき、心細く仲々に、
その通りには出来ずに困りました時、そっとお手をさしのべていただきます。
　 初めて大事な御前の御用をせていただきます者には誠に有難いことで
ございます。温かい御心でお教えいただきますその上の御方さんは神様で、
　 又、さしのべて頂きましたお手は、神様の御手と思いましてございます。

　　朝子語録：その１８　「淨火」

　火は日であり、さらに霊（ひ）であって、誠に尊い霊妙なものでございます。
上代より引継がれました、賢所の尊いお火は決しておしめり（お消え）になりませぬよう内掌典は命をかけてお守り申し上げます。菜種油にしみ込みました、
　お燈心の清い小さな御火でございます。天津火継とも教えられました。

　朝子語録:その１7「上達の早道」

　御殿の御用は、何のこだわりも抱かずに、ただ素直に、上の御方さんの教え
いただきますままに、素直に受け入れることでございます。これは真理にて
ございます。

●接し方

　人との接し方は、さまざまございますが、例え相手が幼子でありましても、
対等な相手として言葉を交わし、言葉使いも赤ちゃん言葉を使うことも
控えたいものです。といいますのも、それを聞いた幼い子供さんは、
そうい う言葉をすぐに覚えて、使いましてございます。
　ですからこそ、正しい言葉使いをして、接する事が大切でございます。

　
朝子語録:その１6　「風邪除けの御法」

節分の福豆を少々半紙に包んで、湿気のない清い場所（お台子の下など）
に置き、その年の初めての春雷の時、雷鳴を聞いて直ぐにその福豆を頂
きますと、風邪を引かないという、云い傅えがございます。自然に應じています。

　朝子語録：その１５　「今昔」

　御代替りに新しくなりましたお道具類も、日々相変りませず、麻のおふきん（布巾）でお清め申し上げながら、お守り申し上げますうち、自然に神さびました
尊い趣を呈します。

　食事を頂きます時には、「一膳ご飯」を避けることも日々大切な心得事でございます。
二膳目とて、例え少しでもお替りをして頂きます。そして、
　お茶碗にご飯をよそいますとき、お杓子（おしゃも）は、二度以上に分けてよそいます。
少量の場合二度目は、ご飯をよそう真似だけでもよろしゅうございます。
　これは、一度きりということを忌む良き日本の古例でございます。
この再度よそいます事は、ゲン担ぎに通じましてございます。
　 又、福増すように、食べ物を沢山頂けますようにと、予祝する事でございます。
日本人の食事のときの必須の心得事でございます。

　お鍋を五徳から持ち上げまして、他所へ置きます時には、お鍋敷き等を
敷いて、お鍋を置くことが大切な心得でございます。
　何故ならば、底が熱いからという事だけではございません。炊事の時、
お鍋をお火にかけますと、底がお火に当たりますので、清いお火を汚さな
い為に、お鍋の底も清くして、お鍋敷きの上にのせましてございます。
　 　（注）お火は清いものとされています。